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割安感だけでは難しい投資信託の販売拡大(KlugView)
2008/07/22 (火) 20:09
ネット証券のジョインベスト証券は、7月24日より、同社が提供する投資信託のうち、19銘柄の販売手数料を引き下げると発表しています。これにより、販売手数料無料(ノーロード)の投資信託が6銘柄増え、同社が取り扱う全投資信託240銘柄361本のうち、ノーロードの投資信託は計61銘柄105本となるそうです。
ジョインベスト証券に限らず、ネット証券の多くは、ノーロードを中心に投資信託の販売強化を進めているようです。たとえばカブドットコム証券は、2つの投資信託キャンペーンを実施し、ノーロードの投資信託122本をラインナップしていることをアピールしています。
証券会社にとってみれば、販売手数料は貴重な収入源ですので、本来ならノーロードの投資信託ではなく、販売手数料を徴収できる投資信託を数多く販売したいところです。それにもかかわらず、ネット証券の多くがノーロードの投資信託をアピールするのは、ノーロードの投資信託を通じて個人投資家に割安感を与え、投資信託の販売数を伸ばす戦略をとっているためと思われます。
ただ、個人資産のうち投資信託が占める割合は、米国と比べると、日本は低い結果にあります。日本銀行が発表する資金循環によると、米国では家計の資産の約14%を投資信託が占めていますが、日本の場合、投資信託の割合は約4%に過ぎません。数年前は2%程度の割合でしたので、投資信託の割合は高まっているとはいえますが、米国と比べてしまうと、個人資産に占める投資信託の地位は、まだまだ低いといわざるを得ません。
日本において投資信託の地位(資産に占める割合)が低い理由は、数多く指摘されていますが、個人的には、日本の場合、投資信託よりも低いコストの投資手法が比較的豊富に存在しているためと考えています。
たとえば、日本の個人資産の半分(50%以上)を占める預貯金を考えてみましょう。預貯金を始めるために必要な手数料はありません。預貯金を引き出す際でも、銀行の営業時間内であれば、手数料は必要ありません。また、営業時間外であっても、ある程度の残高が残されている場合、銀行は引き出し手数料を無料にするサービスを比較的多く実施しています。
投資信託ではなく、個別銘柄を取引する株式投資の場合でも、投資信託に比べ取引手数料は低めです。日本では、ネット証券の競争が激しく、ネット証券の多くは、これ以上手数料を引き下げることが難しいくらい手数料の水準を低くしています。投資信託に余分なコストを支払って、投資を委託するくらいなら、自分で株式投資をしたほうが、(手数料の面で)割安と考える個人投資家は、比較的多く存在するように思えます。
こうした点を考えると、投資信託の販売を拡大させるために、個人投資家に割安感を与えるのであれば、証券会社はノーロードだけでは不十分で、信託報酬もさらに引き下げる必要があるのかもしれません。言い換えれば、仮に信託報酬を引き下げることが難しい場合、割安感から投資信託の販売拡大を狙う戦略は、あまり有効的といえないのかもしれません。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
日本において個人資産に占める投資信託の割合はどれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
約4%
(米国では約14%程度)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/07/22/003301.php