の救済措置などを受けて過度の信用不安は後退しつつあるが、金融機関の信用状況を示すロンドン銀行間取引金利(LIBOR)とオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)金利のスプレッドは依然として高水準。国際金融市場の緊張状態は続いている。 会合では、金融安定化フォーラム(FSF)のドラーギ議長から、FSFが4月の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(ワシントンG7)に提出した金融市場混乱の再発防止策について現状報告が行われ、引き続きFSFの勧告に沿った取り組みの重要性を確認すると見られる。
<原油高抑制に投機マネーも議論>
不確実性の高い経済・金融情勢が継続している一方、各国・地域は世界的なインフレ懸念に直面しており、G8では新興市場国を招いて開催するアウトリーチ会合を通じて原油や食料など1次産品価格の上昇抑制を含めて対応策を議論する。
議長を務める額賀福志郎財務相は4日の講演で、原油価格の高騰について「現在の水準が長期化すれば、各国の企業収益や個人消費に大きな影響を与える」と懸念を表明。「(G8では)1次産品価格の問題の本質に取り組む対策を議論したい」と意欲を示した。 具体的には、省エネや輸出国の生産能力強化、市場の透明性向上など需給両面での対策や、投機マネーの動向が議論の対象になる見通し。投機マネーに関しては、日本の財務省幹部が「実需以外の取引が価格形成に悪い影響を与えていないか、過度な(相場)変動に影響を与えていないか、という観点の議論はある」と指摘。12日付のウォールストリート・ジャーナル紙によると、イタリアのトレモンティ経済・財務相は同紙とのインタビューで、G8財務相会合において原油市場の投機抑制策を提案することを明らかにした。
もっとも世界経済の先行きに不透明感が漂う一方で、増大するインフレ懸念という構図の下で、有効な政策手段は限られる。加えて利上げを模索し始めた欧州に対して米国はドル安是正による対応へ動き出しており、G8内の足並みもそろわない。
1次産品価格の高騰が世界経済や低所得国に与える悪影響について認識を共有することは可能だが、もともとG8会合には中央銀行総裁が出席しないこともあり、金融・為替政策などで具体的な協調策を打ち出すのは難しい情勢だ。
<協調演出失敗ならドル大幅安の指摘も>
ドル/円が3カ月半ぶり高値へ上昇するなどドル高地合いが強まっている外為市場では、原油価格とも密接に関連するドル相場をめぐる各国の認識にあらためて関心が高まっている。9日のポールソン米財務長官の発言を皮切りに米当局のドル安けん制発言が相次いでいるためで、中銀総裁が出席しないG8で「コミュニケ(声明)に為替の話が出てくることは想定していない」(日本の財務省幹部)ことは織り込み済み。 だが、終了後の各国財務相の記者会見でのドルや自国通貨に対するコメントを通じて「どこまで各国がドル高に協調するか」(都銀の外為チーフディーラー)を推し量るのが狙いだ。
特に注目が集まっているのは欧州各国の発言。市場では米国同様、インフレに悩むECBも利上げの可能性を示唆することで、ユーロ高によるインフレ抑制を狙っているとの指摘が多い。「ユーロ圏がどこまで米国の主張を受け入れるかによって、今後のドル上昇の勢いが変わる」(外銀の外為チーフディーラー)という。
会合でG8の足並みがの乱れが露呈し、市場で「一定程度のドル高協調」に失敗したとの見方が広がった場合のドル安リスクを警戒する声も出始めた。足元景気の減速で利上げに踏み切れない米国を尻目に、インフレ対策でECBが利上げを実施すれば、ユーロ/ドルは史上最高値を目指して上昇しかねないためだ。「そうなればドル安を止める手段は、協調介入しかなくなる。今はその可能性はほとんどないが、ゼロでもないだろう」(邦銀の外為関係者)との声も出始め、マーケットは米欧当局の動向を注視している。
(ロイター日本語ニュース 伊藤 純夫記者、取材協力:基太村 真司記者;編集 田巻 一彦)
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