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今週は、週刊エコノミストの武者陵司氏の日本株強気の記事が最高でした。
私個人の印象では武者氏=超弱気派のイメージでしたが、近年宗旨替えをしたのか、好き勝手なことがいえない地位まで出世してしまったのかは不明だが、強気の日本株式展望を語っている。
あの弱気派代表の武者氏が、ネガティブ要因をスルーしている気がしないでもないが、今回の記事は読み応えのある記事でした。是非皆様も週刊エコノミストを買ってオリジナルをお読みください。他にも、先物主導下落の記事は読み応えありました。記事は、私がブログの制限文字数に納まるよう、要約したものです。
週刊エコノミスト 2008.0610
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/economist/news/20080530-194449.html
記事引用要約-------------------------------------------------------------------------------
高付加価値技術を持つ日本
上昇余地は世界で最も大きい
武者陵司・ドイツ証券副会長兼チーフインベストメントオフィサー
グローバル経済における日本の優位性、強力なプライシングパワー(価格決定力)、日本株式の割安さなど、看過されてきた日本の魅力に日が当たっていくだろう。
米国経済は峠を越え回復へ戦後最大危機説が花盛りであった。恐怖に突き動かされた金融資産価格の暴落、短期金融市場の機能停止、米国大手金融機関の空前の評価損などから金融恐慌の危機が追っていた。しかし、3月半ばの米連邦準備制度理事会(FRB)の非常事態政策により、恐怖心が一掃され、市場は急速に正常化しつつある。非常事態政策とは、@ベア・スターンズ救済、A証券会社に対する直接融資、BFRBによる貸し出し担保としてのモーゲージ(不動産担保ローン)の受け入れーである。恐怖から信用収縮へ、信用収縮から恐慌へといった事態は回避されたといってよいだろう。
米国は借金を重ねて無理な成長を続けてきたが、そのつけがサブプライム禍となって表れており、今後は深刻な債務の巻き戻し、景気の著しい後退は避けられないとの金融危機必然説が間違いだったためではないか。しかし私はこの市場価格暴落は多分に偶然的要素(@サププライムをシヨートできる手段の開発、A時価会計の厳格適用、B銀行の自己資本比率についての新しい国際基準である新BIS規制の適用、C重層的証券化による各下落の伝染)が重なつたことによってもたらされたものであり、政策と市場の復元力により、実態以上に売り込まれたクレジット資産や株式の市場価格は回復していくと予想してきた。
鍵は、米国経済の回復力いかんであるが、過大な不安は必要あるまい。@米国の企業部門の過剰(設備、雇用、債務)が小さく、企業利益も金融を除けば過去最高の水準にあるので、深刻な雇用調整が起きないこと、つまり雇用者所得が守られること、A過去1年問、国内総生産(GDP)を1%押し下げた住宅部門の調整は最悪期を過ぎたこと、B迅速な政策対応、Cグローパル経済の追い風(純輸出の寄与)から、リセッション(景気後退)の可能性は小さいと考えていいのではないか。
1年後の米国は、@堅調な景気、A消滅したバブル・割安化した金融資産、Bより効率化・透明化した金融市場がそろうことになる。ドルは01年からの長期下落から大転換すると見込まれる。
重要な日本のプライシングパワー
世界繁栄は日本の高度成長期と同様、中国などの途上国で低生産性の農民の巨大な工場労働者への転換により生産性が著しく高まっていることによってもたらされた。そして、その、“果実”は途上国だけではなく、先進国にも大きく波及している。多国籍企業は低賃金労働力活用により大幅な超過利潤を獲得している。先進国の消費者は物価下落により実質購買力を向上させている。そうした富と成長の源泉はいまだ途上国において潤沢である。
各国はこの一体化、統合化された世界経済の追い風をいかにより多く享受するかの競争をしている。1次産品価格の上昇は、グローバル化の結果、発生した超過所得を新興国の購買カとして取り戻す動きと解釈するべきである。それは新たな世界需要を生む。
世界の高成長、企業の高利潤、潤沢な資本余剰・投資資金など、グローバル投機を助長する環境は継続しているのである。
そのなかで、日本企業のプライシングパワーが一段と重要になっている。世界経済が完全に一体化したことによって国際分業が変化し、それぞれの国が同じ物を作って角を突き合わせることがなくなった。
現在の国際分業において必須なのは、自分の国で作った物をより高く売る力である。自分の国で作った物を安くしか売れない国は、労働生産性は上がっていても利益は増えないし、国民の暮らしは豊かにならない。
そうした観点からすると、日本は国際分業のなかで極めて有利なポジションを得ていると言える。
今や日本が特化しているのは最先端のハイテクの素材、あるいは部品、あるいは高級な機械装置といったものであり、安価なものは海外に移転している。いわば高付加価値の「ブラックボックス部分」を日本が担い完成品組み立ては韓国、中国、台湾、あるいはヨーロッパ諸国で行つという分業が起こっている。それが世界最大級の日本の貿易黒字維持を可能にしている。
日本には海外で生産された所得、つまり中国やインドで実現した劇的な物的生産性上昇の成果が、有利な交易条件によって入ってくる。グローバル経済統合のなかで、日本は極めて有利なポジションを獲得しているのである。
日本株が割安な3つの理由
それにしては、日本株式は著しく割安である。
株式益回り6%、配当利回り1.7%に対して、日本国債利回り1.6%、預金金利0.4%という大幅なリターンギャップは日本で過去40年間なかったことである。
第1の理由は振り子の行き過ぎで、バブルのピーク時は株高、円高といずれも極端に高かったが、18年かかったその是正運動が行き過ぎてしまい、陰の極である円安、株安に振れたということであろう。
第2の理由として、資本が日本から逃げ出したことが指摘される。外国株、外国債券など個人投資家の海外投資が増加している半面、株主の権利軽視、M&A(企業の合弁.買収)に対する拒否などの日本側の理由により外国資金の流入が阻害されている。
第3に、賃上げ不在、内需創造の不在が起こっている。米国や欧州連合(EU)では、日本と同様、グローバル企業の収益が好調だが、その超過企業利潤は、国内における賃金の上昇、企業配当の上昇、株価の上昇などとなって国内の内需に結びつき、エンターテインメント、通信、サービス、ソフト、ヘルスケアなどの新しい産業と雇用が伸びている。
日本の場合は、企業の超過利潤がそのまま過剰貯蓄となって海外に漏出し、内需を作り出せないでいる。
日本は、@賃金上昇か、A財政出動か、B金利裁定の復活・資産価格の上昇か、C移民の受け入れなどにより、内需の振興が必須になっている。
以上の日本経済と株式の現状は、改善・向上の余地が世界で最も大きいことを示している。国際投資家は、それを無視できないだろう。
特に、世界経済とドルに対する不安が払拭される時、最も注目されるのは日本株式であろう。日本経済の輸出依存度は14%と低いが、上場株式だけをとると、輸出・世界需要主体の製造業の比率がほぼ50%と高く、世界景気に敏感だからである。
----------------------------------------------------------------------------------------要約:引用終了
武者氏の株式予想に、私の慎重な見方を書き加えるのも非常に奇妙な感じである。5月21日発表のFRBの景気予測は0.3%〜1.2%へ大幅に下方修正された。また米失業率も上昇して、米国経済はけして楽観できるものではない。日本でも、ガソリン・食料品などの物価の上昇により、個人消費・外食等が控えられるなどしている。日増しに高まる、日本の消費者の生活防衛意識にっよってもたらされる、新たな不況要因は今後悪化する可能性は高い。また、3日の駅売りの夕刊紙には貸し渋りによる倒産件数の増加の記事が載っていた。また、四川大地震による、中国での経済的影響は、オリンピック前の景気の失速の懸念が高まりつつある。円安へ推移することにより、企業業績増加期待も、中国需要減退で相殺され、むしろ低下してしまう恐れすらある。また、消費税の増税論議は、潜在的な日本株下落要因でもある。私は無いと踏んでいるが、年内総選挙も株価下落要因だ。
今回日本の経済体質を弱めているものに、賃上げ不在、内需創造の不在が最大の要因ではないだろうか?大阪府や国地方の役人の給与は引き下げるべきであるが、民間の給与所得の抑制が日本経済の回復を拒む最大の要因ではないだろうか?
PS・弱気な武者氏に強気な予想を述べられると、逆に不吉なものを感じるのはわたしだけだろうか?