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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu172.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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高齢化と飼料高。今後、廃業する生産者は増えていく。それに応える
ために、はざま牧場のような大規模農家におのずと集約が進む。
2008年7月28日 月曜日
◆高齢化という逆境が農業の未来を切り開く 7月28日 NBオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20080724/166219/?P=1
「いやあ、去年はほんとに厳しかった。会社が潰れると本気で思ったよ」。眼鏡の奥の目をまん丸に見開いた間和輝社長はこう言うと、ソファから身を乗り出した。畜産王国、宮崎県都城市で養豚業を営むはざま牧場。エサにきなこを混ぜたブランド豚、「きなこ豚」でその名を知られる。
都城周辺にある30の農場で牛や豚、野菜の生産などを手がけている。飼育する豚は約12万頭、親牛を含めた牛の数は7500頭に達する。畑の総面積は約200ヘクタール。ここでコメやゴボウ、ホウレン草、サツマイモなども栽培する。2008年2月期の売上高は60億円超。国内でも有数の農業法人である。
大規模複合農業を実践している間社長。その彼をして、倒産を覚悟させたのは、畜産業に吹きつける猛烈な逆風だった。
大規模化のメリットを吹き飛ばすほどの飼料高
1つは、穀物価格の高騰に伴う飼料高だ。3〜4年前、トン当たり1万3000円ほどだったエサ代。それが、6月下旬には5万円に急騰した。約4倍の上昇。牧場には10万頭を超える豚がいる。エサ代の値上がりによるコスト増は半端ではない。
さらに、昨年は宮崎県で豚の病気が発生した。この病気で全体の25%に当たる3万頭が死んでしまった。通常の事故率が3〜5%。その影響度合いが分かるだろう。「大きくなって死ぬ“エサ泥棒”もいますから」と間代表。豚の卸売価格が上昇したことや豚の死亡保険に加入していたこともあり、最終的に黒字は確保したが、エサ代と病気によるコスト増は15億円に上った。
実は、養豚業は国内農業の中で大規模経営を実践する数少ない分野である。1970年に14頭だった1戸当たりの飼育頭数。それが、1990年には272頭、2006年には1233頭に増加した。これは、諸外国に比べてもかなり数が多い。
2003年のデータだが、米国の816頭、英国の445頭、フランスの327頭に対して、日本は1031頭を数える。これは、オランダの1166頭、デンマークの1041頭と比べても遜色ない。自給率が低下している1つの要因ではあるが、輸入の配合飼料を活用し、効率的な生産をしているためだ。
昨今の飼料高はこうした大規模化のメリットを吹き飛ばさんばかり。それでも、間社長はこう言って笑う。「ピンチはチャンス。早く激動の時代が来てほしい」。
間社長の言うピンチとは、深刻な問題と捉えられている担い手不足のことだ。農業就業者人口は312万人(2007年)。その59%を65歳以上が占めている。その一方、農業への新規参入者はわずか8万人強。うち39歳以下は1万5000人に過ぎない。
急速に高齢化が進む農業。食料生産を維持するために、担い手の確保は喫緊の課題だろう。だが、世間の喧噪をよそに、間社長の目は違う方向を見つめている。「後継者不足でやめていく。これは残念なことだけども、若手のやる気のある人が大きな農業経営体を作る機会でもある。今からが本当の出発点じゃないですかね」。
「やめる時はひとこと言ってね」
この言葉通り、今年に入って都城市内の畜舎を3つ買収した。後継者がおらず、養豚業を続けられなくなった同業者から買い取ったのだ。来年以降、同様のケースはさらに増えると見ている。これは、養豚だけでなく、田畑でも変わらない。
「やめる時はひとこと言ってね」
間社長は暇を見つけては、近隣の生産者に声をかけて回る。声をかけるのは70歳以上の農家である。戦後の食料不足を経験した70歳以上の生産者。農地はその家の財産であり、代々守っていくべき物という意識が強い。だが、その子供である40代、50代は兼業農家が大半だ。世代が変われば、はざま牧場のような企業に農地を貸そうという人も増える。間社長は、こう考えている。
そして、規模の大きな生産者のところには担い手も自然と集まる。約260人の従業員が働くはざま牧場。20代、30代の若者が毎年、農場の門を叩く。彼らの多くが、豚の世話や野菜作りに汗を流している。労働時間は労働基準法で定められた週40時間、給料も人並みにある。こういう企業には、農業であっても若者が集う。
高齢化と飼料高。今後、廃業する生産者は増えていく。だが、安全でおいしい国産農作物に対する国民のニーズがなくなることはない。それに応えるために、はざま牧場のような大規模農家におのずと集約が進む。「担い手不足」という激動が切り開く農業の未来。それを見越した間社長は予言する。
「3年か5年かしたら夜明けが来る」
◆農地法改正案の提出見送り 2008年03月02日 北海道新聞
http://ameblo.jp/agri-8/entry-10076771112.html
農林水産省は二十九日、昨年十一月に取りまとめた農地政策改革案に基づく農地法改正案について、今国会への提出を見送る方針を決めた。十分な審議時間の確保が見込めず、衆参の「ねじれ国会」の状況下では、合意の取り付けは難しいと判断した。若林正俊農水相は同日の会見で「与野党間で接点が出てこないと(改正案を提出しても成立は)なかなか難しい」との認識を示した。
同省は農地の有効利用に向け、耕作放棄地の解消や農地情報のデータベース化を先行させるが、現行の法制度が当面維持されることで、農地政策の抜本改革は遅れることになる。二〇○八年度にも新制度を始めたい考えだが、○九年度にずれ込む可能性もある。
(私のコメント)
昨日に続いての農業問題ですが、農業従事者の高齢化が進んで耕作放棄地は増える一方のようだ。ならば、やる気のある農家に耕作地を貸して大規模化が進んでいるかと言うと進んでいない。農地法の改正が進んでいないからだ。
農業を大規模化しようとすれば農業を法人化しなければなりませんが、現在は農業生産法人に限られて株式会社などは農地を借りて農業が出来ない。それを改正しようと言う法案が見送られたと言う事ですが、自民と民主で大きく対立するような法案なのだろうか?
農業人口は59%が65歳以上であり、39歳以下の農業就業者は15000人に過ぎないそうです。日本の農家は兼業農家がほとんどであり、農業収入はほとんどが50万円から100万円くらいで、規模としては中途半端な農家が多いようだ。耕作機械が普及していなかった頃は人手に頼った農業はこれでよかったのでしょうが、耕作機械の普及で大規模化が可能になった。
しかし65歳以上の農家が6割では、あと数年で大幅に農業従事者が減る事になる。40代30代の後継者がいないのだから、やる気のある農家にとってはチャンスなのであり農地法の整備などを行なうべきなのですが放置されている。昨日も書いたように日本には農業戦略が無いのだ。
日本には農林水産省があるのですが、農林官僚は天下り団体を作る事は熱心でも農業戦略を考える事はしないようだ。農業も株式会社化が進んで家庭単位の農業経営から法人化を進めて専門の農業経営で生産性を上げていく必要がある。今はそのチャンスなのですが法律の整備がダメだ。
日本では農業の大規模経営が出来ないと言うのが常識ですが、畜産業などは大規模化が進んでいる。卵などは物価の優等生と言われるくらいですが、養豚業も昔は14頭程度だったのが今では1233頭にまで大規模化が進んでいる。だから豚肉などは海外から輸入している物は見かけない。
鶏肉なども年々輸入量が減っているのは養鶏業の大規模化が進んでいるからだろう。牛肉などもいずれは大規模化が進んで輸入しなくても済むようになるかもしれない。牛乳やバターの生産過剰も数年前に起きましたが、コストはまだ高いものの生産量的には国内で間に合うようになって来た。
このようの農業の大規模化が日本では出来ないというのは限られた分野であり、アメリカやオーストラリアには広大な農地があっても農業用水の不足で慢性的な旱魃が起きるようになってきている。その点では日本の農地は灌漑設備が整備されて水不足の心配が無い。
コメなども量的には100%の自給率であり、問題はコストが高い事だけだ。コメは大変生産性の高い作物であり、タイなどはコメの三期作四期作で世界一のコメの生産国だ。日本だってやろうと思えばコメの二期作などは可能ではないかと思うのですが、減反政策で農地が放置されている。
農家の若い人が農業を継がないのは規模が小さくてダサいと思われているからですが、やる気さえあれば一人で規模を拡大して3000万円も稼いでいる若い農家もある。コメなどは大規模農業に適した作物であり、兼業農家で作っても採算に合わない。問題はコストが高い事であり、安く出来れば余剰があっても海外に輸出が出来るから減反政策のようなことはやらなくて済む。
記事に紹介したはざま牧場はやる気のある農家ですが、養豚や肉牛や畑作で年間60億の年商がある。やる気さえあればいくらでも規模の拡大が出来るのですが、日本の農林行政が時代に合わないために農業の近代化が遅れている。しかし農家の高齢化で大規模化のチャンスが巡ってきている。
若い人にとっても農家は嫁の来てがないダサい仕事というイメージがあるが、ダサいのは農家自身の意識であり、卑屈なまでの田吾作根性だ。昔は農業しか産業が無かったから規模も小さく貧しいのが農業の代名詞だった。しかし近代農業は機械化と大規模化が進んで品種改良などのバイオ産業も組み込んだハイテク産業になりつつある。
都会で背広とネクタイを締めてパソコンを相手にした仕事のほうが、派遣などに取って代わられて年収200万円のダサい仕事なのにあこがれるのはなぜなのだろうか? IT産業だの金融産業などと言うのは製造業などの派生産業であり、それだけで国家を支えていく事が不可能なのは金融立国を目指した国が金融破綻で滅んで行くのを見れば分かるだろう。金融産業が倒産したら何も残らない。
農業がハイテク産業というのは、農産物の市場価格の変動が激しいために、来年の作付けをどうするか様々な情報を分析して決めなければならない。養豚業にしてもピッグサイクルと言う需給変動がありますが、そのような需給変動に上手く乗った所が勝ち残って行く。
地方は農業の振興こそが地方の活性化の切り札であると考えるべきなのだ。もはや工業団地を作っても工場はやってこない。地方は若い人には仕事が無いと言うが、道路作りももはや限界だ。企業家精神のある若い農家ならば、高齢化の進んだ農業を一気に近代化するチャンスが来ている。ところがマスコミは大変だと危機意識ばかり煽り立てている。ピンチが無ければチャンスもやってこない。