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GCCがドルペッグをやめたら、今日まで事実上、米英の植民地だった中東諸国は、地域覇権国の一つになるか?
http://www.asyura2.com/08/hasan57/msg/168.html
投稿者 TORA 日時 2008 年 6 月 14 日 13:11:49: GZSz.C7aK2zXo
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu169.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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GCCがドルペッグをやめたら、今日まで事実上、米英の植民地だった
中東諸国は、GCC産油国を中心とした地域覇権国の一つになるか?

2008年6月14日 土曜日

◆為替のちょっとした感じ  6月13日 厭債害債
http://ensaigaisai.at.webry.info/200806/article_5.html

米国の三役揃い踏みみたいな為替口先介入で明らかに雰囲気が変わっているドルですが、やはりどうも違和感ありまくりです。よく言われるようにもともと連銀議長が為替に言及すること自体異例である上、財務省の関与をはじめからにおわせるというのはよほどのことです。ある人はこれに関するバーナンキのステートメントに違和感を持ったといいます。それは為替に関するコメントのパラグラフが前後のパラグラフとのつながりをやや欠いているのではないか、ということのようで、その方はこの部分は直前に無理やり挿入したのではないか、と言う疑問を持っていました。

いずれにせよ米国の大統領まで巻き込んだドル支持政策は間違いなく政治的な背景があります。インフレ阻止だけだとここまで言うこともないでしょう。あくまで推測ですが、すでにかんべえさんのところで指摘されているのですが、産油国も多く含んでいるドルペッグ国との関係が疑われるところです。まさにドルは高くしておくからお願いだからドルペッグはずさないでね、ということでしょうか。

ドルペッグ国にとってドル安は金融政策の自由度を大きく毀損しています。本来引き締めが必要な場面であるのに、金利を引き上げて引き締めればますます海外の投機資金の流入を招き所定のペッグレンジをこえる危険を生むという矛盾を生じてしまう。そのためにドル買い自国通貨売りオペレーションが必要になりそれがまた金融政策の負荷となる、ということです。かれらにとってドルペッグはもはや外貨準備が不安定だった過去の遺産でしかなく、それから外れようとするインセンティブはきわめて高い。ドルペッグがはずされると相対的に成長の高いこうした国々にとって自国通貨売りドル買いによって為替を調整する必要がなくなり、結果として米国債やドル資産への投資の必要が大きく減ります。為替もさることながら、今後国内金融システムや景気浮揚のために膨大な資金が必要となると思われる米国にとって、ファンディングの問題が浮上することは相当危機的な状況を招く(長期金利の急上昇)とおもわれます。

もちろんインフレもテーマでしょう。オイルとドルの逆相関がつよまっている昨今ではドル高に持っていくことであわよくば原油などを下落させる効果も狙っているのかもしれません。いずれにしても、最近産油国との連携を深めていることはこういう背景もあるとおもっています。

しかしながら、いうまでもなくこれは劇薬です。景気の下支えとして唯一ドル安で潤っていた輸出部門にとってはマイナスとなります。本当に介入まで匂わせておいてドル安が止まらなかったらそれはまた恐ろしいことです。ワタクシの記憶する限りここまで米国がイニシアチブをとって自国通貨を引き上げる方向での介入まで口にしたことはほとんどなかったと思います。また今後の金融政策はますます難しくなってきそうです。

まあテクニカル的に明確にブレークしてしまっているので当面は政治の意思を確認すべくついていくしかありませんし、ショートカバーを誘発すれば結構なレベルまでドルは上がる可能性もあります。ちょうど今日はアイルランドでリスボン条約についての国民投票があり、否決の可能性も結構高いためユーロドルで波乱が生じる可能性もあります。かつてフランスでユーロ憲法が国民投票で葬り去られたときもユーロはかなり落ちたと記憶しています。この辺EURO SELLERさんはどのようにお考えなのか興味あるところです。

最近ばたばたしているのでちょっとメモ程度ですみません。


◆金融危機の再燃  6月9日  田中 宇
http://tanakanews.com/080609bank.htm

▼マスコミを使った延命策

 米連銀は昨年秋以来、一貫して、不況対策と金融機関救済という2つの目的のため、短期金利を引き下げ、金融界への資金供給を拡大し続けてきた。しかしその結果、インフレがひどくなり、ユーロ圏や、通貨をドルにペッグ(連動)しているアラブ諸国(GCC)が、ドルに連動して自国通貨を弱体化させる政策を放棄し、通貨の対ドル為替の上昇を容認する政策に転じる可能性が出てきた。

 ドルに対する信用不安を回避しようと、連銀のバーナンキは6月3日、インフレを増大させるドル安を回避したいと表明した。ドルの為替については財務省の専管事項であり、連銀がドル安への懸念を表明するのは異例である。連銀がインフレ回避のためにできることは利上げである。市場では、連銀はインフレより不況を懸念する従来の利下げ政策をやめて、不況よりインフレを懸念する利上げ方向に転じそうだとの観測が広がった。(関連記事)

 当初は、ドル高と利上げ傾向で、世界の投資家にとってアメリカに投資することの魅力が回復するとの見方から、アメリカの株価は上昇した。だが、利上げは金融機関にとって調達資金コストの増大となり、金融危機を増大させる面がある。利上げは、不況色を強めている米経済の景気にもマイナスだ。これらの要因から、6月6日には株価は急落に転じた。バーナンキのドル高発言の好影響は2日ほどしか続かず、その後は悪影響の方が大きくなった。(関連記事)

 私から見ると、FT(フィナンシャルタイムス)など、米英の金融専門のマスコミでは、3月末の危機が回避された後、相場を下げる方向の分析記事の掲載をできるだけ避けている観がある。

 たとえば6月4日にOECDが発表した経済見通しについて、FTは「先進国は経済危機を良く乗り切っているとOECDは見ている」という記事を出したが、フランスのAFPは「米経済は今年いっぱいひどい状況だとOECDは見ている」、中国の新華社は「OECDは、先進諸国は経済難が続くと予測した」と報じている。OECDによる世界経済の多角的な分析の中のどの部分を見出しにとるかによって「良く乗り切っている」から「ひどい状況が続く」まで、いくつもの論調の記事ができあがる。(関連記事その1、その2、その3)

 経済の状態をできるだけ楽観的に描こうとする圧力が、マスコミに上の方からかけられ続けていれば、悪い統計数字が出ても、大して悪くないとみなす記事が多くなり、個人投資家などの多くに影響を与えられ、金融相場の下落をある程度防げる。国際政治の記事で「イスラム=悪」の図式が貫かれ、アメリカによる虐殺的侵略戦争が「独裁者を倒す良い戦争」として描かれるのと同様のメカニズムで、金融市場の延命策が採られている。

 しかし、大手の投資家はもっと冷徹な分析をしており、彼らによる売りがかさんでくると、延命策は続かなくなる。延命策を採っている間も、米英の財政・貿易・家計の「三つ子の赤字」は拡大し、矛盾は潜在的に増大している。次に延命策が尽きたときの崩壊度が大きくなる。先週以来、3月末以来の延命策が尽きつつあるのではないかという懸念が高まっている。今回は、まだ延命策の効力が続いたとしても、この先いつ尽きるかはわからない。

▼経済と覇権

 今のところ、世界各国の通貨当局は、ドル下落に合わせて自国通貨の価値を下げているが、これを続けている限り、各国のインフレはひどくなるばかりで、政府支持率の低下や暴動など、政治不安につながっていく。各国はどこかの時点で、自国通貨の対ドル為替の切り上げ容認に転じざるを得ない。

 6月5日には、EUの欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が、インフレがあまりにひどいので、来月にユーロ圏の金利を引き上げるかもしれないと発言し、ドル安ユーロ高を引き起こした。2日前のバーナンキのドル高発言の効果は、トリシェの発言によって打ち消された。(関連記事)

 6月2日には、ポールソン米財務長官が中東訪問中に「アラブ産油国(GCC)のインフレは、通貨の対ドルペッグ(為替連動)をやめたらおさまるものではない」と発言し、GCCはドルペッグを維持した方が良いという姿勢を見せた。(関連記事)

 昨年末以来、投資家の間では「GCCは、ひどくなるばかりのインフレを抑制するため、近々ドルペッグをやめるだろう」という見方が広がっているが、ポールソンはその見方に冷や水を浴びせかけ、ドル安を防止しようとした。FTなどのマスコミも、ポールソン発言に呼応し、ドルペッグは外れそうもないと主張する記事を出し、米当局に協力した。(関連記事その1、その2)

 しかし、その数日後には、アメリカの金融危機が再燃しそうだという流れに乗って、再び「GCCはドルペッグをやめるのではないか」「やめるべきだ」と主張する記事が、またもや湧き出てきた。GCCがドルペッグをやめたら、今日まで事実上、米英の植民地だった中東諸国は、GCC産油国を中心とした地域覇権国の一つになっていきうる。世界の政治的な地図が塗り変わる可能性を秘めている。(関連記事その1、その2)

 ドルはアメリカの覇権を支える大黒柱である。ドルに対する信用不安は、アメリカの覇権が崩壊しかけているという政治的な問題でもある。日本人は国際政治の素養が低く、経済にしか興味を持たないよう教育されているので、ドル安は日々の相場の問題としか思わないが、実はドルの信用失墜は、戦後の60年間のアメリカの覇権(もしくは産業革命以来200年の英米覇権)が崩れ、世界の政治構造が変わりかねないという、政治的な問題として重要である。50年100年単位の大きな動きである覇権の問題からすれば、短期的な景気や相場の問題は些末だ。

(私のコメント)
ECBのトリシエ総裁とFRBのバーナンキ議長との金利をめぐる駆け引きは、微妙なところに来ていますが、石油の価格がこのまま上昇していけばECBは金利を引き上げざるを得なくなるだろう。そうなるとドルも金利を引き上げないとドル安となるので金利の引き上げ合戦が起きて株が暴落する可能性がある。

アメリカは中央銀行が資金供給を続けているから、だぶついた資金が石油投機に向かっている。米連銀は2006年春以来、主要な通貨供給量(M3)の発表をやめているのはインフレを助長するからでしょうが、麻痺してしまった債券市場やコール市場に資金を供給し続けなければ大型の金融機関の倒産が起きてしまう。

このようにしていれば当面は破局は回避できますが、いつまでもこのような非常体制は続けられない。ドルがだぶついてドル安となり石油の高等や商品市場の高騰となってインフレを招いてしまうからだ。ドルペッグを取っている中東産油国にとってはアメリカからインフレが波及してきて物価高が国民の不満を爆発させる恐れがでてきた。

だからアメリカの政府高官によるドル高への口先介入が行なわれていますが、やっている事と言っている事は矛盾している。口先介入の効果が無くなればアメリカは金利を引き上げなければならなくなりますが、金利を上げればまたしても金融不安が再燃してきてしまう。

アメリカにとって一番の焦点は、中東産油国のドルへのリンクからの離脱ですが、ブッシュやポールソンが相次いで中東を訪問したのはドルペッグ離脱阻止の為でしょう。ドルで石油が買えなくなればアメリカにとって致命傷になりかねない。このためにインフレ抑制のスタンスを取り始めるようにアメリカは舵を取った。

アメリカはいままで口先介入以上の為替政策はとっていませんが、政府の意向で動く天下無敵のファンドが相場をコントロールしてきた。アメリカのゴールドマンサックスやモルガンスタンレーはアメリカ政府そのものであり、国家ぐるみでインサイダーを行えば取り締る機関もない。いわばGSやMSはアメリカの政府系ファンドだ。

農産物の高騰も石油の高騰もブッシュが去年の年頭教書で予定されていた事であり、アメリカ政府がシナリオを書き、FRBが金融機関に資金を提供し、ファンドが石油や穀物相場を吊り上げる。いわば住宅バブルの次は石油・穀物バブルでファンドは一息ついている。日本でこのような政府系ファンドを作っても日本には情報機関も分析機関もないからファンドは相場を仕掛けられない。だから日本は政府系ファンドを作っても機能しないだろう。

最近の日本はテレビでエコロジーの大キャンペーンを行なっているが、これも欧米の情報操作の一つであり日本のファンドはカモになるだけだろう。6月7日の「株式日記」で記事を紹介したように、商品ファンドに流れ込んでいる資金の24%が日本からの資金であり、アメリカの「政府系ファンド」は日本からの買いに売りをぶつけて売り逃げている。ジャパンマネーが出て来た時が相場の終わりなのであり、日本人は欧米のこのような情報操作が読めないのだろうか?

アメリカの金融帝国はCIAやNSAや「政府系ファンド」のGSやMSが中心となった金融帝国であり、ドルが基軸通貨である限りは金融帝国は安泰だ。しかし中東産油国のサウジアラビアがドルと石油とのリンクを外した時がドルの基軸通貨体制の終わりの時であり、金融帝国も落ち目の始まりとなるだろう。

アメリカは海外から毎年100兆円もの投資を呼び込んで、その資金が様々な市場で売り買いされている。政府日銀もアメリカ国債を買ってはドル安で借金が棒引きされてしまっていますが、ドルが基軸通貨だからこのような事が出来る。

もし石油とドルとのリンクが外されたら日本はアメリカの農産物しか買うものがないからドルはそれほど必要は無くなる。むしろサウジが円で石油を売ってくれれば円がアジアの基軸通貨になりうる。あるいは中国の元かもしれない。

サウジが求めているのは外交的な国防力であり、アメリカが超軍事大国だから石油とドルとをリンクさせてドル基軸通貨体制を支えているのですが、オバマ政権が出来てイラクから米軍を撤退させれば、中東における軍事的覇権は失われてサウジも石油とドルのリンクを外すだろう。

アメリカ軍は、イラク戦争において陸上戦闘力の弱体化を印象付けましたが、イラクから米軍が撤退すれば政治的には敗北を意味する。だから共和党のマケイン候補はイラクに100年間駐留すると発言している。イラクに石油がある限りアメリカ軍はイラクから撤退はしたくないだろうが、国内経済がサブプライムなどでガタガタになれば強力な軍事力は維持が出来ず、サウジもアメリカを見捨てるかも知れない。

アメリカにとっての最重要同盟国はサウジアラビアと日本ですが、この二つの国から見捨てられればアメリカはおしまいなのだ。アメリカはサウジを失う事で石油を失い、日本を失う事で海の支配権を失う。そうなった時はアメリカはただの大国となってしまう。

 

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