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門倉貴史著「中国発世界恐慌は来るのか?」を読む:「将来に対する唯ぼんやりとした不安」を考えるB
日本や世界にとって最も「将来に対する唯ぼんやりとした不安」は中国であろう。
ここ4・5年言われ続けていたチャイナコンセンサスも(中国経済も北京オリンピックまでよくて上海万博までで止まるが、それまでは大丈夫)もいよいよ無くなる。24日さまざまの問題点を残し北京オリンピックは閉幕する。
昨年10月には6124ポイントだった上海株指数は8/22引けで2405ポイントだ2005年5月に1000ポイント割れから急上昇したのだから下落も早くて当然。それにしても未成熟な市場なのかギャンブル好きの国民性なのかはわからないが、急上昇した中国の株式相場の反動は大きく、バブルの傷跡はそう簡単には回復できない。
中国発世界恐慌は来るのか? (角川SSC新書 44) (新書) 門倉 貴史 (著)
http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E7%99%BA%E4%B8%96%E7%95%8C%E6%81%90%E6%85%8C%E3%81%AF%E6%9D%A5%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B-%E8%A7%92%E5%B7%9DSSC%E6%96%B0%E6%9B%B8-44-%E9%96%80%E5%80%89-%E8%B2%B4%E5%8F%B2/dp/4827550441/ref=sr_1_8?ie=UTF8&s=books&qid=1219072696&sr=8-8
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P4〜5 略・・2000年代に入ってから中国の世界経済における存在感の高まり、もし中国経済がなんらかのショックで変調をきたすようなことになれば、世界経済全体が大きなダメージを受けるということを意味する。かつては、「米国がくしゃみをすると日本が風邪をひく」と蓄われたが、いまでは「中国がくしゃみをすると、日本と米国が風邪をひく」といった状況になりつつあるのだ。
中国ではここ数年、景気が過熱した状態が続いており、投資の過熱やインフレ懸念を払拭するために、政策当局が利上げなどの金融引き締め政策を強化しているところだ。今後はこれまでの金融引き締め政策の効果が徐々に浸透してくるとみられるが、金融引き締め政策が強く効きすぎると、それが劇薬となって中国経済がソフトランディング(軟着陣)を通り越し、胴体を強く地面にたたきつけられるハードランディング(強行着陸)に陥ってしまう可能性がある。
また、08年はチベット動乱や四川大地震など想定外の危機にも直面している。
一方、これまで機関車のように胆界経済を引っ張ってきた米国では、07年の夏場以降、サブプライムローン(低所得層向けの住宅融資)の焦げ付き問題が深刻化しており、しばらくの間は景気が低迷した状態が続くとみられる。
米国経済の停滞に、最悪のタイミングで中国経済の失速という状況が重なれば、世界経済はかつて経験したことのないような、未曾有の大不況に見舞われることになるだろう。1929
年に起こった世界大恐慌のように、世界経済の繁栄という夢と希望は粉々に打ち砕かれてしまうのだ。もちろん、中国向け輸出の割合が高まっている日本経済も大きな打撃を受ける。日本の輸出に占める中国向けの割合は、80年にはわずか3・9%にすぎなかったが、07年には15・3%まで上昇している。
中国の金融引き締め政策がうまく機能して、短期的に中国経済がソフトランディングに成功したとしても、上海万博が終了した後の2011年以降は、少子高齢化の進展や通貨人民元の切り上げ、あるいは所得格差の拡大など様々な問題が噴出して、それが中国の高成長を妨げる要因として浮ヒしてくることになるだろう。略・・・・
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第1章 チベット動乱、四川大地震と北京五輪;
07年11月以降中国の貿易黒字が減少しているが、これはサブプライム問題というより、中国当局が意図して行われている。
これは、貿易収支の不均衡を、通貨レートの切り上げではなく、税制度改定により乗り切ろうとしている。
“輸出増値税(付加価値税)の還付率引き下げ撤廃”と、“輸出税”の増税
増値税は仕入れ金額と販売金額の差額に対し17%課税しているが、輸出業者に限っては原料の仕入れ分に限っては還付をうけることができるとされ、一種の輸出振興策であった。しかし、貿易摩擦が起きるようになり当局は2007年以降大幅に還付率の引き下げと撤廃をした。加工貿易はエネルギーを消費する為、エネルギーが逼迫するなか、加工貿易は望ましくないと考えるようになった。また多くの業者が輸出を水増しして申告しているため、当局の統計が大幅に信頼できないものとなっている。レアメタルの輸出にかかる税金が10%から25%に引き上げられるなど、輸出税も増税されている。
中国は輸出主導から内需主導経済に舵を切っている。
中国がチベットを手放さない理由は、銅鉄鉱石などの鉱物資源が豊富に埋蔵されていることが確認されたことによる。
【日経:中国最大の銅鉱山が9月操業へ チベット自治区】
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/asia/20080814D2M1403E14.html
第2章 中国経済、3つのシナリオ;
*バラ色に彩られた最良のシナリオ :オリンピック後過熱した景気とインフレ抑制の為金融引き締め策が効をそうし、過熱した不動産市況がバブル崩壊で無くソフトランディングに成功。→オリンピック後もしばらく健全な成長が見込める。中国の高度成長が世界的なインフレを加速し、米国をはじめ世界各国がインフレに四苦八苦する。
*問題先送りの灰色のシナリオ :オリンピック終了後金融スタンスを中立→再び景気は過熱(供給過剰)、経済成長率加速するが中長期的には深刻な不況→中国経済失速
中国の供給過剰→輸出加速→縮小した世界需要を中国が侵食→深刻な世界的不況とデフレ
*崩壊への暗黒シナリオ :金融引き締め策が効きすぎてしまう。→資産バブル崩壊→深刻な金融システムの崩壊→社会不安
【日経:中国、景気対策「6兆円規模」か 現地紙報道】
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/asia/20080821D2M2102V21.html
第3章 深刻化する所得格差;
北京オリンピック後のシナリオは専門家でも意見は分かれるが2011年以降は減速(失速)していることだけは確実であろう。6倍の所得格差は深刻な格差社会の弊害が起きている。
西部新興、東北振興の他に中部新興を動き出している。中国の汚職事件の影に愛人問題が絡んでいることが報告されている。
第4章 ニューリッチという新階層;
金融資産100万ドル(約1億円)以上の億万長者は35万人(日本130万人)。中国の富裕層には日本の「コシヒカリ」が人気で、富裕層は食の安全の観点で日本産が好まれている。
中国の新富裕層は、ゴルフ、ワイン、骨董美術品、金、名石、欧州ブランドの高級品がブーム(バブル)となっている。中国の富裕層は豊かになって日が浅い為「見得」の消費を増やしている。
第5章 「一人っ子政策」の歪み;
1950〜60年代の冷戦下、中国は米国やソ連との戦争に備えて人口の量的拡大を図った。
しかし、人口爆発によりー人あたりの生活水準が伸び悩むようになり、経済発展は大幅に遅れることになった。頭を悩ませた中国政府は、79年12月に、それまでの人口拡大路線から人口抑制路線へと政策を180度転換、いわゆる「一人っ子政策」の採用を決定した。
1960年代のベビーブームに生まれた人が65歳以上になる2025〜2035年人口構成の高齢化が史上稀なスピードで進み、経済が未成熟な段階で高齢化社会になり深刻な問題となる。
男女の比が歪んでしまった。世界の男女出生比女子:男子=100:105が中国100:122
一人っ子→高学歴化→雇用のミスマッチ→10%以上の急成長でも大卒者の就職は超氷河期。
第6章 人民元の切り上げと資産バブルの崩壊;
中央銀行が為替介入するにあたっては、米ドル人民元で買うという操作を行う。すると、ドルは中央銀行の手元に残るが、人民元は市場に放出されてカネ余りとなってしまう。そこで、中央銀行は債券を発行して、それを市場参加者に人民元で買ってもらうという操作を行う。そうすれば、介入によって放出された人民元が、また中央銀行の手元に戻ってくるというわけだ。
しかし07年頃から、大量に発行される中央銀行債に買い手がつきにくくなっており
十分に不胎化をすることができなくなってきた。つまり、カネ余りの状態が発生しているということだこの結果・中国国内には、大量の人民元が出回るようになり、余剰になったマネーが株式市腸や不動産市場へと流れ込み、株価バブルや不動産バブルへとつながっていった。→インフレ抑制→人民元の切り上
今後人民元を20%切り上→米ドルの価値下落→中国の対外純資産の減少。切り上げ→生産拠点としての魅力の減退→中国への対中直接投資の減少。
第7章 衛生面のチャイナ・リスク
SARS,新型インフルエンザ、手足口病の流行など、衛生面からのチャイナリスクは高い。食品や医薬品の安全性の中国内外からの厳しい批判にもかかわらず改善されていない。
P168〜170
{{{引用--------------------------------------------------------------------------
2008年から11年までの3年間については、中国の政策当局がよほど急激な金融引き締め政策を実施しない限りは、中国経済が失速してしまったり、それによって世界経済が未曾有の大不況に陥るリスクは小さいといえる。
北京オリンピック(08年)、建国60周年(09年)、上海万博(10年)と3年連続でビッグ・イ
ベントが実施されることや、道路、鉄道、港湾、空港といった各種のインフラ整備の計画が目白押しとなっていることも、短期的な景気のサポート要因として働く。このため、サブプライムローン問題の深刻化による米国経済の失速と、金融引き締めによる中国経済の失速が重なるという日本にとって最悪のシナリオは、なんとか回避できるのではないか。
ただ、問題は上海万博が終了した後、すなわち201l年以降の中国経済がどうなるかであ
る。より中長期的な視点に立って考えると、中国発の世界恐慌が起こる可能作は排除できない。
11年以降の中国経済にとって景気を左右する大きなリスクとして浮上してくるのは、国内に厳然として存在する所得格差、資産格差の拡大によって社会不安が高まり、それが経済活動にも打撃を及ぼす可能性があるということだ。
考えられる最悪のシナリオを描けば、所得格差の拡大や失業の増加によって、中国各地で大規模な内乱が頻発するようになり、中国政府がそれを制御することができなくなる。そうした結果・政治・治安面の破綻によって、国家が分裂し、中国国内の経済活動は麻癖することになるだろう。政治危機に直面した外国企業は当然、中国に投下していた資本を引き揚げる動きを強める一方で、沿岸部に台頭した富裕層ニューリツチ層は、政治リスクを避けて、欧米や日本などに移住するようになるだろう。その結果、中国国内には貧困層だけが残って、経済が急成長を始める前の段階まで時問が逆戻りしてしまう。そして、こうした経済的な津波は、中国と密接な関係にある日本や世界の国々を呑み込んでいくことにもなるだろう。
}}}
また、「一人っ子政策」の影響で、今後、人口の伸びが鈍化し、2033年以降は人口減少
社会に突入することも、潤沢な労働力の供給という側面から、中国経済を下押しする要因7となってくるだろう。鳥インフルエンザの流行や食の安全の問題も中国経済にとっては不安材料だ。さらに金融マーケットの面からは、人民元の切り上げ問題や不動産バブルの動向も、潜在的なリスクとしてくすぶり続ける。
世界中の国々が中国との経済関係を強める流れのなかで、201l年以降、どこかの時点で、中国の経済が沈没するということになれば、その影響を免れることができる国は皆無であろう。当然のことながら、日本経済やアジアの有力新興国の経済にも大きな悪影響が及んでくる。その衝撃は1929年の世界大恐慌以上のものとなるかもしれない。
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【Ddogのプログレッシブな日々】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/15578913.html