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リスクをチャンスに置き換える実力が求められる足元の金融市場(KlugView)
2008/09/05 (金) 13:04
9月4日、欧州中央銀行(ECB)は、定例理事会で政策金利を現行水準(4.25%)のまま据え置くことを決めました。トリシェECB総裁は、理事会後の記者会見で、「景気は次第に下振れリスクが高まっている」とコメントし、景気減速への懸念を強めています。ただインフレについても、「物価安定のためならあらゆる手段を取る」と語り、インフレへの警戒感も隠しません。現在(8月)の消費者物価上昇率(インフレ率)が前年比プラス3.8%と、ECBの目標である2%未満を大きく上回っていることを考えれば、当然かもしれません。
景気減速のリスクは高まっているものの、インフレの警戒感も強い、というECBのスタンスから考えれば、政策金利を据え置くという今回の結果は、ある程度自然のことといえます。以前のようにインフレ警戒一辺倒だった姿勢が変わり、(それなりに)景気減速に配慮するような発言が出てくるところをみると、ECBのスタンスは数ヶ月前に比べ明らかに変わった、つまり以前のような利上げに対する意欲の強さはなくなったと考えられます。
ECBだけでなく、先進各国の金融政策は、利上げモードから据え置きモードに移り変わったように思えます。ECBと同じ日に政策金利を発表したイングランド銀行(BOE)も、政策金利を現行水準(5.00%)に据え置いています。英国も、ユーロ圏と同様に、景気減速懸念が強まっているものの、インフレ率は目標を大きく上回っている状況です。言い換えれば、BOEもECBと同様に金融政策で身動きが取りづらくなっているともいえます。
ただ、中央銀行が身動きを取りづらい、ということは、政策金利は長い間変わらない(安定的である)、という意味になりません。景気とインフレ率の双方が中央銀行にとって好ましくない状況にあるがゆえに、政策金利を変えることが難しいわけで、どちらかが中央銀行にとって都合の良い状況になれば、もう片方の不都合を解消すべく、政策金利を変える可能性が充分にあります。ただ、景気とインフレ率のどちらが先に改善する(中央銀行にとって都合の良い状況になる)かは、見極めにくく、どちらに傾くかが分からないという意味で、各国金融政策(政策金利)の先行きは非常に不透明であるといえます。
一般的に、金融政策の先行き不透明感が強い場合、株式や債券、為替といった金融市場の動きは、不安定なものとなり、動き方も一方向に大きく動くことが増えます。今週後半から、世界的に株価が下落し、為替市場では円高(というより欧州通貨安)が進展したのは、世界的に金融政策の方向性が読みにくくなったことと無縁ではないと思われます。
リスクをチャンスに変える、という意味では、足元の動きは投資家にとってチャンスとみえるでしょう。しかし、リスクをきちんとチャンスに切り替える技能がない場合、無防備に市場と立ち向かうのは、大きくなっているリスクをまともに被ることになります。こういう時こそ、自分自身がリスクに対して、どの程度、チャンスに置き換えることが出来るかを見極めることが重要なのかもしれません。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
8月のユーロ圏のインフレ率(消費者物価上昇率)
はどれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
前年比プラス3.8%
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/09/05/003573.php