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http://jp.rian.ru/analytics/politics/20080905/116574582.html
オレグ・ミチャエフ、ロシア・ノーヴォスチ通信社、経済解説員。
9月1日、ブリュッセルで南オセチア戦争に係わるロシアとEUの関係の将来についてのEUサミットが開催された。ロシアの巨大な貿易パートナーであるEUはロシアに対する何らかの経済制裁導入を差し控えた。原因は、ヨーロッパはロシアのエネルギー資源に依存し主要西側企業はロシアでの自国ビジネス拡大への関心は極めて大きいことにある。
それでも、ロシアに対する経済制裁導入の可能性はEU臨時サミットを前にして真剣に論議された。例えば、ポーランドは、ロシアに対して非常に厳しい金融・経済政策を提案している。その決議案によれば、EUはロシア市場を不安定で完全なリスクに満ちていると認定し、ロシアへの投資額を削減するよう大企業に提唱できた。ロシアが輸出する特定商品、金属や肥料などの、特定リストに制限を加えることもさらに提案された。そして最後に、EUはロシアの銀行や企業への再融資をしないようヨーロッパの銀行に助言することができた。
しかし、EUの主導国でロシア産エネルギーの大消費国であるイタリアやドイツ、フランスはロシアに対する何らかの経済制裁を採ることに反対した。驚くことはない。EUはロシアの最大級の貿易相手国だからだ。ロシアの貿易売上げの50%以上はEUが占めている。しかも、その大部分はロシアからのエネルギー資源の輸入が占める。現在ロシアからEUへ輸入される石油とガスはEU加盟国全体のそれぞれ3分の1、40%を占める。
その結果、グルジア軍事紛争のために何らかの経済制裁をロシアに対し行使しようとする発言はEUサミットの決議の中で一言もなかった。この決議は、つかまえどころのない表現で、ロシアが外交的に勝利したと見なすことができる。決議案の内容は、EUとロシアの相互関係は詳細に見直し、真剣な対話が必要な臨界点に来ていることを物語っている。しかも、EUのリーダーは、ロシアからのエネルギー輸入依存を低減するために代替エネリギ−源の探索に取組む課題を関係省庁に命じた。しかし、この課題が設定されるのは今回が初めてではなく、課題の回答はまだ出されていない。
イギリスやポーランドと言ったロシアに対する厳しい路線の支持国は、EUの決議には友好と協力に関する新協定についてロシアとの交渉を停止するとの項目が盛り込まれていることで満足せざるを得なかった。しかし、実際の交渉は、ポーランドやリトアニアのようなEU加盟国の立場のためにそうでなくとも1年半も停滞したままであり、本年の夏にやっと復活する状況であった。いずれにせよ、このような協定は、象徴的な意味しか持たず、ロシアにとっては基本的な重要性は持っていない。
同時に、イタリアやフランス、ドイツは、いかなる場合でもロシアを孤立させてはいけない、そしてロシアとの対話は継続していかければならないと異口同音に表明している。ドイツ首相のアンゲラ・メルケルの言葉によれば、ロシアに関するEUの最後の決議にはEUから同盟についてのシグナル(信号)が発せられている。
EUとロシアの経済関係は、断絶されることはあり得ない。なぜなら、第一に言えることは、西欧及び全世界のビジネスは嵐のように発展するロシア市場に自国の存在感を強めることに関心を持っているということだ。
例えば、自分のヨーロッパの支店を通じてロシアでの自国のビジネスを推進する欧州や世界の自動車メーカーは、ロシアでの生産を縮小どころか拡大する意向がある。これは当然のことだ。なぜなら、本年、ロシアは、あらゆるデータによれば、ドイツを抜いて、ヨーロッパで最大級の自動車市場国になると予測されるからだ。ロシアに「姉妹会社」TNK-BPを持つイギリスの石油巨人企業BPは現在かなり業績が悪化しており、自社ビジネスをロシアで展開する必要に迫られている。
ロシアに対してヨーロッパの投資家と輸出業者が持つ楽観はアメリカの企業も共有している。先週、300社以上が統合するアメリカの国際貿易国家評議会は、ジョージ・ブッシュ大統領に、ロシアに対して如何なる経済制裁措置も取らないよう嘆願した。同じく先週、すべての人に知られているあの有名なPepsiCO社は、ロシアの大手ジュースメーカー「レベジャンスキー」の買収に関する取引を終了した(つまり、資金を払った)。ところで、取引自体についてはすでに春に合意されていた。なぜなら、PepsiCO社には熟考する時間が欲しかったからだ。金を払ったところを見ると、PepsiCO社は当初の決定を変えなかったようだ。
南オセチアの紛争が外国からのロシアへの投資流入に一定の損失を与えたことは事実だ。金融的損失、まずもって投機的マインド、が低下したことだ。直接の紛争時のロシアからの資金流出、まず先に株式市場からの流出額は、様々な評価によれば、80-200億ドルに達する。その次の週には、30-40億ドルが流出した。
しかし、株式市場の専門家によると、「基本的には、ロシアの経済自体は何も変わらず、ロシア企業は従来通り利益体質のままであり、現在は、まさに、「安値」で買収できる絶好の機会である」と語っている。従い、年末までには、どうやら、外国投資家は再びロシア市場に戻ってくる筈だ。