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低迷するのも無理はない東証のETF取引高(KlugView)
2008/08/22 (金) 15:00
8月22日付の日本経済新聞は、東京証券取引所(東証)に上場されている上場投資信託(ETF)の売買が伸び悩んでいると報じています。東証はETFを戦略分野と位置づけ、年初13だったETFの数を7月までに54まで拡大させています。しかし、今年1−7月のETF売買代金は前年同期に比べ3.3%減少しています。
報道では、東証を含めた世界の主要取引所の売買代金ランキングを紹介しています。これによると、1−7月期のETF売買代金は、1位であるニューヨーク証券取引所グループの売買代金が3兆8080億ドルであるのに対し、東証は139億ドルに過ぎません。東証よりも時価総額が小さい大阪証券取引所(大証)のETF売買高が141億ドル(前年同期に比べ15.3%増)と、東証を上回っていることも考えると、東証のETF取引は低迷していると言わざるをえません。
ETFは、一般的な投資信託に比べ手数料(信託報酬)が低く、上場株式と同様に取引所で取引されるため価格形成の透明性が高いといったメリットがあります。このため、ETFは投資家にとって投資信託よりも有利な投資手法といえ、本来であれば、東証のETF売買は、投資信託を投資対象とする投資家の資金を取り込む形で拡大してよいはずです。
日本経済新聞の記事では、東証でのETF取引が低迷している理由として、ETFの商品内容や利点が投資家の間で十分知られていないうえ、株価低迷で投資を手控える傾向が強いため、と記されています。しかし、仮に東証でのETF取引低迷の理由が、ETFに関する認知不足や株価低迷にあるならば、東証だけでなく大証のETF取引も低迷するはずです。しかし、先にご紹介したように大証のETF取引は、前の年に比べ15%以上も伸びています。個人的には、東証でのETF取引低迷の理由は、ETFに対する東証の姿勢に問題があるように思えます。
現在、東証に上場されている54のETFをみると、大半がTOPIX(東証株価指数)の動きに連動したもの、もしくはTOPIXを構成する業種(セクター)と連動するETFとなっています。TOPIXの値動きに投資をしたいのであればTOPIX先物、特定の業種に投資をしたいのであれば、業種を代表する個別銘柄(例えば自動車であるならトヨタ)が存在する以上、投資家にとってTOPIX関連のETFの魅力は高くないと思われます。
世界で取引の盛んなETFをみると、他国の市場に連動したETFの取引高が大きい傾向にあります。しかし東証で上場されているETFのうち、海外市場と連動するのは、KOSPI200(韓国200種株価指数)、CSI300(中国A株の一指数)、ボベスパ指数(ブラジルの株価指数)の3種類のみです。一方、大証では、上海株式指数、南アフリカ株式指数、ロシア株式指数のほか、9月には、ルピー(インドの通貨)、レアル(ブラジルの通貨)、ルーブル(ロシアの通貨)が追加される予定です。ブラジル、南アフリカ、ロシア、インド、といった国々への投資は、投資手法が数少ないだけに、こうした国々への投資を可能とするETFは、国内株指数に連動したETFよりも人気が高まるのは自然といえます。
外国為替証拠金取引(FX)の取引所「くりっく365」を運営する東京金融取引所は、くりっく365で取引できる通貨ペアを現在の7種類から25種類に増やすことを決めています。対円取引では、トルコリラ、ポーランドズロチ、南アフリカランド、ノルウェークローネ、香港ドル、スウェーデンクローナ、メキシコペソの計7通貨ペアが追加されます。東証は、大証だけでなく、FXでの動きも見据えたうえで、ETF戦略を構築する必要があるように思えます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
東京証券取引所における1−7月期の
ETF売買代金は、どれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
139億ドル
(大阪証券取引所のETF売買高は141億ドル)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/08/22/003501.php