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http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2008052102013034.html
2008年5月21日 朝刊
日本マクドナルドが二十日、従来の方針から一転、店長に残業代を出すと決めたことで、実態を伴わない「名ばかり管理職」による残業代不払いの抜け道は是正される流れができそうだ。しかし、同社は残業時間を徹底して減らす考えで、現場からは「サービス残業が逆に増加しかねない」(日本マクドナルドユニオン)と危ぶむ声が出ている。 (松井学)
記者会見した原田泳幸社長は、残業代支払いを決めた理由について「裁判とは関係なく検討してきたことだ」と説明した。
東京地裁が今年一月出した判決では、日本マクドナルドに「店長は労働基準法の管理監督者(管理職)に当たらない」として未払い残業代などを支払うよう命じた。同社は控訴中だが、今回、店長には管理監督者としての職務権限や労働時間の自由な裁量がないことを初めて認めたことで、幅広い業界で横行してきた人件費節約のための「名ばかり管理職」には歯止めをかける影響があるとみられる。
同社の長時間労働問題は、三月の参院予算委員会でも取り上げられた。これに対して、原田社長は「残業時間が少ない店舗ほど営業成績もいい」と強調。四月は全国の店長約二千人の平均残業時間が一八・三時間だったと説明し、「残業ゼロ」を目標に掲げる。
現場の実情をユニオン側は「人員が増えない中で本当に残業を短縮できるか疑わしい。会社からは正確に残業時間を申告しろと言われるが、従業員は圧力を感じている」と指摘。新たなサービス残業の増加に懸念を表明している。