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家計の先行きの厳しさを示した日銀短観の結果(KlugView)
2008/07/01 (火) 15:34
7月1日に発表された日銀短観(6月調査)では、企業の景況感を示す業況判断DIが、大企業・製造業でプラス5となり、前回(3月)調査の結果から6ポイント悪化しました。市場予想のプラス3を上回ったものの、DIは3四半期連続の悪化となり、水準は2003年9月のプラス1以来の低い水準となっています。
日銀短観の業況判断DI、特に大企業・製造業のDIは、景気との連動性が強いことで知られています。市場予想を上回ったとはいえ、3四半期連続で悪化したことなどを考えると、日本景気は、悪化方向で推移しているといえます。
ただ、今回の結果は、日本企業にとって、景気の先行き悲観を示したわけではない気がします。たとえば日銀短観で示された今年度の想定為替レート(大企業・製造業)は、1ドル=102.74円と、足元の水準(1ドル=約106円)や、前回(3月)調査の結果(1ドル=109.21円)に比べ円高水準です。今後、1ドル=100円を割り込む円高が進展する可能性は否定できないものの、ドル円レートが現在水準程度で今後も推移するのであれば、為替によって日本企業の収益が大きく押し下げられる可能性は低いといえます。
今年度の設備投資計画が上方修正されたことも、景気の先行きにとっては心強いものです。大企業・製造業の設備投資計画は、前年度比プラス6.7%と、前回調査より5.5%ポイントも上方修正されています。一部では、設備投資計画の上方修正幅が小さいとの指摘もありますが、4年もの間、設備投資が増加を続けたことを考えれば、今年度も(現時点では)プラス6%以上の計画を示している点は、素直に評価してよいように思えます。
一方、家計にとっては、今回の日銀短観は、やや憂鬱な結果といえるかもしれません。大企業・製造業の販売価格DIが、前回(3月)調査の結果より7ポイントも上昇したからです。販売価格DIは、販売価格が「上昇した」と回答した企業数の割合から「低下した」と回答した企業数の割合を差し引いた値です。大まかに書けば、販売価格DIは、販売価格を引き上げられた企業の割合を指すもので、値が大きければ大きいほど、販売価格を引き上げる動きが強まっているといえます。
日銀短観の販売価格DIは、これまで大きく上昇することはなく、日本企業の収益圧迫要因として考えられてきました。しかし原油価格を始めとする各種資源価格が、上昇を続けていることもあり、さすがの日本企業も仕入価格の上昇を販売価格に転嫁する兆しが出てきたのかもしれません。
過去10年にわたり、日本ではいわゆるデフレが続いてきただけに、今後も物価は上昇しない社会が続くことを前提とされる方も多いかもしれません。しかし、あくまで仮定での話しですが、仮に日本企業が販売価格を引き上げる動きを続けるようですと、最終的には消費者物価が上昇し、一般家庭の家計が圧迫されることになるのでしょう。この場合、日本企業が販売価格だけでなく賃金もあわせて引き上げれば問題ありませんが、賃金を据え置く動きを続ければ、個人消費の伸びが限定的になるのは必然です。一般の方々も、そろそろデフレモードからインフレモードに気持ちを切り替える必要があるのかもしれません。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
日銀短観(6月調査)において、大企業・製造業の
業況判断DIはいくつだった?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
プラス5
(2003年9月のプラス1以来の低い水準)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/07/01/003174.php