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消費拡大にはつながらない収益低下による労働分配率の上昇(KlugView)
2008/06/05 (木) 22:01
6月5日付の日本経済新聞は、「分析ニッポン株式会社」と題して、日本企業の利益配分の現状を論じています。記事では、日本企業が支払った設備投資、株主配分、人件費の動きを指数化したグラフが描かれています。
グラフにおいて興味深いのは、時を経るごとに株主配分の金額が拡大を続ける一方で、人件費は(グラフの中では)ほぼ横ばいで推移している点です。記事によると、日本企業は2000年3月期以降、株主配分を2倍以上拡大させた一方で、人件費は1割程度しか増やしていません。言い換えれば、日本企業は、拡大させた利益を株主と分け合った一方で、従業員には、ほんの一部だけしか割り振らなかった(配分しなかった)といえます。
経済・経営の分野では、企業が生み出した付加価値(粗利益に近いもの)に対する人件費の割合を労働分配率と定義し、企業が稼いだ利益を従業員にどの程度配分したかを示す指標として利用します。この労働分配率をみると、資本金10億円以上の大企業では45%に留まり、過去20年間で最低の水準となっています。こうしたことから、マスコミ誌などでは、もっと労働分配率を高めないと、個人消費が停滞し、結局は企業収益にも悪影響を及ぼすと指摘するところもあります。
ところが最近になって、労働分配率は、上昇の兆しが出ています。ただ皮肉なことに、労働分配率が上昇したのは、企業が支払う人件費(労働分配率では分子の部分)が拡大したのではなく、企業が生み出す付加価値(労働分配率では分母の部分)が低下したためです。つまり、企業は人件費を一定のままにしていましたが、企業の収益が低下したため、結果として労働分配率が上昇したことになります。
当然ですが、労働分配率が高くならないと個人消費が低迷する、というロジックは、「労働分配率の上昇=人件費の拡大」という前提の上で成立するもので、企業収益が低下した結果としての労働分配率の上昇は、個人消費を必ずしも押し上げるとはいえません。なぜなら、企業収益の低下が続くようだと、企業はいずれ人件費の抑制(いわゆるリストラ)を進める可能性が高まり、労働者側もそれを見越して、企業から得た賃金を消費ではなく貯蓄にまわす可能性が高まるからです。
原油をはじめとする国際商品市況の上昇が続いていることもあり、日本企業の収益低下も、しばらくは続くと思われます。このため、企業収益の低下を主因に労働分配率の上昇も、しばらくは続くと見たほうがよいのでしょう。そしてマスコミ報道の中には、労働分配率の上昇を機械的に判断し、個人消費の拡大を期待するかのような記事を出すところもあるかもしれません。しかし、先に述べたように、たとえ結果として労働分配率が上昇しても、企業収益が低下を続けているのであれば、個人消費の拡大も期待しないと考えるのが自然のように思われます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
資本金10億円以上の大企業の労働分配率はどれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
45%(過去20年間で最低水準)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/06/05/002969.php