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金融業界が金利上昇でも生き残るために求められること(KlugView)
2008/06/02 (月) 22:54
日本銀行のまとめによると、4月の定期性預金(定期預金や定期積金などの合計)の残高は327兆円となり、要求払い預金(普通預金や当座預金などの合計)の残高(317兆円)を約2年ぶりに上回りました。定期性預金は、2002年4月のペイオフ解禁から2006年9月までマイナス傾向で推移していましたが、その後はプラスに転じ、今年4月の伸びは前年同月比+5.5%まで拡大しています。
定期性預金の残高が拡大している理由として指摘されているのが、日本株の下落です。エコノミストの中には、日本株の下落が続いたことで安定的に運用できる定期預金が見直されたとの見方もあるようです。
たしかに個人の運用資金は、株式といった投資の分野から定期預金にシフトしているようです。4月の投資信託残高は51兆円と前年同月比+16.4%の伸びを示していますが、残高の水準は今年2月をピークに減少しています。株安によって投資信託の評価額が低下した効果もあるのでしょうが、いわゆる投資信託ブームに一服感が出てきたともいえそうです。
ただ、定期性預金の残高が伸びている理由は、単に株安が続いただけではなく、日本のゼロ金利政策が解除され、徐々にではありますが定期預金金利が上昇していることも影響しているように思えます。
一般的な金融理論では、資金を運用する方は、運用による利幅(リターン)だけでなく、利幅の変動率(リスク)もあわせて考慮し、運用先を検討すると考えられています。株式投資は、預金に比べて高い利幅が得られることが期待されますが、場合によっては損失を被ることもあります。一方、預金は利幅は株式投資に比べ低いものの、銀行が倒産しない限り損失を被る可能性はありません。あくまで推測でしかありませんが、日本の個人は、株安が続いたことで株式投資における利幅の変動率(リスク)の高さに気づき、よりリスクの低い定期性預金に注目をし出した可能性もあります。
今後、日本の金融政策がどのような動きを示すか分かりませんが、長い目で見た場合、日本の金利がいつまでも低い状態で推移するとは考えにくく、徐々にではあるものの金利が引き上げられ、定期預金金利もさらに上昇することでしょう。そうなれば、当然ですが、現在よりもさらに多くの資金が株式や投資信託から定期性預金にシフトすることになります。
つい半年くらい前まで、日本の個人は「貯蓄から投資へ」舵を切ったかのように言われ、金融業界の先行きは明るいかのような雰囲気が蔓延しました。しかし、現実には金利が上がれば、個人は貯蓄をより好むようになるのが自然であり、いくら金融業界が「貯蓄から投資へ」と声をかけたところで、個人は合理的に動くだけです。金融業界が本当に発展を遂げたいのであれば、「貯蓄から投資へ」といった安易なキャッチフレーズに頼ることなく、金利が上昇しても魅力的なサービスを提供することが必要な気がします。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
4月の定期性預金(定期預金や定期積金などの合計)の残高は?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
327兆円
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/06/02/002937.php