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インフレ見通しの前提を崩す中国の金融政策の方針転換(KlugView)
2008/08/07 (木) 17:39
最近、中国のインフレ(物価上昇率)が、落ち着きをみせるだろうとの見方が出てきています。6月の消費者物価指数の伸び(前年同月比)は7.1%となり、過去最高を記録した2月の8.7%から低下したことがきっかけとなっているようです。
中国国内の農産品価格が下落しているとの報道も、中国のインフレが落ち着くとの見方を支持しています。消費者物価を押し上げた豚肉価格が、夏季の需要低迷を背景に下落しているほか、政府備蓄の放出観測が高まったことから、大豆油、トウモロコシ、小麦価格も下落しているようです。
ただ、中国の潜在成長率が8〜9%程度と考えられるのに対し、実際の経済成長率は5年連続で2ケタ以上の伸びを示すなど、景気過熱は長期化したまま今に至っています。このため、中国経済では、広い意味で経済資源の逼迫さが強いと考えられ、インフレ圧力は依然として高いままと考えるのが自然のように思えます。
こうした中、中国政府は、これまでの金融引き締め策を修正する動きをみせているようです。8月7日の日本経済新聞によると、中国政府は北京五輪後の景気下振れを防ぐため、銀行融資の総量規制を緩和しています。中国国営の新華社は、中国人民銀行が中小企業を支援するために、銀行の融資枠を5〜10%広げることを認める方針を打ち出したと報じています。
一般的には、インフレを抑制するためには、市中で流通する資金量を絞ることが必要とされています。このため中国政府は、これまでインフレを抑制することを目的に、銀行融資の総量規制を実施し、市中の流通資金量を絞る、いわゆる金融引き締め策を実施してきました。しかし、今回の総量規制の緩和で、中国政府の金融政策の方向性は変わったといえます。
中国共産党は、7月下旬の政治局会議で、マクロ経済政策の目標の1つを「景気過熱の防止」から「安定的に高めの経済発展の維持」に変更しています。簡単に書けば、中国政府(共産党)は、経済政策の重点をインフレ抑制だけでなく経済成長にも配慮する、と変えたといえます。
中国の4−6月期のGDPは前年同期比10.1%増と二ケタ成長を維持したものの、1−3月期より0.5%ポイント低下しています。たかが0.5%ポイントといいたくもなりますが、中国政府にとっては、二ケタの経済成長を維持できるかどうかの瀬戸際と考えているのかもしれません。中国政府の金融政策の方針変更は、中国政府が以前のように経済成長に重点を移したことを意味しているだけでなく、インフレが今後落ち着くだろうとする見方の前提が崩れたことも意味するように思えます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
中国の6月の消費者物価指数の伸び(前年同月比)は
どれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
7.1%
(過去最高を記録した2月は8.7%)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/08/07/003403.php