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http://www.cyzo.com/2008/08/post_867.html
社会 どう考えても狂ってる! 原油高騰対策の非道ぶり
中東は原油生産を拡大しているが、原油
価格は一向に下がらず……。
空前の石油高騰が、国民の暮らしをますます締めつけつつある。特に重油燃料だけを頼りに海へ繰り出していく漁師たちの生活は深刻だ。昨年まで1キロリットル6万円台だった重油はいま、2倍の12万円台まで跳ね上がる勢いで、漁師たちはついに行き詰まってしまった。7月15日、全国の漁船20万隻が一斉ストライキを行い、都内をデモ行進まで繰り広げる事態になり、これまでなんら対策を打たなかった政府関係者を驚かせた。
「漁業団体によると、この状況が年末まで続けば、全国の漁師約20万人のうち8万人が職を失い、漁獲高が4割減るという最悪のケースも想定されるという。すでにスーパーの魚介類は倍近い値上がりを見せるところもあり、魚が、金持ちだけが口にできる高級食材になる日も近い」(経済部記者)
この事態に慌てた政府・与党は7月末になり、漁業者に対して燃料代を補てんするため、総額745億円もの緊急支援策を発表したが、「高い重油代の一部を政府が肩代わりするだけの話で、疲弊しきった漁業界を立て直す根本策ではない。しかもこれだけの税金は結局、石油元売り会社に支払われることになり、実態は、儲けを増やしたい元売り各社への支援策ではないかとすらいわれている」(同)
確かに、このごろの政府の動きは、元売りを喜ばせるだけの政策に終始している。たとえば6月、甘利明経産大臣は中東を訪問して増産を働きかけ、これに応じたサウジアラビアが日量50万バレルの増産、クウェートも日量30万バレルの増産を約束した。これによって、ガソリンや重油の価格も一気に下がることを期待したもので、国民のためのエネルギー資源確保という当たり前の外交交渉だったはずだが、内実はとんでもない方向に向かっている。
「調達した石油は日本の元売り各社が受け取り、それを経済成長著しい中国などに輸出するんだよ」(経済ジャーナリスト)
元売り関係者によると、中国などのアジア地域は経済発展によってインフレ状態にあり、燃料油は日本国内より高く売れる。そこで、中東から仕入れた原油を重油生産に回さず、中国でよく使われる産業用の軽油や、灯油と同質のジェット燃料へと大量精製し、輸出するようになっているという。
「海外向けの石油製品は増産に次ぐ増産の態勢にあり、最大手の新日本石油なんか中国で現地会社との合弁会社まで立ち上げ、輸出強化策を打ち出している」(同)
このように元売りは輸出にばかり目を向け、国民が必要としている燃料は供給しないという信じ難い現実。そして、ここにきて税金まで投入し、元売りに金儲けさせるというとんでもないこの政策を放置しておいてもいいのだろうか?
(編集部/「サイゾー」9月号より)
【参考】
http://ja.wikipedia.org/wiki/1918%E5%B9%B4%E7%B1%B3%E9%A8%92%E5%8B%95
・1918年米騒動
[以下、主だった箇所を抜粋]
国の対応
米価格が高騰することにより、地主や商人は米を米殻投機へまわすようになり、次第に売り惜しみや買い占めが発生しはじめた。事態を重く見た仲小路廉農商務大臣は1917年9月1日に「暴利取締令」を出し、米、鉄、石炭、綿、紙、染料、薬品の買い占め、売り惜しみを禁止したが、効果はなかった。常軌を逸した商魂を表わす口語の動詞「ぼる」「ぼられる」(暴る、暴られる)は、この暴利取締令の「暴利」に由来する(広辞苑)。(後略)
米騒動の発生
1918年7月22日の夜間、富山県下新川郡魚津町の魚津港に、北海道への米の輸送を行うため、「伊吹丸」が寄航。伊吹丸への荷積みを行っていた十二銀行の倉庫前へ魚津町の主婦ら十数人が集まり、米の船積みを中止し、住民に販売するよう求める嘆願がなされた[4]。
この時は巡回中の警官によって解散させられたが、住民らは集会をはじめるなど、米の販売を要望する人数はさらに増加していき、翌月8月3日には中新川郡西水橋町で200名弱の町民が集結し、米問屋や資産家に対し米の移出を停止し、販売するよう嘆願した。
8月6日にはこの運動はさらに激しさを増し、東水橋町、滑川町の住民も巻き込み、1,000名を超える事態となった。住民らは米の移出を実力行使で阻止し、当時1升40銭から50銭の相場だった米を35銭で販売させた。
この件は地方新聞を通じ、全国の新聞に「越中女一揆」として報道された。米騒動の始まりであった。
コメント:目先の儲けのために、「地元民」に必要物資を売らず、より高く買う遠方の消費地に売ろうとする石油元売各社の姿勢は、まさしく「米騒動」直前の富山の米販売業者の対応に酷似する。