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http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djCEN0536.html
ファニーメイとフレディマック、新規制当局による「大掃除」へ
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米政府と連邦議会が先週、住宅新法について歩み寄ったことを受け、米連邦抵当金庫(ファニーメイ)(NYSE:FNM)と米連邦住宅金融抵当金庫(フレディマック)(NYSE:FRE)は間もなく、より強力な、新たな規制当局の監督下に入るとみられる。新任の保安官の誰もがそうであるように、この新機関も街の汚れを一掃したい考えだ。
つまり、ファニーメイとフレディマックの財務基盤を強化し、住宅市場が両社を必要とする時に十分対応できるようにしておくのが狙い。現行の規制当局である米連邦住宅公社監督局(OFHEO)のジェームズ・ロックハート局長は「両社は現在、そのような状態にはほど遠い」としている。同氏は最近の講演で「両社はリスクの面で借り入れへの依存度が極めて高いため、金融システムの混乱の影響を受けやすい状況が続いている」と語った。
規制当局は、ファニーメイとフレディマックのバランスシート、とりわけ保有資産に対する自己資本の比率の強化にとりかかる。問題は両社のバランスシートが、全く掃除したことのない「アウゲイアス王の大牛舎」のようであり、この牛舎の掃除を命じられたヘラクレスに財務面・政治面での問題を一掃してもらう必要があることだ。最も厄介な3つの問題がその理由を示している。
幻の自己資本:ファニーメイとフレディマックは銀行と同様に、規制当局が設けた自己資本比率の下限を維持しているかどうか判断される。だが両社における規制対象の自己資本は、繰延税金資産などによって幻想のような数字になっている。
繰延税金資産は、将来の税金支払いで相殺される可能性があるものの、事実上の損失。両社が即座に現金を用意できれば、繰延税金資産を使う必要はあまりない。
銀行は、繰延税金資産の一部だけを、規制対象の自己資本に算入している。ファニーメイとフレディマックでは繰延税金資産が膨らんでいるため、両社でも一部の算入にとどめるべきだ。1−3月期末時点でのファニーメイの繰延税金資産は、株主資本の45%に相当する178億ドルだった。フレディマックでは、株主資本をやや上回る166億ドルだった。
繰延税金資産は通常、約20年間有効。この効果を発揮させるには、ファニーメイは約500億ドル、フレディマックは約470億ドルの利益を上げる必要がある。2003−07年のファニーメイの利益は197億ドル、フレディマックは74億ドルだった。
繰延税金資産を回収できない見通し、つまり利益を上げることができない見通しになった場合、企業は通常、繰延税金資産の一部を取り崩し費用計上する。だがファニーメイとフレディマックはまだそうしていない。
フレディマックの広報担当者は「現行の規制下での事業運営に、われわれは非常に満足している」と語った。フレディマックの広報担当者はコメントを避けた。
失われた損失:会計基準では、繰延税金資産の取り崩しのために実際に損失を計上する必要はないことになっている。この損失は未実現にしておき、バランスシート上で説明すればよい。だが避けられない損失の計上を遅らせることはできず、最終的に未実現損失が利益を押し下げることになる。
1−3月期末時点で、ファニーメイの債券関連の未実現損失93億ドルのうち約54億ドルは、12カ月以上前に発生したものだった。フレディマックでは132億ドル。新たな規制当局は両社に、こうした未実現損失のうち少なくとも一部を損失として計上するよう迫るとみられる。この経過期間の長さは、一時的な損失ではないことを示している。
費用計上すれば利益が押し下げられ、規制対象の自己資本も減少する。米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(NYSE:AIG)など幾つかの金融会社はすでに、そうした損失の計上を始めている。
不良債権:行動を起こす必要があるもう1つの分野は、ファニーメイとフレディマックが積む貸倒引当金。これは、デフォルト(債務不履行)による損失からバランスシートを守る緩衝材の役割を果たす。同時に、規制当局にとってはデフォルト率が上昇すると大きな懸念材料となる。
ファニーメイとフレディマックでは延滞が急増している。だが両社とも、延滞の急増に見合うペースで貸倒引当金を積み増しているようには見受けられない。1−3月期末時点でフレディマックが抱えていた不良債権は228億ドルと、07年末時点の185億ドルから増加した。同社の貸倒引当金は39億ドルと、1−3月期の不良債権額の17.1%。アナリストは、ファニーメイの貸倒引当金は同四半期の不良債権額の約16%と見積もっている。
アナリストによると、標準的な住宅ローンの返済が遅延した場合、貸し手はローン残高の20−40%を引当金として積み増す必要がある。ファニーメイとフレディマックの貸倒引当金の水準は明らかにこれを下回っており、新たな規制当局は、信用市場の問題への備えをもっと厚くするよう求めるはずだ。
新当局は、こうした変更を迫ることにより、両社の財務基盤強化を図る。これは少なくとも、住宅市場危機を脱する1つの明るい材料になるとみられる。
(5月27日付のHeard On The Streetより)
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