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日本経済は為替や原材料高への「リスクヘッジ」と「リスクテイク」が共に不足=経済白書(ロイター)2008年 07月 22日 10:19 JST
[東京 22日 ロイター] 内閣府は22日、2008年度「年次経済財政報告」(経済白書)を発表し、日本経済は世界経済の変動にさらされて懸念されていたリスクが顕在化しており、いくつかの脆弱な点を克服する必要があるとした。為替変動や資源価格高騰へのリスクヘッジの不足、さらにのリスクテイク能力の低さなどを脆弱な点として指摘し、外的ショックに対するリスクヘッジを高めるとともに、本業ではリスクテイクをしなければ経済全体としての成長は達成できないとの考え方を示した。
経済白書は、日本経済と財政に対する現状を分析し、
政策面に貢献することを目的として年に1回公表される。
今回の白書では、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン) 問題と米経済、原材料価格動向といった短期のリスクについてすでにリスクは顕在化しているとの認識を示した。このため現在景気は今次拡大局面の3度目の「踊り場」を迎えており、今後景気をさらに下振れさせる要因もあると指摘。「それらの動向を注視するというだけでは対応は不十分」だとして「中期のリスクである日本経済の体質的な問題を認識することが必要」だとした。
日本経済の脆弱性として、まずサブプライムローン問題などの影響をみると、金融資本市場で株価の下落が先進国の中でも特に大きかったこともあり、日本は自国および海外の資産の活用力が弱いと指摘。その背景として家計の金融リテラシーの不足、機関投資家などのガバナンスの担い手の役割不足があるとした。今後は膨大な家計金融資産を収益率の高い投資に向けることなどが求められるとした。
また原油・原材料価格高騰に対して日本企業のリスクヘッジ能力は意外に弱く、近年それほどエネルギー原単価が低下していないのは改善の手を休めてしまってからだとした。現在の原油などの価格上昇は新興国需要の拡大という構造要因もあるとし、こうしたトレンドを見極めながらさらなる省資源型経済への移行を急ぐべきだと提言した。
為替リスクに対しても、日本は先進国の中で外貨建て輸出比率が高いため為替リスクにさらされやすいと分析。本来企業はこうしたリスクをヘッジすることで本来の事業活動におけるリスクテイクに集中することができるはずだと指摘した。
これとの関連で、日本企業は本業でのリスクテイク能力が低いとも指摘。為替リスクや交易条件の悪化に備えるという形での適切なリスクマネジメントをしながら、本業ではあえてリスクテイクをすることが成長の条件だとした。
総資産利益率(ROA)のばらつきからみて、世界各国の中で企業がリスクをとっている国、起業活動が盛んな国ほど成長しているという相関関係があるとし、日本の成長率が相対的に低いのはそうしたリスクテイク姿勢が消極的なことと関連しているとの見方を示した。また不振事業からの撤退も遅れており、3期以上連続で営業赤字を計上したセグメントでも撤退や出資比率を引き下げた比率は5.3%にとどまっていると指摘。白書では日本企業では「選択と集中」が進んでいないことが裏付けられるとした。
http://jp.reuters.com/article/economicPolicies/idJPnTK013671120080722