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http://markets.nikkei.co.jp/column/fxwatch/index.aspx
米国の金融機関決算は一巡したが、これで危機が回避されたとは考えないほうがよい。最大の問題点は住宅市場の低迷が続く可能性が高いということだ。現在の米国住宅市場はバブル崩壊後の日本の状況に類似している。 バブル崩壊後数年不動産価格の下落が続いた後、不動産専門家は国内の不動産価格がこれから上昇すると予想していた。しかし、当時、邦銀で働いていた内部の人間からすれば、そんな見通しは楽観過ぎることを十分認識していた。企業の倒産などにより銀行などの金融機関が担保として差し押さえた商業不動産が急増していたからである。もちろん、個人の住宅ローンの差し押さえによる住宅不動産もあった。いわば銀行が国内不動産の在庫を抱えていたわけで、こうした環境下で不動産価格が上昇するとはどうしても考えられなかった。実際に不動産価格はその後も下がり続けた。 先日発表された、米国の調査会社リアルティトラック社の調査によると4−6月期の米国内での住宅の差し押さえは前年同期比で121%の増加となっており、前期比でも14%の増加となっている。足元で米国金融機関の抱える不動産の在庫は増加しているはずである。 さらに懸念されることは、米国の住宅ローンはノンリコース型が大半である点である。ノンリコース型では債務者である個人は住宅を放棄すれば債務を免除される。住宅価格の上昇によって担保価値に余剰が生じたことを活用して追加借入れした消費者ローン分も同時に免除されるとなれば、今後こうした債務を放棄する個人が急増することも予想される。住宅価格の下落は今後も続き、それを受けて、金融機関の損失は拡大する。単純な構図である。米国の逆風はまだまだ吹き荒れる。 米国以外にも逆風が吹き始めている。英国ではここ数カ月住宅価格が急落しており、金融機関の経営悪化はかなり深刻化してきた。ユーロ圏でも、アイルランドなどでは、英国同様住宅価格が急落している。イタリア、スペインなど半島諸国の景気減速も顕著である。さらに、比較的景気が堅調であったドイツ経済にもいよいよ陰りが見えてきている。直近発表された欧州経済研究センター(ZEW)による独景気指数、Ifo経済研究所の景況感指数、GfK消費者信頼感指数すべて急速な悪化をみせている。メルケル独首相も景気減速への強い懸念を示し始めた。 こうした状況はオセアニア諸国でも同様である。本日29日に発表されたニュージーランド住宅着工許可件数6月分は前月比20.1%減と大幅に落ち込んだ。オーストラリアの大手金融機関も不動産市場の低迷で多額の貸し倒れ積み立てを余儀なくされている。24日、ニュージーランド準備銀行は景気減速に対応すべく、政策金利の0.25%引き下げに踏み切り、今後も利下げを継続することを示唆している。米国以外の主要国の環境も確実に悪化しているのである。 しかし、投資家の関心が米国に集中しているためか、こうした各国での変調が為替相場に反映されてこない。あるいは投資家が大丈夫だろうとたかをくくっているのかもしれない。だが、こうした環境の変化が為替市場に反映されるときがいずれやってくる可能性は十分にある。いつまでも、現状の相場展開が続くと安心しきらないほうが賢明であろう。(FXマーケットウオッチ) |