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歳出拡大を叫ぶ方々の視野の狭さ（KlugView）
2008/05/22 (木) 10:05
福田首相は、５月２０日の経済財政諮問会議（諮問会議）にて、基礎的財政収支（プライマリーバランス）を２０１１年度に黒字化するという目標を「確実に達成することとしたい」と述べ、財政改革を続ける意向を示しました。
プライマリーバランスとは、国の財政状況を示す指標で、国債などの借金を除いた歳入と、過去の借金の元利払いを除いた歳出との差額を意味します。プライマリーバランスが黒字になれば、新たな借金は過去の借金の返済に充てることが可能になるといえるので、政府は「骨太方針０６」にて、プライマリーバランスの黒字化を財政改革の目標の１つとして設定しています。
「骨太方針０６」では、２０１１年度でのプライマリーバランスの黒字化を達成するために、公共事業を前年度から１〜３％減らすことや、社会保障費の自然増を年間２２００億円に抑制するといった歳出削減目標も設定しています。福田首相が、２０１１年度にプライマリーバランスの黒字化するという目標を続けると表明することは、自然に考えれば、「骨太方針０６」で設定された歳出削減目標も続けられることを意味するといえます。
しかし、福田首相の考えとは裏腹に最近の与党は、歳出を削減するどころか、むしろ歳出を増やそうと考える傾向を強めています。最近話題となっている「後期高齢者医療制度」の見直しについても、与党内では現在７割軽減対象となっている人を全員９割とする案や、５割や２割軽減の対象者も含めて全体的に軽減率を引き上げる案が出ているようです。「後期高齢者医療制度」の趣旨が拡大を続ける医療費の抑制を狙ったものですが、国民からの批判を回避すべく負担軽減率を引き上げることは、制度の狙いを無視する行為に思えます。
歳出だけでなく歳入（財政での収入）も、先行きの不透明感が高まっています。５月２１日の日本経済新聞は、昨年度（２００７年度）の国の税収が５１〜５２兆円にとどまり、２年連続で予算（５２．６兆円）を割り込む見通しであると報じています。昨年度の名目成長率が政府見通しに届かない結果となるなど、日本経済の拡大ペースは政府が想定していたほど強くなく、結果として税収も予算を下振れしたことになります。
「後期高齢者医療制度」の騒動を見ると、なぜ政府は、このような制度を続けようとしているのか？と思われる方も多いかもしれません。しかし、財政赤字はすでに巨額になっており、財政の収入である税収も想定以上に伸び悩んでいるのが現実です。今の日本は、視野を特定分野に絞ってしまうことで、全体が悪い方向に向かう図式の典型例のように思えます。
村田雅志（むらた・まさし）
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
プライマリーバランスとは何？
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
国の財政状況を示す指標。
国債などの借金を除いた歳入と、
過去の借金の元利払いを除いた歳出との差額を意味する。
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/05/22/002845.php
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