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チリの干ばつ、鉱業業界の再編促す可能性も
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)鉱業セクターは世界的に過熱しているが、次の展開は予想外の出来事がきっかけで始まるかもしれない。チリの干ばつだ。
鉱物が豊富な国チリでは、銅やその他の金属の採掘で、水力発電による電力を利用している。しかし50年ぶりの大干ばつにより、同国の貯水量は通常の水準を36%も下回っており、水力発電量が減少する危険にさらされている。こうした状況が、4月に史上最高値の1トン当たり8880ドルをつけた銅価格のさらなる上昇をあおっている。水力発電では、水力がタービンを回転させることによって電力を発生させる。
この干ばつはまた、銅資産の獲得意欲をもかき立てている。インドの銅・亜鉛生産大手、ベダンタ・リソーシズ(VED.LN)は、米連邦破産法11条の適用を申請した米国3位の銅産会社、アサルコの資産に対し、26億ドルでの買収を提案している。
BHPビリトン(NYSE:BHP)やリオ・ティント(NYSE:RTP)といった大手から、米アルコア(NYSE:AA)などの中堅まで、商品価格の高騰に伴い、鉱業業界の株価は全面的に上昇している。
このような状況下で、生産量ベースで世界最大の銅生産上場会社、米フリーポート・マクモラン・コッパー・アンド・ゴールド(NYSE:FCX)が、資金力のある同業他社からの買収攻勢に遭う可能性は、今まで以上に高まっている。銅にほぼ特化する同社は、急速に多角化や統合を進める鉱業業界においては異色の存在。ブラジルの鉱業大手ヴァーレ(旧リオドセ)(NYSE:RIO)が、同社の買収に名乗りをあげるのではないかとみられている。同社は以前、スイスの同業エクストラータ(XTA.LN)の買収を試みて失敗し、引き続き買収先を探している。
フリーポートの収益性は高いが、一方で同社は構造的な問題も抱えている。規模の小ささがネックとなり、鉄鋼やエネルギーの価格に加え、採掘装置のコストが急騰しているにもかかわらず、コスト増加分を効率良く分散させることができずにいる。リチャード・アドカーソン最高経営責任者(CEO)がアナリストに明かしたところでは、「コスト圧力が、新規プロジェクトの開発や既存プロジェクトの生産維持を困難にしている」とのこと。
同CEOはコスト高の環境下で高い利益率を保っていることは、同社の評価上昇につながる、と主張するが、それと同時にこの利益率の高さは、買収対象としての魅力も高め、鉱業大手を寄せ付けることになる。これら大手は銅山発見のコストや時間を省くため、優良な既存資産を求めている。
フリーポートや、アルミに特化するアルコアといった、一種の鉱物に特化した鉱業会社は、同業大手にとって格好の買収ターゲットになる。ヴァーレやBHPビリトンのほか、ロシアのUCルサールやエクストラータを含む同業他社はすべて、取り扱い商品の多様化を目指している。
業界を挙げて巨大化と収益性の向上が進む中で、ピッツバーグに本拠を置くアルコアは、他社との足並みをそろえることが困難になってきていることを認識している。北米への進出を目指すルサールが、同社に買収案を提示する可能性もある。しかしアルミ生産を手掛けるルサールは、ヴァーレやエクストラータとは異なり、独禁上の障害に遭遇する可能性が高い。
一部で指摘されているように、大手が一資源特化型の企業を飲み込んで超大手を形成するという、業界再編が巻き起こるかもしれない。鉱業最大手BHPビリトンのマリウス・クロッパース最高経営責任者(CEO)は先週、「統合の流れを止めることはできない。一種類の資源だけで規模を追求することは、ますます困難になってきている」とコメントした。同CEOの予想では、株式非公開の巨大ロシア企業が同地域の支配を拡大し、ブラジルや中国でも同様の動きが進展していくという。
またBHPビリトンは、現在保留となっているリオ・ティントとの合併を成功させ、より一層の巨大化と多角化が実現することを望んでいる。
こうした事情から、チリの干ばつが終わるほど雨が降らない限り、世界の鉱業セクターを取り巻く環境の大きな変化が予想される。
(6月6日付のHeard On The Streetより)
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