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http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=1020&f=column_1020_001.shtml
先日発表された月次の貿易統計によると、9月の貿易収支は294億米ドル。8月に続き、2カ月連続で過去最高を記録した。輸出の増加率は21.5%。8月と比べ、0.4%ポイント増えている。今年に入ってからの動きを見ても、決して下降トレンドではない。意外にも輸出は好調を維持している。 一方、輸入の増加率は21.3%。数字だけみれば高いものの、8月と比べると1.8%ポイント減っている。最近の動きを見ると、5月をピークに下降トレンドを描いている。これも少し意外である。 世界経済が明らかに悪化傾向にある中で、なぜ中国の輸出が好調を維持しているのであろうか。中国の輸出製品は、食料品、衣料品、家庭電器製品、パソコンなど広範囲に及ぶが、自動車、住宅、高級嗜好品など、景気後退によって大きく打撃を受ける高額商品は少ない。景気後退で真っ先に需要が落ち込む資本財も少ない。 また、中国の主力製品は低価格品。不況下で生活防衛を強める消費者は、高価格品から中低価格品へと購入する商品をシフトさせる。景気後退期でも、こうした商品の需要はそれほど落ち込まないといえよう。 “世界経済が後退局面に入れば輸出依存度の高い中国は最も大きなダメージを受ける”という定説は、今のところ当たっていない。しかし、将来はどうであろうか。もともと消費は経済全体の動きに対して遅行する傾向にある。欧米の消費が悪くなるのはこれからである。だから、まったく心配ないとはいえない。今後は、減税措置、輸出振興、適切な為替政策など、政府のコントロールが必要となるだろう。 今回の発表データの中では、輸出よりも、輸入の動きが気になる。ミクロでいえば、不動産、鉄鋼、石炭などで価格低下がはっきりとしてきた。物価についても、鈍化傾向にある。マネーサプライについても、伸び率が鈍化し始めた。内需低迷の影響が、輸入にも表れているのかもしれない。 もっとも、9月の輸入の伸び率は、鈍化したとはいえ20%を超えており、最近では、2006年から2007年前半のレベルである。現段階では、依然として、堅調といえるレベルであるが、今後も引き続き低下傾向が続くかもしれない。 昨年末から今年の前半にかけて、政府は金融引き締めを強化している。政策にはタイムラグがあり、その影響が今後引き続き、生産にブレーキをかける可能性がある。現段階から、金融緩和政策、積極財政などによる景気刺激策を行い、内需を支える必要があるかもしれない。 今にして思えば、政府の経済情勢の分析力、政策発動に対する機動性には感心させられる。輸出産業に対する政策は7月の時点で、金融政策については9月の時点ではっきりと転換している。為替管理についても7月後半を境に円ドルレートをほぼ固定させている。 すでに金融緩和は始まっている。この先期待されるのは景気刺激政策である。特に、インフラ、機械、自動車、不動産などの産業に対する振興策への期待は大きい。これらの産業は、経済発展上、重要な役割を担っており、潜在的な投資需要も大きく、政府による投資加速が資源配分の無駄になることはない。 日本でも、公共投資を通じた景気対策が行われつつあるが、なかなか中国のように、はっきりとした潜在需要のあるもの、波及効果の大きなものを見つけにくい。そんな日本経済からみれば、成長過程にあり、潜在的な投資需要の大きい中国経済はうらやましい限りである。(執筆者:田代尚機 TS・チャイナ・リサーチ(株)代表取締役) |