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1兆円規模でも効果は期待できない福田政権の景気対策(KlugView)
2008/08/14 (木) 18:49
8月13日、福田首相は、首相公邸で自民党の麻生幹事長と会談し、景気対策として今年度に補正予算案の編成を検討することで一致したようです。報道によると、麻生氏が与党の意向を踏まえて大型補正予算案の臨時国会提出を求めたのに対し、首相は「景気対策はしなければいけない。優先順位は極めて高い」と答えたそうです。
補正予算の規模は正式に決まっていないものの、政権与党である公明党が1兆円を超える予算規模を求めているとの報道もあります。衆議院選挙も近づきつつある状況ということも考えると、与党である自民党、公明党ともに、選挙民へのアピールも意識して、規模の大きい補正予算を編成する可能性は高い気がします。
補正予算の話題が出てきた背景に、4−6月期の実質GDP成長率があります。4−6月期の実質GDP成長率は、年率マイナス2.4%と、1年ぶりのマイナス成長となりました。成長率がマイナスとなる、いわゆる景気後退を迎えたのであれば、政府は景気の悪化を食い止めるべく景気対策を実施すべき、との声にも(いろいろと思惑はあるにせよ)それなりに説得力があるように見えるのかもしれません。
ただ、政府が補正予算を編成し、1兆円超の景気対策をしたとしても、景気後退の悪影響が和らげられることは期待できないでしょう。今回の景気後退の場合、原油を始めとする原材料価格の上昇を主因とした交易損失の拡大が、日本景気を下押ししているからです。
交易損失とは、輸入価格の上昇(もしくは輸出価格の低下)によって、国内の富が国外に流出する額を意味します。日本のGDP統計によると、直近1年間の交易損失は28兆円と、GDPの5%を占める規模となっています。今年度の消費税収(予算ベース)が10.7兆円ですので、原油を始めとする輸入価格上昇の効果は、消費税率が5%から(いきなり)10%以上に引き上げられた効果と同じといえます。
28兆円もの交易損失に対して1兆円程度の景気対策では、景気後退という流れを変えたり、景気後退の悪影響を和らげる効果は期待できません。政府・与党の努力を無下に否定するつもりはありませんが、景気対策で得られる効果は、政府・与党が選挙民にアピールできること、程度と考えた方がよいのでしょう。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
交易損失とは何?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
輸入価格の上昇(もしくは輸出価格の低下)によって
国内の富が国外に流出する額のこと。
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/08/14/003450.php