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ドル円レートの先行きを考えるポイントとなる日本経済の状況(KlugView)
2008/07/14 (月) 18:23
7月14日の東京外国為替市場では、ドルの買戻しが進みました。ドル円は、朝方の105円後半から106円後半まで1円近く上昇したほか、ユーロドルは100ポイント以上も下落しました。
ドルの買戻しが進んだ大きな理由は、米国政府が発表した政府系住宅金融機関(GSE)に対する支援策です。7月13日、米財務省と連邦準備理事会(FRB)は、経営不安が指摘されている連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2大GSEに対し、必要に応じ融資及び出資を行うなどの大規模な支援策を発表しました。これにより、2つのGSEの破綻が回避される可能性が高まり、最近高まっていた米国の金融システム不安も(ひとまずは)落ち着くことが見込まれ、ドルの買戻しが進んだとみられます。
ドル円レートは、今年3月に(一時的とはいえ)95円台に到達しました。しかし、その後のドル円レートをみると、株安や金融システム不安の高まりなどで一時的に下落することがあっても、何か好材料が出ると、すぐさま上昇することを繰り返しています。表現振りが良くないかもしれませんが、ドルの「しぶとさ」を感じざるを得ません。
個人的には、米国は今後1年くらいは利上げを見送らざるを得ないと考えており、金利差だけでいえばドルが上昇する材料はないようにも思えます。ただ、為替レートは1カ国の状況だけでなく、2カ国の状況で決まるものです。ドル円レートの場合、ドルを使う米国だけでなく、円を使う日本の状況も考える必要があります。
あまり報じられていないことですが、日本の貿易黒字額は、緩やかに減少傾向を続けています。昨年8月をピークに輸出物価は低下を続ける一方で、輸入物価は、原油価格の上昇などもあって、50ヶ月(4年以上)連続で上昇しています。これでは、さすがの貿易大国・日本といえども、貿易黒字が減少するのも無理はありません。
貿易黒字は、大きければ大きいほど、外貨を円に換えるニーズが高まると考えられ、円買い要因になるといわれています。言い換えれば、貿易黒字が減少しているのであれば、これまで大きかった円買い要因は小さくなり、結果として、ドル円レートは円安(上昇)方向に推移しやすくなるといえます。
日本に住む方々の外貨投資ニーズが依然として高いことも忘れてはなりません。これも、あまり報じられていないことですが、今年に入って、対内証券投資額と対外証券投資額の差額は、マイナス基調、つまり日本から諸外国に資金は流出している状況が続いています。日本から流出した資金は、円から外貨、とくに米ドルに交換されて投資されますので、これも円安(ドル高)要因となります。
これまで過去3年ほど、日本景気が安定的だったこともあり、ドル円レートは、米国経済に関する要因で動く傾向にありました。しかし、足元で米国だけでなく日本の経済にも不安定な動きが出てきているだけに、ドル円レートの先行きを考えるには、米国とともに日本経済の状況も考慮に入れる必要がある気がします。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
米財務省と連邦準備理事会(FRB)表明した
大規模な支援策の対象となる2つの
政府系住宅金融機関(GSE)はどこ?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と
連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/07/14/003250.php