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油断できない中国のインフレ動向(KlugView)
2008/06/03 (火) 10:22
6月2日の中国株式市場は、比較的底堅い動きを示しました。中国株の代表的な指標とされる上海総合指数の終値は、前週末比0.74%高の3459.044となりました。翌週に発表が予定されている中国の5月の消費者物価指数の伸びが、4月に比べ減速するのではないか、との見方が広まり、中国当局による金融引き締め懸念が後退したためと考えられています。
中国の消費者物価の伸びを押し上げているのは、豚肉を始めとする食品価格です。4月の食品価格は、前年同月比で22%も上昇し、肉類では豚肉が68%も上昇するなど、高い伸びが続いています。最近では、世界的な穀物価格の上昇も、中国の食品価格を押し上げているとみられています。
ただ、5月19日から25日までの週の中国36都市の農産物価格は、前週比0.7%の下落となり、7週連続の下落となっています。消費者物価を押し上げている肉類をみると、豚と羊の卸売価格が、それぞれ前週比0.5%下落しています。おそらく、中国株式市場において、5月の消費者物価の伸びが減速するのではないか、との見方が広まった理由は、農産物価格が小幅とはいえ下落を続けている点にあるのかもしれません。
しかし、中国経済を取り巻く環境は、5月以降も大きく変わっていません。むしろ、いくつかの面で、経済環境は中国の物価を押し上げる方向に変わっており、5月の消費者物価の伸びは、減速したとしても小幅で、場合によっては、4月からさらに伸びが加速する可能性も想定した方が良い気がします。
たとえば、中国の深セン市は、経済特区内の最低賃金(月額)を7月より1000元(約1.5万円)に引き上げることを決めています。これにより経済特区内の最低賃金は、現在の水準(850元)から約18%増加します。一般に、賃金が増加すれば、家計の購買力が拡大し、結果として物価押し上げ圧力が高まります。賃金の伸びと物価の伸びは必ずしも一致しないものの、賃金が18%も増加すれば、物価もそれなりに上昇すると考えるのが自然のように思えます。
5月12日に発生した四川大地震も物価を押し上げる要因となります。震災地である四川省は、中国の一大農業生産地であることから、農産物価格が上昇する、という期待を強める可能性があります。また、今後の復興において、震災地域限定とはいえ、金融引き締め策は一時休止されるほか、復興関連財の需要の高まりによって価格が上昇する可能性も否定できません。
中国のインフレ(物価上昇率)は、短期間で一気に高まったこともあり、「そろそろ落ち着いてもいいだろう」といった考え方を取りたくなる気持ちは理解できなくもありません。しかし、物価を始めとする経済現象は、必ずしも人間が考える常識や直感と異なる動きをすることもあるだけに、油断をせず注意深い姿勢をとり続けたほうが無難なように思えます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
中国の深セン市にある経済特区内の最低賃金(月額)は
7月からいくらになる?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
1000元(約1.5万円)
(6月末までは850元)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/06/03/002942.php