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【金融911】 国際金融動物の猛獣たちが生み出した詐欺証券商品が今、世界経済を転倒させようとしている 【ブルームバーグ】
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投稿者 愚民党 日時 2008 年 10 月 18 日 17:49:31: ogcGl0q1DMbpk
 

書評:秘密主義者ゴールドマンの知られざる歴史「ザ・パートナーシップ」

  10月17日(ブルームバーグ):シドニー・ワインバーグ氏は12、13歳のときに学校で落ちこぼれ、最初の職をウォール街で得た。

  金融混乱のさなかの1907年のことだった。ブルックリン育ちの少年だった同氏が得たのは、ゴールドマン・サックスという会社の庶務の仕事だった。

  同氏は1927年までにパートナーになり、1938年には複数の会社の取締役を務めていた。その1つは、最高経営責任者(CEO)が財務情報を粉飾したことが発覚し破産の危機にひんしているマケソン・アンド・ロビンスという医薬品卸会社だった。ある日、同社の取締役らが緊急会合を開いていると、CEOが自殺したという情報が入ってきた。

  ワインバーグ氏は言った。「罪を犯したんだから、一応、首にしよう」。今日の企業幹部にこれだけ厳しい発言をする勇気があるだろうか。

  ゴールドマン・サックス・グループの139年間の歴史を描いたチャールズ・D・エリス氏の著書「ザ・パートナーシップ:ザ・メーキング・オブ・ゴールドマン・サックス(原題)」には、こんなエピソードが散りばめられている。729 ページの大著を、読者は面白い情報に出会ったり退屈したり、ときには怒りを覚えたりしながら読み進むだろう。

  ゴールドマンの秘密主義は有名だ。同社は「何も発表しないことを社是としている」とエリス氏は指摘する。同社が1999年に株式を公開したとき、新規株式公開(IPO)の目論見書を、人々は国防総省の文書であるかのような興奮をもってページをめくった。エリス氏によると、ゴールドマンは報道を嫌う。同社の広報担当者の仕事は「自社関連記事の数を最小限に抑える」ことだという。

             栄光と不名誉

  そういうわけで、ゴールドマンの栄光と時折の不名誉の歴史に光をあてようとしたエリス氏の著書は、一読に値する。同氏は本著を執筆するにあたってゴールドマンのパートナー100人以上を取材したという。ゴールドマン関連書の筆者でこれほどの情報源を持つ者はほとんど皆無だ。

  コンサルティング会社グリニッジ・アソシエーツの創業者で30年余りにわたりゴールドマンを顧客としてきたエリス氏にはゴールドマン寄りの姿勢も見られる。例えばゴールドマンのパートナーだったロバート・フリーマン氏についての章だ。同氏はインサイダー取引の罪に問われ1987年2月、ゴールドマンのマンハッタンの本社から手錠をかけられて連行された。同氏はその後、非公開情報に基づいた取引1件について有罪を認め4カ月服役した。

  エリス氏は事実を伝えることに満足せず、この事件を「不幸で悲しい不当な事件」と呼び、検察や報道関係者、先に罪を認め当局に協力した別の会社のバンカーなどを批判している。

            暗号名はアリス

  「ザ・パートナーシップ」には、ちょっと目を見張るような興味深い話も盛り込まれている。例えば、1956年に米自動車メーカー、フォード・モーターのIPOで幹事を勝ち取ったときのエピソード。当時、史上最大規模だったフォードのIPOは秘密裏に進められ、上述のワインバーグ氏はヘンリー・フォード2世に暗号文書を手渡したほどだという。暗号名はフォード社が「アグネス」、ヘンリー・フォード氏が「アリス」、ワインバーグ氏が「エディス」だった。

  ゴールドマンは19世紀末に、今日のコマーシャルペーパー(CP)の前身のような「マーカンタイル・ペーパー」の販売業者として創業。当時のウォール街が手掛けなかったニッチなすき間市場で力を伸ばしたという。

  エリス氏はゴールドマンの憲法とも言うべき「ビジネス・プリンシプルズ(事業の原則)」を大きく取り上げている。これはシニアパートナーだったジョン・ホワイトヘッド氏が1970年代にまとめた同社の価値観の集大成。チームワークと高潔、顧客第一姿勢を重視する企業文化を成文化したものだ。

             「原則」の変容

  しかしゴールドマンはその後の年月の中で、都合が悪くなった「原則」の幾つかを捨てた。例えば、顧客と競合する資産運用事業には参入しないという原則は、この事業がいかにもうかるかに気付くと棚上げされた。

  また、ゴールドマンは長年、敵対的買収を仕掛ける企業のアドバイザーを務めることを避け、防戦に努める側を助ける正義の味方の役割を好んでいた。しかし、敵対的買収案件のおいしさに気付いたヘンリー・ポールソンCEO(当時、現米財務長官)はこの方針を撤回した。

  ゴールドマンはしばしば、創意工夫と頭脳で同業他社よりも優れていると評される。ただ、ウォール街の知性の標準は近年、かなり低くなっていた。何と言っても、ウォール街の天才たちが生み出した商品が今、世界経済を転倒させようとしているのだから。「筋を通す」ワインバーグ氏が生きていたら、ゴールドマン幹部の誰かを「首にしよう」と主張していたかもしれない。(スーザン・アンティラ)

(スーザン・アンティラ氏はブルームバーグ・ニュースの書評家です。この書評の内容は同氏自身の見解です)

更新日時 : 2008/10/17 16:49 JST

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003001&sid=a2a_9NT7bHnw&refer=commentary



 

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