★阿修羅♪ > 国家破産57 > 117.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
景気判断を議論する代わりに実務者がなすべきこと(KlugView)
2008/06/10 (火) 10:53
内閣府が発表した4月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が、101.7と2ヶ月連続で低下し、2005年11月以来の低水準となりました。この結果、内閣府は、景気の基調判断を「一進一退」から「局面が変化している可能性もあるとみられる」に下方修正しています。
景気動向指数とは、景気の現状や先行きを予測するための経済指標で、生産、雇用といった経済指標を統合することで作られます。日本の景気がピークを迎えた、とか、景気が底を打ったといった判断をする際の基準となる「景気日付」は、景気動向指数を基に決定されるため、一致指数の低下と、それに伴う内閣府による基調判断の下方修正によって、日本景気が後退局面に入った可能性が出てきたことになります。
ただ、日本の景気日付は、景気動向指数だけで決められるわけではなく、他経済指標も併せて決められます。また、そもそも景気動向指数を構成する経済指標が今後、改定される可能性もあり、現時点の景気動向指数が大きく変更される可能性も残されています。こうしたことから、現時点で景気が後退したかどうかを判断をするには、あと1年程度の時間は必要とされています。このためか、有識者と呼ばれる方々の中には、「もう少し様子を見てから」景気判断をすべきだとコメントされる方もいらっしゃいます。
しかし、個人投資家といった金融市場にかかわる方にとって重要なのは、現在そして未来の日本景気であり、(たとえ正確な判断が得られるとしても)これから1年経たないと現時点の景気判断を知ることができないのでは、実務の面ではあまり意味がない気がします。あるエコノミストは、自動車の運転手を例にとり、運転手は、前方の景色を見ながら運転をするのであって、バックミラーを見ながら運転しないと、景気判断に慎重な物言いをする方々を揶揄するくらいです。
景気動向指数の一致指数と同時に発表され、景気の動きに先んじた動きを示すといわれる先行指数は、2006年5月をピークに低下トレンドを続けており、日本景気の先行きを楽観視できる状況にないことは明らかです。世界経済の先行きに先行するといわれているOECD景気先行指数も、4月まで11ヶ月連続で低下していることも踏まえると、日本だけでなく世界各国で景気の先行き不透明感が強まっているといえます。
世界経済の先行き不透明感を高めているのは、原油を始めとする各種資源の価格上昇です。最近の為替市場では、各国の経済指標の結果よりも、日々変わる原油価格の動向でドルを始めとする主要通貨レートの値動きが激しく変化します。。過去の実績から常識的に考えると、現在の資源価格の水準は常軌を逸しているようにも思えますが、新興国の経済発展を背景としたエネルギー消費量の拡大が続くことを考えると、今後も資源価格が上昇を続ける可能性を排除することはできません。
こうしたことは、ここで記さなくても新聞やテレビといった一般的な情報源でもある程度、把握されていることです。言い換えれば、多くの方が分かっていることですので、そうした状況の下、日本景気が現時点で後退しているかどうかを議論しても、実務的にはあまり意味がないように思えます。
実際のビジネスや金融市場に携わる、いわゆる実務者と呼ばれる方々すべきことは、日本景気が後退局面に入ったか否かを議論することではなく、今後も続くであろう資源価格の上昇に対して、どのように向き合うかを検討し、より良い結果を出すべく行動することなのでしょう。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
OECD景気先行指数は、4月時点で何ヶ月連続で低下している?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
11ヶ月連続
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/06/10/002999.php