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驚く必要もないゴールドマンの人民元10%上昇という予想(KlugView)
2008/06/09 (月) 18:10
6月6日付のフジサンケイビジネスアイは、米証券大手ゴールドマン・サックス(以下ゴールドマン)の人民元に関する予想を紹介しています。報道によると、ゴールドマンは、人民元が来年6月には1ドル=6.3元と、現水準から約10%の元高になると予想しているそうです。
ゴールドマンが、人民元高が進むとする大きな理由は、中国の莫大な外貨準備高です。中国の外貨準備高は、今年3月末で1兆6822億ドル(約177兆円)と、世界2位の日本(5月末で約1兆ドル)を大きく引き離して世界一の規模となっています。中国の金融当局が、貿易によって得た外貨を市場の代わりに買い取り人民元高を抑制する、いわゆるドル買い・元売りの為替介入を続けた結果といえます。
直感的には、外貨準備高は、国全体の貯蓄のように思えるので、外貨準備高は大きければ大きいほど良いように思いたくなります。しかし中国の場合、外貨準備が拡大することは、外貨の代わりに人民元を放出していることを意味しますので注意が必要です。
中国政府が外貨の代わりに人民元を放出すると、市中に流通する貨幣の量が増加します。市中に流通する貨幣が増加し続けると、モノとお金のバランスが崩れ、物価が上昇する現象、いわゆるインフレとなることが知られています。今の中国にとって、外貨準備が増えることは、それだけインフレリスクが高まることをも意味します。
本コラムで幾度となくご紹介したように、現在の中国経済は、予想外に高まっている物価上昇(インフレ)に苦しんでいます。中国政府は、今年のインフレ率の目標として消費者物価指数(CPI)の伸び率を4.8%と設定していますが、4月のCPIの伸び率は、前の年に比べ8.5%まで高まっています。
中国政府・当局者は、物価上昇に歯止めをかけるためと称して、預金金利や預金準備率の引き上げといった金融引き締め策を随時実施しています。しかし、こうした金融引き締め策は、昨年より幾度となく実施されてきたことであり、金融引き締め策だけで物価上昇に歯止めがかかると言い切れないことは、中国政府・当局者も理解していることのように思えます。
個人的には、ここまでインフレが進んでしまった以上、中国政府・当局者は、金融引き締め策だけではなく、インフレの根本原因となっている為替介入を手控えざるを得ないと思われます。中国政府・当局者による為替介入が手控えれば、人民元が上昇するのは自然の動きでしょう。人民元が来年には10%ほど上昇するというゴールドマンの予想は、驚くべきものではない気がします。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
米証券大手ゴールドマン・サックスは、
来年6月の人民元レートをどれくらいと予想した?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
1ドル=6.3元
(現水準から約10%の元高)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/06/09/002993.php