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Cアジアの幻想(新興国バブルの終焉)資本主義精神について。
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投稿者 Ddog 日時 2008 年 10 月 19 日 09:11:04: ZR5JcjFY1l.PQ
 

Cアジアの幻想(新興国バブルの終焉)資本主義精神について。

この2週間、市場をウォッチするのが精一杯で図書館で予約していた本がいつものように次々20数冊ほど着いたが、すべて読みきれなかった。せっかく着いたのでやむをえず借りたが、斜め読みしてやむなく返却。まともに読んだのが。
1、秘録 陸軍中野学校 新潮文庫 畠山清行 著 保阪正康 編
2、諜報員たちの戦後 斉藤充功 角川書店
3、昭和史の逆説 井上寿一 新潮新書
4、日本経済を襲う2つの波 リチャードクー 徳間書店 
5、反米経済 門倉貴史 PHP
この5冊。
借りた20数冊の中には批判のコラムを書こうと借りた副島隆彦の歴史を見る眼もあったが、批評にも値しない駄本で、斜めに読むのすら退屈だった。

日本経済を襲う2つの波 リチャードクー 徳間書店 は秀逸な本であったが、書いた時期がまだ石油が高騰していた時期だっただけに話が陳腐化していて残念であった。いずれ取り上げたい。1.2.3は本を返したら新刊か中古を買いコラムを書こうと思っています。

門倉貴史さんの「反米経済」副題:凋落するアメリカに追随してはいけないを読み、批判として、資本主義精神について論じたい。
 

VISTAの名付け親BRICs経済研究所代表 門倉貴史さんの本「中国発の世界恐慌は来るのか?」は大変面白かったが、今回は少し批判させていただく。
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/15578913.html

アメリカの凋落は「私も認めざるを得ないが、凋落したアメリカに代わってBRICsが台頭するであろうとの予測には、異論をはさみたい。

門倉氏は短期的にはBRICsが金融危機の影響で失速するとしているが、だが、中長期的には巨大な経済圏を形成することを主張されている。米国に反旗を掲げる国々を紹介。「対米依存症」にかかった日本経済が抱えるリスク。云々書いている。「反米経済」冒頭にポールケネディの「大国の興亡」の「歴史的に見ても、永遠にどの国よりも優位にたつことはできない」との史観を述べている。これは真実で正しいと思う。彼もそう思うがゆえにBRICs経済研究所なるものを設立下のだと思うが、多少原理主義的ではないだろうか?

かつてマルクスが資本主義に取って代わり社会主義になるのは歴史の必然であると予言し、その予言ゆえに多くの若者を惑わせ無用な血が流れたように、歴史には人間が予言した「必然性」などというものは存在しないかもしれない。(ワォ!、尊敬するポールケネディまで批判しちまった)

門倉さんは、覇権がアメリカから簡単にBRICs諸国へ移動するだろうと考えている。彼はまだ若い、戦前日本が、「バスに乗り遅れるな」との国内世論の錯誤から、米英との協調路線から逸脱していった歴史的経緯の詳細を認識していない。(この詳細に関し「反米経済」を読む直前に読んだ[「昭和史の逆説」 井上寿一 新潮新書]は実に上手く説明している。)

目先の仏印や新世界秩序の分け前をドイツ・イタリアと共有しようと英米との協調路線から、天皇陛下の意に抗し日独伊3国同盟を締結した愚行に通じるものがある。安易で早急な短慮な結果、担ぐ神輿を間違えてしまうと国家の存亡にかかわるのである。

門倉氏が覇権がアメリカ一極から多極化して長期的にはBRICs諸国へ移動すると主張することに私がなぜ異をとなえるかというと、現在のBRICs諸国において資本主義の精神がはたして存在するのか非常に疑問に感じるからである。

私は新興国の未来を信じてはいない。幻想に過ぎないと思っています。

@アジアの幻想(新興国バブルの終焉)フラット化した世界〜日米中人口動態俯瞰
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/13147348.html
Aアジアの幻想(新興国バブルの終焉)日米中人口動態俯瞰 〜ゴールドマンサックスBRICsリポートは正しいのか?
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/13147662.html
Bアジアの幻想(新興国バブルの終焉)人口動態に見る「アジアの時代」の終焉
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/13147831.html

アジアの幻想(新興国バブルの終焉)を主張する根拠の一つとして人口構成について論じましたが、もう一つの根拠として、資本主義精神の欠如している経済は離陸take offできないと私は確信しているからであります。

ブラジル、ロシア、インド、中国にはたして資本主義の『精神』が存在しているのであろうか?

資本主義の『精神』とは「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の『精神』」(Die protestantische Ethik und der 'Geist' des Kapitalismus)は、ドイツの社会学者マックス・ヴェーバーによって1904年〜1905年に著された論文において取り上げられた、資本主義経済の発展の鍵である。

プロテスタンティズムの倫理が、資本主義を興隆させたという話を知らずして、資本主義を語ることはできない。もっとも私も原書で読んだのではなく、岩波の文庫本を読み、それだけでは理解できず、山本七平「日本資本主義の精神」を読み、次に小室直樹の本を読み私は理解したつもりになっています。

資本主義とは近代社会が自由にどん欲な利益追求をもたらしたのではない。ヴェーバー曰く、「決して近代人だけが、欲深なわけではなく、利にさといのは人の常である」。どんな時代や国においても、みな限りない欲望(金銭欲)がある。

4千年の歴史をもつ中国の最初の王朝は「殷」であるが、「商」とも呼ばれ、商売こそが中国の基礎であった。イスラム諸国も、シンドバットの時代から商売上手で、西欧諸国よりも、資本主義成立の条件は整っていた。

どん欲さが資本主義を生むなら、いたるところで、資本主義が生まれたはずだろう。1900年当時も中国やインドの方が人口や資源に恵まれていた。にもかかわらずなぜ、当時イギリス・ドイツ・オランダ・ベルギー・北部フランス・アメリカなどのプロテスタントの国だけに資本主義が成立し、繁栄していたのであろうか?人口や資源だけで論じたのであれば、中国やインド、アラブ諸国は、西欧諸国より早く資本主義が成立して、今日新興諸国扱いされていなかったであろう。

ヴェーバーが言う資本主義の精神とは、単なる利益追求や権力や名誉を得る為利益を貯めのものではない。
岩波文庫P342
{{{---------------------------------------------------------------------------------
プロテスタンティズムの世俗内的禁欲は、所有物の無頓着な享楽に全力をあげて反対し、消費を、とりわけ奢侈的な消費を圧殺した。その反面、この禁欲は心理的効果として財の獲得を伝統主義的倫理の障害から解き放った。利潤の追求を合法化したばかりでなく、それをまさしく神の意志に添うものと考えて、そうした伝統主義の桎梏を破砕してしまったのだ。ピュウリタンをはじめとして、クエイカー派の偉大な護教者バークリーが明らかに証言しているように、肉の欲、外物への執着との戦いは、決して合理的営利との戦いではなく、所有物の非合理的使用に対する戦いなのだった。
----------------------------------------------------------------------------------}}}
資本主義の精神を構成する最も重要な要素は何か。

勤勉に働くのは実は人間の自然状態ではない。資本主義の精神その最も重要な一部分を一言でいえば、それは「勤勉の精神」である。それは、労働を神聖なる宗教的行動とする精神である。とは言っても、それは、全世界をその中に内包するほどの深遠なる意味を有する。労働こそ、いちばん大切な人間行動である。人間は、その人がなす労働によって評価されるべきものである。

また、資本主義の精神とは、利益追求あるいは具体的行動として経済合理性をコントロールする精神のことであり、野放しの貪欲な利益追求は資本主義ではない。

略奪や戦争によって利益を得る、相手を騙して利益を得る、奴隷を酷使して利益を得る。これらはけして資本主義とはいえないのである。単なる儲け主義であるならば、近代以前からずっと存在していたのである。

貪欲な利益追求の果てに金融危機に至ったウォール街は資本主義の精神と乖離していたと私は思ったのだが、小室直樹先生は、日本資本主義崩壊の論理において、
{{{--------------------------------------------------------------------------------
アメリカ病とは、資本主義の精神の欠如による経済の病気ではない。不足、未成熟によるものでもない。資本主義の精神は十分にあるのだが。いやあり余って、燗熟しすぎて腐熟し、腐臭を発しているような経済のことをいう。そのことによって発する経済的病気のことをいう。
ソ連病が資本主義の精神の不熟に由る病気だと言えば、アメリカ病は資本主義の精神の腐熟に由る病気と言うべきか。まことに、対蹠的な病気ではある。
---------------------------------------------------------------------------------}}}
ウォール街は資本主義精神の欠如ではなく過剰であったか・・・。
一度資本主義が成立すれば、資本主義の精神はご用済みであるとも小室先生は述べている。

ゴールドマンサックスのレポートにあるように、2050年にはBRICs経済が発展し、本当に中国が世界一の経済大国に本当になれるのであろうか?

毒入りギョーザに続き、毒入りインゲン、メラニン混入、次々と信じがたい事件が止むことがない中国に、マックス・ヴェーバーの言う 資本主義の「精神」など存在するとは思えない。

キリスト教国ではない日本にも資本主義の「精神」は存在しないという議論はここでは避けたいが、山本七平「日本資本主義の精神」に記してあるように、江戸時代の思想家鈴木正三の説いた「農業即仏業なり」「何の事業も即仏行なり」の労働の宗教行為化と、禁欲的精神による事業の再生産が資本の蓄積をもたらし、資本主義を成立させたのである。

中国は、日常的に相手を騙して利益を得る社会環境において、資本主義の精神は育まれるとは思えない。共産党の特権階級(貴族)が農村出身の「民工」という名の低賃金「奴隷」を酷使して利益を得る姿は前近代的である。チベットや南シナ海域の島々を略奪して利益を得る、姿は帝国主義ではあるが、資本主義的精神の欠片はまったく見あたらない。

ヴェーバー曰く=「富を目的として追求することは邪悪の局地としながらも他方(天職である)職業労働の結果富を獲得するのは神の恩恵だ。この宗教思想からの経済的結論として、禁欲的節約強制による資本形成がなされるのである」=資本形成こそ資本主義の要諦であり、拡大再生産し、発展し、成長するのである。

中国の富裕層は伝統的に富を蓄積はするが浪費し、資本主義的節制に程遠いイメージである。中国の庶民は高い貯蓄率にも表れているように奴隷労働の結果資本蓄積を行っているように見えるが、政府共産党の失政により、本当に中国の銀行にその資産が蓄えられているか疑問である。

ロシア。中国と同じく富裕層の資本主義精神の欠如は同類、庶民に至っては目的合理性の精神は見当たらず、石油・天然ガスによる開発独裁経済にすぎない。

カトリック系のラテンの国ブラジルは快楽主義ではあってもプロテスタント的禁欲主義には程遠い。同じくインド、カースト制を克服できない国に資本主義は根づくとは思えない。

アメリカという亡霊資本主義国の没落により、こういった資本主義の精神の欠如する国の拡大再生産は今後期待しない方が無難と考える。

BRICs諸国に私の認識不足で資本主義精神が根付いていたならば亡霊資本主義国が没落しようと関係なく経済は離陸することはできよう。しかし、単に人口が多い、資源がある、成長率が高いことだけをBRICs発展の根拠とする門倉貴史の世界観は、非常に未熟としか言いようが無い。第二次世界大戦前であれば日独伊三国同盟を歓迎する若手将校程度。また、60年代であれば社会主義建設を夢見た連合赤軍やよど号ハイジャック犯程度の世界観にすぎない。

【Ddogのプログレッシブな日々】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/18551428.html
 

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