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予備的貯蓄の広がりという米国経済のリスク(KlugView)
2008/08/21 (木) 15:36
今年4−6月期の米国・実質GDP成長率は、前期比年率1.9%増と、1−3月期の0.9%増を上回る伸びを示しました。GDPの約7割を占める個人消費が前期比1.5%増と、GDPを1.1%押し上げており、景気対策として実施された所得税減税の効果が出たとみられています。
ただ、家計全体の実質・可処分所得は、前期比11.3%も増加しています。一般的には、所得と消費は連動する傾向が強いといわれていますので、所得が10%以上も伸びたのなら、消費は(少なくとも)3〜5%くらいは伸びても良さそうに思えます。
所得の伸びほど消費が伸びない結果として、米国の貯蓄率が急上昇しています。1−3月期に0.3%しかなかった米国の貯蓄率は、4−6月期に2.6%に急上昇し、2002年4−6月期以来(6年ぶり)の高水準に達しています。
巨額の双子の赤字や製造業の衰退など、米国経済にはいろいろと問題点が指摘されていました。しかし、それでも米国が景気拡大を続けてこられたのは、家計が貯蓄率を低下させる形で消費を拡大させてきたからです。言い換えれば、貯蓄率が低下から上昇に転じてしまうと、減税などで家計の所得が多少増えたとしても、消費は拡大せず、米国景気の回復も期待しにくくなるといえます。
経済学では、貯蓄の一形態として予備的貯蓄という考え方があります。予備的貯蓄とは、将来、所得が減ったりなくなったりする時に備えて、現時点で貯蓄をするというものです。米国の場合、長期的に米国経済が拡大する期待が強いため、予備的貯蓄が少ないとの見方が根強くあります。ただ、サブプライムローン問題などをきっかけに米国の金融システム不安が強まっているのも事実です。90年代後半の日本のように、金融システム不安を背景に予備的貯蓄を指向する動きが強まり、結果として個人消費が思うように拡大しない展開は、米国経済においても否定できない気がします。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
今年4−6月期の米国の貯蓄率はどれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
2.6%(1−3月期は0.3%)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/08/21/003494.php