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カネ余りを象徴する日本企業の自社株買い(KlugView)
2008/07/29 (火) 16:39
日本経済新聞の報道によると、今年1−6月期の自社株買いは、普通株式ベースで2兆774億円と、前年同期比+7%、上半期で初めて2兆円を超えたようです。自社株買いをする企業数は、1488社と、前年同期より94%増えています。セブン&アイ・ホールディングスが約2千億円の自社株買いを実施したほか、武田薬品工業、トヨタ自動車、JFEホールディングス、NTTドコモも1千億円超の買い付けをしています。
自社株買いとは、企業が手元の資金を使って時価で自社の株式を買い取ることです。自社株買いをすると、株数や自己資本の金額が減少するので一株あたり利益(EPS)や自己資本利益率(ROE)が改善する効果が見込まれ、株価が上がりやすくなると言われています。
自社株買いと反対の行為が公募増資です。自社株買いが自社の株式を買い取るのに対し、公募増資は、自社の株式を新たに発行し、株式市場から資金を調達することを意味します。自社株買いと反対ですので、一株あたり利益や自己資本利益率は悪化しますが、自己資本の金額が増加する、つまり自社の資本が増えることで、企業は事業に資金を振り向ける、つまり、より大きなリスクを取ることが可能になります。
企業が自社株買いを実施する理由は様々です。日本経済新聞では、自社株買いの理由として株安を指摘しています。株安時は自社株買いを有利に実施できるほか、自社株買いによって自社の株価が下支えされる効果も期待できるからです。
ただ、個人的には、自社株買いが増えているのは、日本企業の資金ニーズの低さと、企業の「カネ余り」を物語っている気がしています。資金ニーズがなく、資金が余っているなら、株主対策として自社株買いをするのは、合理的な判断といえます。
日本企業のカネ余りは、日本経済全体のカネ余りにもつながっています。7月29日の債券市場では、長期金利の代表的指標である新発10年物国債利回りが、1.525%と約3カ月ぶりの低い水準を記録しています。日本株の下落だけでなく、日本経済全体でカネ余りが続いている以上、リスクの低い(といわれる)日本国債に資金が集まり、利回りが低水準となるのは自然のことといえます。
7月22日、内閣府は、2008年度「年次経済財政報告」(経済白書)を発表し、本業ではリスクテイクをしなければ経済全体としての成長は達成できない、との考え方を示しています。もっともリスクをとるべき企業においてカネ余りが続いている以上、政府が「リスクを取れ」と叱咤したとしても、日本経済がリスクテイクする局面は、当分、目にすることはないように思えます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
今年1−6月期の自社株買いはどれくらいの規模?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
普通株式ベースで2兆774億円
(前年同期比+7%、上半期で初めて2兆円を超えた)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/07/29/003347.php