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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu178.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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米国は金融系に産業をシフトすることで、実業をどんどんつぶして
国外に追い出してきました。金融がNGなら、どうすればいいのか?
2008年10月17日 金曜日
◆状況は「波高シ。サレド天気晴朗」 10月17日 焼き鳥屋で語る金融恐慌
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20081015/173965/?P=1
編集・山中(以下Y) 今気になるのは、アメリカの人たちがこの状況をどう感じているかですね。これはやっぱりやばかったと心底思っているのでしょうか、それともあっさり忘れてしまうのか。こんな話こそ、感覚的にしか言えない問題だと思うのですが、いかがでしょう。
倉都 分からないですよ。ただ今回の法案審議の過程で、金融救済に対してあれだけ激しい嫌悪が噴き出したことはね。
Y 金融の経営者はグリード(強欲)だという批判ですね。
倉都 あそこまでもめると思わなかったですね。何だかんだ条件は付けるだろうけど、そうは言っても法案は通すよなと思っていたら、大反発が待っていた。いや、そこまで大変なのかと。いかに金融に対する嫌悪感がきついのか。
批判とか、非難じゃないですよ。もはや生理的嫌悪感ですよ、これは。成功者をポジティブに捉える米国では今までなかなか言えなかったことだけど、そういうものがぼーんと噴きだしてきた。ということは、金融の連中は昔みたいには戻れない。もちろん金融という機能は残るんですけれども、金融収益にGDPの3割、4割を依存するような、ああいう経済構造というのはまず、当面、復活はしない。少なく見ても5年、10年は復活しないでしょう。
Y そもそも資金の貸し手が出てこないでしょうね。
倉都 そういうことです。
Y しかし、米国は金融系に産業をシフトすることで、実業をどんどんつぶして国外に追い出してきました。金融がNGなら、どうすればいいんだという話になりますよね。
倉都 おっしゃる通りです、没落です。もう農業をやるしかないんじゃないですか。一応、農業国ですから。
Y そうなりますか。
倉都 まあ、半分冗談ですけれども、本当にアメリカは次が何、というのがないと思うんですよね、今。
Y 先が見えないですよね。
倉都 次にどういう産業をコアにするのというと、ないですよ。これはアメリカの悩みでもありますけれども、世界経済の悩みでもあるでしょうね。
Y しかし米国にその手のパワー自体がなくなってくると、もちろん軍事にもそれが反映されて。
倉都 もろ影響しますよ。
Y 米国はおそらく引きこもりに入りますね。
倉都 間違いないんじゃないですか。
Y 変な話、グルジアなど欧州での強気な姿勢なんて、その辺まで読んでいたのかな、みたいな気もしなくもないですよね。
倉都 何か足元を見ているって感じのね。
Y 大統領選のどたばたの足元だろうと思っていたら、もうちょっと深かったりして。
倉都 ロシアがここまでの深読みをしていたかどうかといいますと、今、自分のところの経済に火が付いていますから、そこまでは読んでなかったと思うんですけれども、でもトレンドとして「もうアメリカはそんなに反撃してこない」という読みはたぶん、ロシア側にはあったと思います。アメリカの凋落というのは、相場観としてははっきり見えるんじゃないですかね。
Y 翻って日本を見ると、意外に対米依存度が…もちろん高いんですけれど、思っているほどではないという話もありますよね(注:今年7月の貿易輸出相手国第1位が、米国から中国に替わったと話題になった。対米輸出の比率は2006年で22%、1985年は37%)。
倉都 対米貿易で成長してきたときに第一線で仕事をしてきた世代は「とにかく米国が」と思いこみがちですが、数字自体は案外高くないですよ。もちろん、いま最大の相手国の中国は米国とリンクしていますし、大変は大変だと思うんですけれども、日本の国がひっくり返るような、そんな深刻さじゃないと思いますよ。
Y 日本は国内市場もでかい。焼鳥屋気分で言いますが、引きずられて沈むかというと、たぶんそうでもない。
倉都 沈まないと思いますよ。
Y どんなところにも希望は、見ようと思えば見いだせる、そんな頼りないと言えば頼りない話かもしれませんけれどね、考えようによってはですよ、ざっくり10年前くらいから、米国が吹かせてくるグローバリゼーションの風に押されて、行き止まりの湾の中に押し込まれて、どうにも出られなかったのが、いまは、まだ波は荒れているんだけど「あれ、外海に出られるんじゃない?」みたいなとらえ方もできるんじゃないかと。
倉都 それはありますね。金融の面でいうと、僕は今回の野村證券の戦略、あれはいい買い物をしたんじゃないかなと。あえてリーマン・ブラザーズの中枢たるニューヨークは買わずに、アジアと太平洋、欧州そして中東を手に入れた。さすがという気持ちはしましたよ。
いろいろリスクが高いとか、リーマンなんか買っても意味がないとか言う方はいらっしゃるし、それは一面事実ですけど、リスクのない投資ってありませんよね。リーマンはもうそんなに大した価値はないかもしれないですけれども、投資銀行のビジネスは残るでしょう。そうしたときに図らずも野村證券というのは、世界でほぼ唯一の独立系投資銀行になったわけです。
Y ああ、そうですね。
倉都 これは野村は実は、しめしめと思っているかもしれない。金融に限らず、ああいう形できちんと世界戦略が打てる企業が出てくるというのは、今までになかったことだと思いますね。
Y その評価の理由を、もうちょっと噛み砕いて頂くと…
倉都 まず中東マネーとか、あの辺を押さえにいくというのは重要ですよね。そして中東マネーは何だかんだ言って、ロンドンを経由してアジアに行きます。アジアはアジアで日本の足元ですし、成長力は非常に強い。
Y なるほど、今後米国から覇権を取り返すEU(前回参照)と、その主要なお客さんをまず押さえてしまおうという。
倉都 そうそう。さらに成長力、潜在力とかは、アジアは非常に強いですから、そこも抑える。いい投資戦略だったんじゃないかなとは思っています。
Y お話を戻してしまいますが、そうして覇権を奪われそうなアメリカはどこを「反省」するのが正しいんでしょうか。
というのは、いま悪の根源のように言われる投資銀行とか、金融の仕組みというのは、偏在している行き場のない力としてのお金というやつと、同様に偏在している、お金があればいろいろなことができるという実業の部分を、お互いに納得できるリスクを取ってやりとりしましょうよ、というのが本来の姿ですよね。
だから、なくなっていいわけでもないし、その機能自体が公正な市場という形で表れてくるのは必要かくべからざるものだし、そこで勝ち残るスキルなり、野心なりを持った方が出てくるのも、全然悪いことじゃない。
倉都 悪くないですよ。
Y だとすると、ここで言う「反省する」というのは、具体的にはレバレッジを効かせすぎた取引の自粛、よりはっきりいえば、返す当てのない借金を止める、ということだと思うのですが。
倉都 ええ、そうですね。やっぱり借金は借金なんですよ。
Y 借金は借金、その心は。
倉都 借金というのは人様からお金を借りて、返さなきゃいけないという、まずその意識があるべき行為ですよね。
Y そうか。サブプライムローンって、「ローンの借金をこつこつ返そう」ではなくて、「物件の値上がり益で次のローンに借り換えよう」という話ですもんね。
倉都 おっしゃる通りです。収入の中から元本を返すという発想がないんです。収入がない人に家を売る商品ですから。
Y 考えてみると恐ろしいですね。「米国には家を欲しがる人がぞくぞくと増えていくから、住宅価格は実需によって上がり続ける」という理屈が少なくとも4年か、5年の間は機能しちゃったんですもんね。
倉都 していたんですね。
Y 実は、米国に比べて、こつこつ30年ローンを返す日本人はなんだかばかみたいじゃないかと、思ったことが何度かあるんですけど(笑)。
倉都 それはばかでも何でもないですよ、いかにまっとうかという話。30年こつこつ返すというのは金利ですよね。サブプライムローンというのは値上がり益です。金融って両方の側面があるんですけど、やっぱり基本は金利と配当なわけですよ。昔は株だって値上がりよりも配当。それがもともとの発想だったわけですから。
もちろん日本でも地価の上昇という形で値上がり益をつくり出してきたのですが、それをカタに借金して消費、という発想はなかった。値上がり益に徹底的に依存しようという、これはアングロサクソン型の金融の、ある意味暴走でしょう。
Y 値上がり益を前提とした市場ができたおかげで、暴走が可能になった。
倉都 そうなんですよ。市場がそれをうわっと増幅しちゃったわけですよね。それにはいいところもあるし、一概には否定できないんですけれど。基本は金利と配当なんだということを、ばかにするような風潮はやっぱりだめだと思いますね。
Y 未来から振り返ってみたら、この期間の連中はいったい何をやっていたんだと思われる時代なのかもしれないですね。
倉都 ああ、こういう時代があったんだねえ、ということになるんじゃないですか、振り返って。前回もお話ししましたが、そういう歴史の証言という意味でも『市場リスク 暴落は必然か』(リチャード・ブックステーバー著)はいい本ですね。
Y ご自身の本(、『投資銀行バブルの終焉』)もすごいタイミングになりましたけれど。
倉都 さすがに、自分でもびっくりしましたけど。
Y こんなに早いとは思わなかった?
(私のコメント)
現代の日本には長期的な国家戦略を考える人はいなくなり、成り行き任せの行き当たりばったりで来ていますが、世界の覇権国家となるためには長期戦略を考える人がいないと世界の先頭に立つ事はできない。アメリカは物作りを止めて金融にシフトして行く事を国家戦略としてきた。
軍事力は依然として健在ではあるけれども、金融がガタガタになって製造業が空洞化しているからアメリカは衰退していかざるを得ない。日本の長期戦略としてはアメリカが衰退していった場合に国防体制や経済戦略をどのように構築していくかということに焦点は絞られる。
アメリカが世界覇権を握っている時代はアメリカにくっ付いて行けばいいのですが、アメリカがこけた時の事は日本は全く想定していない。もしアメリカの大統領選挙で民主党のオバマが勝てば政権には左翼的なスタッフによって政権が出来るだろう。つまりクリントン政権と同じような政権が出来る。
ヒラリー・クリントンよりは過激ではないものの、左翼政権だから親中反日的な外交になるだろう。金融業を建て直すか無いのですが、国営化されて5年から10年は金融の建て直しに費やされるだろう。製造業は自動車産業を見れば分かるように燃費のいい車は作れなくなっている。それだけ技術の空洞化で建て直すのは難しい。
アメリカの軍事技術や航空宇宙産業の技術は最高なのですが、それが自動車に生かされないのはなぜなのだろう? ロシアや中国を見ても同じであり、有人宇宙ロケットを打ち上げているからといって自動車などの製造業とは関連がほとんど無いのだろう。
それは金融能力が優れているからといって会社経営が上手いかというとそうではないのと同じだ。金融屋が社長になるような会社は経費を節減して利益を出す事は上手いが、新製品を出すような技術力や経営能力は無い。アメリカは金融業に優秀な人材がシフトしてしまっている為にいまさら転換が出来ない。逆に金融マンが他の職業に転職しようにもタクシーの運転手しか職は無い。
日本にしても物作りは止めて金融立国を目指せという学者や評論家がいましたが、それは間違っている。以前に任天堂とゴールドマンサックスを比べて一人当たりの利益は任天堂のほうが高い事を紹介しましたが、これからの物作りはソフトとハードがセットになった物作りが経済戦略の要だ。
アメリカでもアップルのPCがそうであり、インテルのCPUもウィンドウズがセットになっている。自動車もハードよりもそこに組み込まれたソフトで差別化しているのであり、トヨタのプリウスは他のメーカーが造ろうと思っても同じ物は作れない。製品も独自の高度なソフトが組み込まれた製品が多くなり、真似の出来ない物作りが主流になっていく。
金融業も実体経済からかけ離れた規模になれば今回のようなクラッシュが起きるのは避けられない。そしていったんクラッシュが起きると国家に再起不能なほどのダメージを負わす事がわかった。1929年の大恐慌もダメージを回復するには20年もかかったのであり、日本のバブル崩壊も15年もかかってしまった。
しかしアメリカも日本も製造業は健在だったが、今回のアメリカの金融クラッシュには実体経済の空洞化で回復手段が無い。巨額な財政赤字と貿易赤字を埋める手段が無いのだ。不動産の値上がりや株の値上がりが永久に続けば成り立つような金融工学は一種の詐欺であり「ねずみ講」と同じだ。
「ねずみ講」をやっているからリーマンのCEOは300億もの報酬を得ていたのであり社員も数億もの報酬を得ていた。儲かった時は自分のものであり、損すれば税金で穴埋めしてくれれば投資銀行の栄光は不滅だ。これではアメリカの納税者も怒り出すのは当然であり、米国債を買わされる日本や中国もたまったものじゃない。
アメリカの経済が破綻すれば日本も破綻するという人が大勢いいるが、日本の対米輸出割合は85年頃は37%でしたが、06年には22%にまで減って半分近くに減っている。それだけ新興国市場やEUの市場などが広がってきたから状況はかなり変わってきている。
倉都氏のインタビューの後半でも触れられている事ですが、ヘッジファンドと地方銀行に問題が起きてきて、ヘッジファンドは今回の株の大暴落で解約が殺到して11月末頃には解約売りが殺到するだろう。CDSに手を出していたファンドは潰れて巨額な損失が出るだろう。消費が停滞すれば不良債権が地方銀行を直撃する。
このようになれば政府はヘッジファンドを放置する事はできず情報の開示が求められるようになるだろう。日本でも村上ファンドなどにどこから金が出ているのか情報の開示はされませんでしたがヤクザマネーなど地下経済と繋がっていたようだ。ヘッジファンドも国から監視されるようになればアングラマネーは一斉にアメリカから逃げて行く。
アメリカにしてもEUにしてもこれだけ国からの公的資金で金融機関が救済されれば国に行動が監視される事になり、今までのような勝手な真似は出来なくなる。スイス銀行にしても公的資金を注入されれば今までのような機密は保てなくなりアングラマネーは逃げ出す。UBSから資金流出が続いているのもアングラマネーが逃げ出しているからだ。
日本人はコツコツと30年間の住宅ロ−ンを払い続けていますが、アメリカのサブプライムローンは返済が出来ない人向けのローンであり、3年で倍に値上がりしたら買い換えればいいというローンであり、アメリカの金融はこれほどデタラメになっていた。
もっともアメリカという国家も米国債という一旦買わせたら二度と換金出来ない国債を日本政府に売りつけていますが、米国債はまさにサブプライム国債であり来年あたりに大量に買わされるはずだ。中国も同じように米国債を買い続けるのだろうか?
米国債ちょうど中世のヨーロッパのローマ教会の「免罪符」のようなものであり、「免罪符」は最初は十字軍遠征が元で発行されるようになった。やがてはサン・ピエトロ大聖堂の建設などに発行されるようになり、ローマ教会は腐敗堕落していった。アメリカ政府は世界に「免罪符」を売りまくって借金の穴埋めに使われる。
日本政府はなぜ「免罪符」を買うのかというと中東の戦争に参加せずに済むようにするためだ。アメリカにはキリスト教原理主義教会が大統領を選んでエルサレムの奪還を目指している。だからイラクに米軍を派遣したのですが、目的は大イスラエルの建設だ。このように書くと妄想じみていますが、キリスト教原理主義は米軍を現代の十字軍に例えているのだ。
アメリカの大統領選挙でも大統領候補のオバマをイスラム教徒だと思っているアメリカ人も多く、サダムフセインと9・11テロとは深い関係があると思っているアメリカ人が4割もいる。昨日はアメリカをアングロサクソン国家として書きましたが、オバマが大統領になればアングロサクソンの国から多民族国家の象徴となるだろう。そして多民族国家ということは宗教もキリスト教から多宗教な国家に変わって行くのだろう。
それはちょうど「免罪符」を売って堕落していったローマ教会のように、アメリカも「米国債」を世界に売って堕落していくのだろうか? それともバラク・オバマがマルチン・ルターとなってアメリカを改革していくのだろうか? アメリカはまさにその瀬戸際にいる。