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海外に財産を溜め込む消費を切り詰める日本経済(KlugView)
2008/05/23 (金) 21:21
財務省が23日に発表した2007年末時点の日本の対外純資産残高は、前年比16.3%増の250兆2210億円となり、1996年の現行統計開始以来の過去最高を更新しました。
対外純資産残高とは、日本にある企業や家計が所有権を持つ財産のうち海外に置かれている財産(対外資産)と、海外から借りている借金(対外負債)の差額です。対外純資産残高がプラスであることは、日本は海外から借りている財産よりも、日本が保有する海外にある財産の方が大きいことを意味します。日本の対外純資産残高が250兆円あまりということは、簡単に考えれば、日本という国は、諸外国に250兆円あまりの財産を置いていることといえます。
日本の対外資産は、前の年(2006年)から9.4%増え、610.5兆円となっています。円高の影響で8.3兆円目減りしましたが、外国債券への証券投資や、企業買収といった直接投資などによって58.9兆円も増加したことで、対外資産は600兆円を超えました。一方、日本の対外負債は、5.0%増え、360.2兆円となっています。日本以外の地域に住む方々(非居住者)が保有する日本株式の株価下落で、負債は12.3兆円減り、為替変動による評価替えで2.9兆円減りましたが、非居住者が日本の資産を32.4兆円も取得したため、対外負債も前年より増えています。
財務省によると、IMF公表ベースでは、日本の対外純資産は17年連続で世界最高です。他地域をみると、ドイツが107.5兆円、中国が78.8兆円(06年末時点)が純債権国として名を連ねる一方で、米国は302兆円(06年末時点)の純債務国となっています。
日本では一般的に、日本の個人消費が盛り上がらず、いつまでも明るい雰囲気ならない一方で、米国では個人消費が持続的に拡大しているイメージがあります。しかし、今回の財務省の発表をみると、日本が世界一の規模で海外に財産を置いている一方で、米国はものすごい規模で海外に借金を作っていることが分かります。
日本の個人投資家の多くは、長きに渡る低金利政策に愛想を尽かし、海外への投資を拡大し続けています。言い換えれば、日本全体が海外に財産を溜め込み、消費を増やさないのは、個人投資家のこうした動きの表れかもしれません。
消費を切り詰め財産を作ることが良いのか、借金をしてでも消費を拡大させることが良いのかは、個々人にとっては価値観の問題のように思えます。しかし国全体で考えた場合、いくら財産を増やしても、財産を使わずに暮らし向きが良くならないのであれば、国全体の経済水準が切り下がる可能性が高まります。日本の個人投資家が海外投資にばかり目を向けずに、消費を拡大させるように誘導させることが、もしかしたら日本の経済政策の目指すべき方向性なのかもしれません。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
2007年末時点の日本の対外純資産残高はどれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
250兆2210億円
(前年比16.3%増)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/05/23/002863.php