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2005.02.13
83.支払い拒否
◆怪しげな請求書は無視が得策。税は支払い拒否者減が課題◆
都道府県の新年度予算案の発表が、各県で続いている。三位一体改革関連は、地方交付税が前年度ほぼ横ばい(マイナス12%継続)を除けば、主な論点となったものは先送りばかりばかりで、新年度予算で何かが見えるという訳ではない。ただ、面白い動きも出てきたようだ。
その一つは、このブログでも奇々怪々さを度々取り上げてきた「国直轄事業負担金」の問題。新聞報道によれば、国から40億円を負担するよう請求された宮城県が、そのうちの半分の20億円を予算計上しないようだ。つまり、支払い拒否。大きな問題のように受け止められるかもしれないが、実はコレ、それほど大きな問題ではない。
なぜか。元々、国直轄事業負担金は、支払わなければならい根拠や理由は曖昧。国が一方的に地方に請求書を送りつけているだけの話。しかも、明細すらハッキリしない請求書なのだ。いわば、オレオレ詐欺、振り込め詐欺、不正請求、迷惑スパムメールの類でしかないから、どう扱おうと問題ではない。
明示的に予算計上を見送り、行動で支払い拒否の態度を明確にした宮城県のように、直接行動に出さなくても、直轄負担の支払いを商談で割り引きしていた自治体の例も、これまでは噂レベルで出ていた。元々、怪しい請求書だから、「少しは、まけてぇな」と相手方との商談が成り立つのだろう。
商談相手は、国土交通省ではなく、同省の地方支分部局。つまり、地方整備局が商談相手。都道府県や市町村と地方整備局の間では、国直轄負担金についての定期的な協議も行われており、地方側がフトコロ状況の厳しさを切に訴えれば、地方整備局側が減額してくれる例もあるらしい。道路や河川などの個別法と、地方自治法が別々のことを定めているから、地方自治法の遵法精神を押し通せば違法にはならないハズで、密談のような怪しげなものではなく、商談は合法的なものだ。
ところが、簡単には引き下がらないのが国。かすかに表面化している積算根拠の中には、国家公務員給与を地方に請求している例もあり、直轄負担金をマケたら、国家公務員の給与にも響いてくるから、国もあの手この手で減額を防ごうとしている。地方整備局というのは、複数県をまたぐ広域エリアを統括しているから、例えば12県を統括していて、ある1つの県をマケて減額したら、その減額と同額を残る11県に上乗せ請求しているのではないか? という見方もある。所詮、請求書の明細があってないようなものだから、上乗せ請求してもバレる訳ではない。
以上は、噂や一つの見方レベルの話だが、何と言っても、国が積算根拠を明確に示していないのだから、こんな言い方、見方も巷では流れているという紹介。
さて、
各都道府県の新年度予算案で、もう一つ注目したい動きがある。東京都が税金の支払いを拒否した滞納者の自家用車を先日、差し押さえたことが全国的なニュースになっていたが、他の都道府県と市町村でも、徴税対策の強化を図っている。税金の納付を促す納税書、催促状、督促状は法的にも何ら問題ない請求書だ。
世間的には、税金を強制的に徴収するのはやり過ぎという輩もいるようだが、これは完全な間違い。税金を請求される人は、税免除、非課税という制度上の分類に当てはまらない人。差し押さえ品を見れば分かるように、税の免除、非課税ではないから、自家用車や宝飾類を購入できるだけの収入があるのだ。
税の滞納者対策は、別に今に始まったことではなく、これまでも地道に続けられてきた。それが、最近にわかに脚光を浴びてきたのは、自治体の広報強化に乗ってマスコミ報道が多くなったから。行政側がマスコミ効果で狙っているのは、もちろん滞納者ゼロの目標だろう。
実は、新年度予算案では三位一体改革の影響はほとんど表れないが、2006年、2007年度に税源移譲されることを考えれば、この税の徴収率というのは、極めて大きな意味を持ってくると考えられる。地方交付税にしろ、補助金にしろ、所得譲与税にしろ、今までは国が確保し、計算通りの額が地方に渡ってきた。ところが、税源移譲されて自主財源になれば、今度は地方は自分で確保しなければならなくなる。その時に徴収率が低ければ、それだけ収入は低くなってしまう。
簡単に言えば、計算上の税源移譲額X徴収率=実収入額になって表れ、徴収率が低ければ、地方が税源移譲額を取りこぼすことになる。計算上の移譲額が高くても、徴収率次第では実収入は減り、移譲額が少なくても徴収率が高くて満額確保できれば、三位一体改革の損失を防ぐことができる。それ以上に、自主財源に対する自治体の責任や能力を測るバロメーターにもなる。三位一体改革の自治体間格差は、ほっとしたら、この税収率から生じ始めるのかもしれない。