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(回答先: 最低賃金引き上げを起点とする成長力強化・所得底上げへの戦略 【日本総研】 投稿者 hou 日時 2008 年 7 月 23 日 00:14:37)
http://www.jpc-sed.or.jp/movement/general07.html
■「生産性増強運動にたいする基本的態度」
(昭和30年3月4日 日本労働組合総評議会)
「生産性増強運動にたいする基本的態度」
昭和30年3月4日
日本労働組合総評議会
1
わが国の有力な大資本家は米国政府の指導のもとに労働生産性増強本部なるものをつくった。
1.労働の生産性を向上させることは,われわれのもっとも望
むところである。能率をあげ,生産を増加させ,豊富にして低廉な物資を大量に国民におくり,国民の生活水準をひきあげることは,勤労のよろこびである。
それだからこそわれわれは,困難な住宅事情と交通地獄の苦労を忍んでおり,災害死亡件数の増加がもっともよくしめているような劣悪な労働条件のもとで,疾病者数,ことに結核患者数の増加にあらわされるような生活の苦しさにも堪えて,労働の生産性は昭和28年度においてすでに戦前基準140にまで引き上げ,それによって,わが国の生産指数を戦前対比175にまで回復させたのである。
わが国の大資本家は資金と原材料のすべてを軍事部門の少数の大資本家の手中に独占しているために,中小企業―ことに平和産業部門―では設備の改善やその経営の合理化のために必要な手段を入手することが非常に困難であるにもかかわらず,われわれはそれら一切の困難をこえて,生産性を増強し,生産回復,向上に努力してきたものである。
2.しかし,大資本家は,労働生産性の向上にともなって,生産を増加させて価格を引き下げ,国民の生活を豊かにしようとせず,むしろカルテルや独占を強化して生産制限,操短を行なうことによって価格低落を阻止し,あるいは積極的に価格を引きあげて労ぜずして利潤を維持する道をえらんでいる。電力資本家はすでに電気料金を引き上げ,国鉄は運賃引き上げをもくろんでいる。製鉄資本家は建値引上げをやり,肥料資本家は農民の切実な要求におされ若干の値下げを余儀なくされたとはいえ,まだ外国にたいするダンピングを償ってあまりある高い独占価格を維持している。
通産省企業局長は生産者価格を引き下げて大資本家の負担をますことをさけ,むしろ「原料,燃料,労働,経営技術流通等すべての段階を通じて企業及び産業の効率の向上をめざす運動が生産性の向上」であると称して,流通部門,下請部門その他にたいする金融や原材料供給を制限することによって,整理,失業,系列化を余儀なくさせ,それによって最終賑売価格の引下げをはかることを公言している。
それらのことの結果,日経連が本年2月発表した数字を基礎としてみても28年9月以降,労働生産性が7%の上昇をしめているときに,賃金はわずかに3%の上昇にすぎず,反対に生計費指数は9%あがり,失業は増加している。このことは,半面において大資本家の手中にはいる利潤の増加をしめすものといわざるをえない。最近大資本家の主張するいわゆる労働生産性の増強なるものが,誰を利益し,誰の負担を増加させるのであるかは,おのずから明らかである。
3.生産性増強本部が,もし本当に国民の福祉のために労働生産性の向上を望むならば,次の諸点に答えることができねぱならない。
(1) 大企業のみでなく,わが国の生産の大半をしめている中小企業の設備を改善し,日本の技術水準を全体として高めるためにどんな努力をするか。流通部門や交通部門の設備の改善のために何をするか。
(2) 軍事的部門のみでなく平和産業部門の設備の改善のために努力をするか,そしてそれによって,われわれの労働生産性の向上を世界平和と平和な貿易にとって有用なものとするか。
(3) 労働生産性の向上にともなって生産を増加させ,国民に豊富な物資を供給することを目的とするか。生産増大のための条件として必要な国内,国外の市場の拡大の措置をはかるか否か。
(4) 生産を増大させずむしろ生産制限,操短をやって独占物価を引上げているような,大資本家の価格引上げ政策をすべて阻止するか否か。
(5) 価格引下げの重大な障害となっている金利及び税金,ことに中小企業のための金利と税金の軽減をはかり,金融をゆるめるか否か。
(6) 生産の増大にともなって労働者の賃金を引き上げるか否か。
(7) これを要するに本当に物価引下げ,賃金と水準の引上げという政策のもとで労働生産性の向上をはかるか,それとも物価ことに独占物価,料金等の引上げ,賃金ストップ,失業の増大という政策のもとで労働生産性の向上をはかるか。
2
1.われわれは設備の更新,近代化をともなわずして行なわれる労働生産性の増強に反対する。なぜならそれはたんに労働強化を意味するにすぎないからである。
2.われわれは,したがっでまた労働強化を促進するためにとられる各種の賃金制度の改悪にたいして反対する。とくに賃金の決定を会社と職制の一方的査定にゆだね,労働者を職制の支配と労働強化にさらす職階給や,非人間的労働の強制を意味するにすぎぬ能率給の採用には反対する。
このような賃金制度の改悪を合理化するために,賃上げによるインフレ論とか,生産力賃金説などというような誤った思想が宣伝せられているが,われわれはそのような誤った賃金理論に迷うことはありえない。
かえってわれわれは,賃金がすべての労働者とその家族にたいして,その生活を保証し,その向上を約束するものでなけれぱならぬことを確認したうえで,
定時間労働で家族の生活ができるような最低保証賃金。
臨時職工や青年婦人にたいする賃金決定の上の差別待遇の廃止。
生産の増加と物価の引上げに比例する賃金の引上げを要求する。
3.われわれはまた生産の増大をともなわぬ労働生産性の増強に反対する。なぜならそれはたんに失業の増大を意味するにすぎぬからである。
反対にわれわれは労働生産性の向上が,つねに生産の増大とその価格の引下げをともなうことを要求する。ことに生産性の増強が軍事部門においてのみ行なわれるのではなく,平和産業部門,中小企業においても行なわれるように十分な資金的,技術的その他の援助があたえられることを要求する。日本とアジアの諸国民が,その生活を豊かにし,平和をまもるために中小企業をもふくめてわれわれの生産技術と生産能力が百パーセントに働くことを期待し,要求しているからである。
4.われわれは,今日いわゆる労働生産性の増強運動にともなって,労働組合の一部幹部が,生産性増強による大資本家の利潤の一部の分け前にあずかることを予期して労働組合の分裂,御用化の策謀をはかるものがあるのだろうという期待が,大資本家のなかにあることを知っている。しかしわれわれの労働組合の目的が,たんに利潤の分け前にあずかることによって利己的利益をうることにあるものではなく,失業者や臨時工員をふくめての労働者の生活上の利益をはかることにあり,われわれの運動がつねにすべての国民の利益とともにあるものであることをわれわれは確信する。
3
たえざる失業の不安と反動化の嵐の中で,労働生産性増強運動という美名のもとで推進されている労働強力によって,今日われわれの職場は,生産のよろこびの場所から労働の苦痛の場所に転落している。
若人たちは胸をはって歌をうたう自由をうぱわれ,婦人の結婚の自由は直ちに失業の自由を意味し,われわれの賃金の査定は会社の職制に一方的にゆだねられ,われわれの一切の行動は,タイム.ウォッチと職制の監視のもとにさらされ,組合活動の自由は無視され,組合活動家の首切りがいたるところで行なわれている。
われわれは,われわれの生活と仕事についての基本的権利がまもられ,職場が明朗化され,われわれの職場における自由,組合の活動と闘争の自由が確保されることを強く要求する。
このようにしてわれわれの人間的目的と尊厳がまもられるうえでのみ,われわれの労働生産性は着実に向上せしめられるものである。