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給料はなぜ上がらないのか? 日本の賃金減少、労働分配率低下は、低賃金の非正規労働者の構成比が増えたことと同義なのだ。
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投稿者 TORA 日時 2008 年 5 月 31 日 15:18:51: GZSz.C7aK2zXo
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu168.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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給料はなぜ上がらないのか? 日本の賃金減少、労働分配率低下は、
低賃金の非正規労働者の構成比が増えたことと同義なのだ。

2008年5月31日 土曜日

大企業ほど労働分配率が低いのは、非正規労働者の構成比が増えたことだ


◆給料はなぜ上がらない−−6つの仮説を読み解く 3月30日 東洋経済
http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/591f3a90c8d5657db0047a520e631cc7/page/1/

資源価格高騰の影響という四つ目の仮説は最近、精緻な分析が進んでいる分野だ。従来の労働分配率の議論では、実質GDPがベースとなっていた。しかし、実質GDPは数量ベースの考え方であり、石油や原材料など輸入価格の高騰による交易条件の悪化は織り込まれていない。

 この交易条件の悪化による海外への所得流出を織り込むと、景気の実態は実は実質GDPの数値より悪い。分析を行ったみずほ総合研究所の泰松真也シニアエコノミストによると、「04年から07年秋にかけて、実質GDPは33・1兆円増えたが、交易条件の悪化でおよそ半分の15・3兆円の所得が海外に流出した。これほどの交易利得の悪化は第2次石油ショック以来のことだ」。

05〜06年に限れば賃上げしすぎ?

 下の図を見てほしい。水色の折れ線が労働生産性上昇率、赤の折れ線が実質賃金上昇率の実績だ。今回の景気拡大期は、実質賃金上昇率が一貫して、労働生産性の伸びを大幅に下回っている。その差はあまりに大きいため、労働者にとっては、本来得られるべき賃金上昇が得られなかったことを示している。

しかし、交易条件の悪化を織り込むと様相は少し変わってくる。マイナスの棒グラフが原油高騰などによる所得流出効果、青色の折れ線はこの所得流出効果と労働生産性の伸びを織り込み、かつ過去の労働分配率を維持したとすれば実現できたはずの実質賃金上昇率を表している。

 これを見ると、確かに03年〜05年前半までは労働者は賃金上昇を取り損ねているが、05年以降の所得流出効果の拡大で、実は05年後半から06年末にかけては、労働者は許容範囲以上に実質賃金を取りすぎていたことがわかるだろう。そのことに気づいた企業は再び財布のひもを締めた。それが07年から再度実質賃金低下が顕著になる理由と考えられる。

 現在、足元では石油は1バレル=100ドル突破が続き、騰勢を強めている。労働者が目指すべき実質賃金上昇率の目安となる青色の折れ線は、今後一段と下落することは確実だ。今春闘でも大企業のベアは前年並みの伸びにとどまったが、今後の日本全体の賃金環境は一層厳しくなることが予想される。
 
 これは一企業のミクロの視点で見れば、原材料費の高騰で収益が圧迫され、賃金を増やせない構図とまったく同じだ。また、「昨今、日本から産油国への自動車の輸出などが急増しているが、これは産油国が所得流入効果で実質GDP以上の所得を得て購買力を増しているということだ。逆に今の日本は実質GDPより実際の購買力は弱い」(泰松氏)。

 第5の仮説は、日本の全従業員の7割を占める中小企業を通じた労働分配率の増加は難しいというものだ。下の図のように、中小企業の労働分配率はすでに高止まりを続け、もはや上昇の余地は乏しい。これは中小企業の付加価値が低いためだが、儲からない中小企業はすでに可能なかぎり目いっぱいの賃金を払っている、と言い換えることもできる。

これには大企業批判の側面もある。連合が昨年9月に行った調査によると、原材料費が高騰した過去5年で、生産品の単価が下がったと答えた中小企業は電機、自動車の下請けがともに5割超と突出した。しかも、大企業など取引先の要請に近い水準で単価を引き下げた中小企業は自動車で28%、電機で22%に及ぶ。

 ここからうかがえるのは、原材料価格の上昇を中小企業に負担させ、大企業が利益を吸い上げる構図だ。そして、利益が集中する大企業では労働分配率はとても低い水準に押さえ込まれているから、全体として賃金は上がらない構造である。

 さてここまで読み進めて、「賃金減少」という言葉にピンとこない読者もいたことだろう。あなたが大企業の正社員ならその直感は正しい。
 
 02年の「トヨタショック」以降、大企業でベアゼロの嵐が吹き荒れた。しかし、こうした大企業の正社員賃金が日本の労働分配率低下を主導したかといえば、答えはノーだ。彼らは定期昇給で毎年給与は上がったし、「好業績はボーナスで報いる」との企業方針から業績好調企業はボーナスの満額回答も得てきた。

 実際の賃金減少、労働分配率低下の波及経路は別にある。その痛みを現実に引き受けたのは、00年前後から急増した非正規労働者たちである。最後となる六つ目の仮説は、この非正規労働者が主役だ。

 自由主義を代表する経済学者で76年にノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマンは「労働組合不要論」を展開したことでも有名だ。その骨子は「労組が組合員に対して獲得する賃上げは、主として労組の外にいる他の労働者の犠牲においてである」。「組合員」を正社員に、「他の労働者」を非正規労働者に読み替えれば、これは昨今の日本の労働市場にそっくり当てはまる。

 今回の景気拡大期の最大の特徴は、企業が既存の正社員の雇用と賃金水準を守りつつ、新たな正社員採用の代わりに低賃金の非正規労働者を一方的に増やしたことだ。00年からの7年間で、正社員は約190万人減り、パートや派遣など非正規労働者は約450万人増えた。

 この間、非正規労働者の全体に占める割合は26%から33%台に拡大、これら労働者のほとんどは年収300万円以下だ。つまり、日本の賃金減少、労働分配率低下というのは、低賃金の非正規労働者の構成比が増えたことと同義なのだ。

 こう考えると、個人消費活性化のために賃上げするなら、正社員より非正規労働者を優先するのが正論だとわかる。企業経営者は「将来不安が強い中、賃金を上げても貯蓄に回る」と主張するが、年収300万円以下の賃金底上げは確実に消費に寄与する。それで景気が活性化すれば、正社員にとってもプラスだ。

 今回の景気拡大局面を最も読み違えたのは日本銀行だろう。06年3月に量的緩和政策を解除したのは、景気回復で企業が賃金を上げると見込んだからだ。しかし、企業はその後も労務費を下げて製品価格を値下げするというデフレ型行動原理を繰り返した。その際に最大の役割を演じたのが、労働市場の規制緩和を受けた非正規労働者の活用だ。今や景気後退に転じつつある日本。非正規労働者に依存しすぎて、デフレ脱却のチャンスを逃したといえるだろう。


(私のコメント)
日本の年金や健康保険の赤字は少子化によるものよりも、正社員が減って非正規雇用が増えた事による年金や健康保険の掛け金をまともに払う人が少なくなった事による影響が大きいだろう。20歳代の人は半数以上が年金の掛け金を支払っていない。健康保険も滞納世帯は2006年には19%を越えてきた。

正社員の場合は給料から天引きだから滞納はほとんどないが、非正規雇用になって国民年金や国民健康保険を支払うのは随時になるから滞納が増えてしまう。そのために後期高齢者医療保険では年金から天引きにしましたが、天引きにしないと滞納が増えてしまうからだ。

小泉構造改革で人材派遣などの規制緩和が広がり、大企業などでは正社員から非正規雇用に切り替えが進み、年収が300万以下の非正規雇用の労働者が増えた。つまり中高年の首を切らない代わりに、新規採用をストップして派遣社員で穴埋めする事によって会社の業績を上げることが経営の主流になった。

冒頭のグラフを見れば分かるように、中小企業に比べると大企業の労働分配率が、小泉内閣が発足した2001年から激減している。それに対して中小企業は正社員から非正規雇用への切り替えが進んでいない状況が読み取れる。すでに正社員も賃金が非正規雇用並みに低くなっているのかもしれない。

表題の「給料がなぜ上がらないか」という問題で、最近では原材料価格の高騰で利益が削られて人件費が抑えられているという見方が有力ですが、大企業は下請け企業に原材料費のしわ寄せをしているようだ。ダメなら中国から輸入して取引を切られてしまうから下請け企業は受けざるを得ない。

このように中国が世界にデフレを輸出して、人件費も製品価格も抑えられてしまう状況が続いている。日本も輸出で経済を回している以上は中国に対抗できるだけの安売りをしなければならず、国内のコストは限りなく削られるようになっている。このようなことが90年代から最近まで続いているのですが、中国や中東の産油国などに富が移転して、相対的に日本が貧しくなっているのだ。

だから中国や中東産油国は経済的に豊かになり、超高層ビルが林立するようになった。日本は貿易収支などは黒字を続けているのですが、全体の経済は好調でも消費が低迷して、国民所得水準は低迷したままだ。輸出大企業は利益を上げていても国内に波及してこないでアメリカにドルのまま利益が滞留してしまっているからだ。

グローバル経済化で世界的な経済構造から分析していかないと、日本の経済も分析できなくなってきていますが、それには中国やインドや新興国などがこれからどうなるかを分析しないと日本経済の先行きも分析できない。中国やインドがこのまま高度成長して日本に追いついてくるのだろうか? 

中国やインドが高度成長すれば当然人件費などのコストも上がるはずだ。それに伴って日本の相対的な経済競争力も上がってくるはずだ。現に中国などでは人件費などを初めとして原材料費などの高騰も激しくなってきた。だからグローバル企業は中国からインドやベトナムなどに工場を移転させている。一部は工場も国内に回帰してきている。

だから日本も最悪の状況は脱してきたと言えるのでしょう。そして石油などの原材料価格の高騰はエネルギー効率のいい日本のほうが有利な面も出てきた。中国やインドはエネルギー不足で停電や物流の停滞など激しくて有利ではなくなってきたからだ。そして豊かになった中国人やインド人は食べ物や日用品なども高級品を好むようになって日本からの製品や食料の輸出も多くなるだろう。

国際的な原材料価格の高騰は人件費の安さだけでは競争できなくなり、大量生産や大量消費が出来なくなり、長持ちする高級品が好まれるようになる。安かろう悪かろうの製品では売れなくなり、これまでの中国ブームは近い内に終わりを告げるだろう。毒入りギョーザ事件がその象徴になるだろう。

中国の巨大市場に釣られて日本から20000社も企業が進出した事が、日本の人件費の抑制につながりましたが、これらの企業の一部が国内に回帰してくれば雇用状況も変わってくるだろう。この数年は新卒者の奪い合いが起きていますが、これらが雇用情勢の変化を感じさせますが、非正規雇用者の正社員化も起き始めて来た。

大企業にとっては原材料価格の高騰が一番の問題になってきていますが、となると通貨の強い国が有利となり、通貨の弱い国がインフレなどで経済競争力が弱くなるだろう。石油などの原材料は中東などに偏在しておりアメリカや中国のような通貨の安い国はガソリンなどが高騰する。日本は円が高いお陰でさほどは高くならない。

このような事は70年代にも起きましたが、日本は省エネの自動車などが売れて高度成長した。そして現在は石油が1バレル135ドルにもなって第三次石油ショックが来ている。そうなると70年代のように省エネ時代となり日本のような省エネ国が有利になる。アメリカのような大量消費国は貧血状態になり中国もエネルギー効率が最悪で石油ショックのダメージをまともに食らうだろう。

国際金融資本は次は中国だのインドだのと投資をしてきましたが、人件費の安さよりもエネルギー効率や高品質なものが出来る国に投資をシフトしてくるだろう。それはEUや日本のようなハイテク国家だ。石油も1バレル200ドル300ドルと上がっていくだろう。それで一番困っているのは輸出商品のない貧しい国であり、二番目に困るのはアメリカや中国のような大量消費国だ。

一次産品の高騰はEUや日本のようなケチケチ国家には追い風であり、より省エネを目指して日本やEUに投資が集まる時代が来るだろう。そうなれば日本の雇用情勢も変わってきて賃金も今まで抑えられてきた分だけ上がる時代が来るかもしれない。しかしグローバル時代で海外から低賃金の労働者の流入問題が出てくる。

 

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