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さらなる利上げは期待できないオーストラリア経済(KlugView)
2008/06/20 (金) 20:08
世界経済の先行き不透明感が強まっている中、オーストラリア経済の好調が注目を集めています。経済協力開発機構(OECD)の予測によると、オーストラリア経済はOECD加盟国で最長となる18年連続のプラス成長が見込まれています。オーストラリアの輸出を支える鉄鉱石や、小麦や牛肉といった農畜産品の価格が上昇が、オーストラリア企業の収益性を高め、設備投資を拡大させています。また、企業収益の向上が所得・雇用環境の改善につながり、家計が個人消費を増やしていることも、オーストラリア景気の拡大を後押ししています。
現在の資源高・食料高は、世界的なマネー拡大だけでなく、中国、インド、ロシアといった新興国の経済成長に伴う需要増による面も強く、今後もしばらくは続くだろうとの見方が強まっています。このため、オーストラリア経済の拡大もしばらく続くだろうと考える方が多いようです。
こうした中、オーストラリアの政策金利が、今後も引き上げられる(利上げがされる)だろうと連想する方も多いようです。景気拡大を背景にオーストラリアの消費者物価の上昇率は、今年1−3月期には4.2%(前年比)に高まっています。オーストラリアの中央銀行である豪州準備銀行(RBA)が目標(ターゲット)とする消費者物価の上昇率は2〜3%ですので、RBAは利上げをすることでインフレを抑制しようとするシナリオも考えられます。
ただ、あまり知られていないようですが、好調が続いているように思われているオーストラリア経済は、今年に入ってから減速感を強めています。4月の小売売上高は、市場予想(前月比0.2%増)に反して、前月比0.2%の減少となりました。また3月の伸びも0.5%から0.2%に下方修正されています。またAIGグループが発表する製造業景況指数(PMI)は、1月に47.2と、好況・不況の目安とされる50を下回り、その後も52近辺で推移しています。
あくまで個人的な邪推なのかもしれませんが、RBAによるこれまでの利上げの効果が、ようやくオーストラリア経済に波及し、個人消費や企業活動を抑制しているのかもしれません。仮に利上げの効果が今後も浸透し、オーストラリア景気の拡大ペースが鈍化すれば、結果としてインフレも押さえ込まれ、RBAは利上げをする必要がなくなります。
オーストラリアの経常赤字が拡大傾向を続けている点にも注意が必要です。今年1−3月期のオーストラリアの経常赤字は、対GDP比6.9%と、1985年以降、最悪の水準となっています。
経常赤字の拡大の背景には、オーストラリアの金利高に伴うオーストラリアドル(豪ドル)の上昇があります。一般に自国通貨が上昇すれば、自国通貨建てでみた輸出は減少する一方、自国通貨建てでみた輸入物価は低下し、輸入が拡大します。この結果、経常赤字は拡大しやすくなります。特にオーストラリアの場合、鉄鉱石や小麦、牛肉の価格上昇で輸出額は押し上げられているので、経常赤字の拡大が続いている点は、マクロ経済の点で問題が多いように思えます。
利上げ効果の浸透もあってインフレが抑制される可能性が出てきたほか、経常赤字の拡大を考えると、おそらくオーストラリア当局は、これ以上の金利高は望ましくない、と考えても不思議ではないように思えます。仮にこうした考え方が、的を得たものであるならば、利上げ期待で上昇している豪ドルも調整局面を迎えることになります。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
OECDの予測によると、オーストラリアは
何年連続でプラス成長を続ける?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
18年連続
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/06/20/003098.php