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四川大地震による今後の世界経済、相場動向に関する考察 5月20日
5月12日四川省で発生した大地震は、様々な意味で変化と節目を与えた。
一つは北京オリンオピックの聖火リレーと、チベット問題により、世界中で盛り上がった嫌中気運が消し去ってしまったことだ。胡錦涛主席の訪日も江沢民ほどの無礼も無かった為、長野の騒乱も毒入り餃子事件などもすべて過去にしてしまった。地震へ募金を呼びかけるTVメディアだが、はたしてどれほどの募金は集まるのであろうか?(私は現時点では募金する気持ちにはならない)。
もう一つ、過去の問題としてしまいそうなのが、サブプライム問題。もっともサブプライム問題は片付いたが、今はプライム問題が発生中だとする意見もあるが、米国に関しては危機は克服されたかのような空気が漂いだした。
時価開示困難な高リスク資産、米証券4社で31兆円
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【ニューヨーク=松浦肇】ゴールドマン・サックスなど米大手証券4社が2月末(一部は3月末)時点で、時価開示が難しい資産を合計2994億ドル(約31兆円)保有していることが分かった。市場で買い手が付かない住宅ローン担保証券など「レベル3」と呼ばれる資産で、保有額は3カ月で28%増えた。こうした資産は将来の値下がりリスクが見込まれ、各社は信用収縮に伴う追加損失の計上を迫られる可能性がある。
「レベル3」は2月末以降の四半期決算から開示が義務づけられた。市場取引が活発な「レベル1」、市場価格が推計できる「レベル2」の時価評価に加え、独自モデルに基づいた「レベル3」の帳簿価格を算出。大手証券がこのほど米証券取引委員会(SEC)に提出した開示額が判明した。今後は銀行も開示する予定で、金融機関全体の「レベル3」はさらに膨らむ可能性がある。(07:03)
引用終わり−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−―――――――――――
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080513AT2M1200S12052008.html
以上 5月13日の日経新聞記事では4社で31兆円が、16日の日経の記事では欧米23社で29兆円と大幅に数値が減っている。
引用−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
サブプライム相次ぐ巨額損失 欧米金融機関、29兆円に急拡大
【ロンドン=吉田ありさ】米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した市場の混乱に関連して欧米金融機関が計上する損失額が一段と拡大している。昨年7月以降の発表べースで計2800億ドル(29兆円)に達した。今年1-3月期以降は欧州勢の巨額計上が目立つ。増資だけでなく資産売却を進めて財務の健全性を確保する動きが広がっている。
15日までに出そろった欧米の主要金融機関23杜の今年1―3月期決算や予想をみると、サブプライム関連損失額は計1165億ドル。年明け以降は米国勢より欧州勢で巨額損失を計上するところが多く、欧州12社の損失額は、537億ドルと、昨年10−12月期の額も上回った。信用収縮の長期化に伴って米住宅市場だけではなく証券化商品など幅広い金融取引に影響が及んできたためだ。
大手英銀バークレイズが15日に発表した1−3月期の関連損失は10億ポンドで、純利益は前年同期比大幅減益になる。フランス銀大手クレディ・アグリコルが同日発表した1−3月期決算は投資銀行部門の最終損失が7億9500万ユーロと二・四半期連続の赤字で、全体の純利益は前年同期比66.4%減少した。
ドイツ銀行は昨年10-12月の関連損失が5000万ユーロにとどまったが、1-3月期は一転して企業買収融資や証券化業務で27億ユーロの損失を計上。「数週間で市場環境が急に悪化した」という。
欧州大手保険スイス・リーは企業倒産リスクを売買する取引で八億スイスフラン超の損失を計上した。
巨額の関連損失計上の結果、欧州大陸勢の1-3月期決算は9杜中4社が最終赤字になった。欧米金融機関のサブプライム関連損夫を巡っては、4月18日時点での米国勢中心の集計では今年三月末までの損失額は約2320億ドル(約24兆円)だった。その後、欧州勢大手や米保険AIGなどが相次ぎ追加損失を発表した。
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日経新聞は統一見解というものが無いのか?大塚商将司著「日経新聞の黒い霧」を読む限りの日経新聞の内部体制では、社としての一貫性はあるはずもない。またこの日経新聞のいい加減さを文句言っているブロガーもそう多くは無いだろう。
日経新聞のことはどうでもいいが、要するにまだまだ、米国の損失は固まっていないことだけは明らかのようだ。米国の1−3月期は10−12月期と比べ損失額の増加率は少ないのに比べ欧州の金融機関の損失が10−12月期より1−3月大きく増加している。このことは、欧州でのサブプライム損失が増える可能性を秘めているとみるべきであろう。
SEC(金融調査委員会)幹部らを集めて、ポールソン財務長官が証券会社の規制強化を提案して、金融機関への規制・監督体制を検証する目的で公聴会を米議会で開いた。バーナンキFRB議長は、米国が、日本でバブル崩壊後に金融機関で損失を不透明なまま隠しが続けられた結果、「失われた10年」の二の舞にならないよう出来るだけ速やかに米国では損失を公表させている為である。一方欧州金融機関は、日本の失敗に対しての見識は浅く、米国ほで、情報の透明性に欠ける可能性が高い。
損失隠しは、何のメリットでもなくリスクである認識が高まった為、米株式の大幅下落リスクは回避されるであろう。しかし、住宅不振などが景気の重しとなり、そう簡単に業績は回復するものではない。米国市場はPERも13倍台で、10年ぶりの絶好の投資チャンスと叫ぶ著名な投資家もいるが、脳天気な方だろう。
ブッシュのサウジ訪問でも原油先物相場の上昇に歯止めがかからず、企業収益の悪化、ガソリン価格の上昇による個人の消費抑制により、金利政策を変更する可能性も残されている。利上げとなれば、年後半に住宅価格の下げ止まりを予想した米国株式の反転も限定的となってしまうことがあり得る。
ユーロ圏では景気に減速感が出始めている。パスタが贅沢品になり、日本人の物価感覚では、いくらユーロ高とはいえ、物価上昇は尋常ではなく、賃上げ要求が強まり、最近は賃金上昇が加速している。そして、今後欧州金融機関の立ち直りが遅ければ、ユーロの下落要因となる。
原油の高騰でドルが売られユーロが買われてきたが、ドル売りの材料として、低金利で行き場のなくなった国際投機資金がユーロへも行き難くなり、原油穀物を中心とした商品市況(コモディティ)に流れて上げられる。ただ、目先は上限に来ていると私は判断していますが、調整したとしても、まだ上昇トレンドは終わってはいない。原油に関しては2年後100ドル以下までで抑制されると考えています。
四川省を震源とする大地震は、インフレ加速をする可能性がある。地震発生直前に発表された、4月の消費者物価指数(CPl)は食品価格が主導する形で前年同月比8.5%上昇と3ヵ月連続8%台であった。特に、昨年夏から農村部のCP1上昇率上がり、都市と農村の経済格差間拡大してなお、農村部での物価の上昇の不満が充満し、地震を契機に地方では暴動が頻発しても不思議がないような状況となってきている。
中国人民銀行は地震の発生した後も「中国の金融政策はインフレ抑制に一段と重点を置く」と発表しているが、四川省は亜鉛、マンガン、レアメタル(希少金属)の産地である為、レアメタルの価格を高騰させ、供給にも支障が出そうである。
四川省大地震の被害は、三峡ダムに及んでいるとのことで、水力発電によるエネルギー供給が不安となる、そこで、原子力発電所や火力発電所のインフラ投資も加速され、また、道路、建物、ダムの補修に大量のセメント、鉄鋼、鉄筋等の素材需要、建機需要が発生してしまった。オリンピックと地震による復興の両方を同時進行していかなければならない中国では世界から資源を獲得しなくてはならなくなった。中国地震の復興のための燃料・資材の確保は中国一国だけでは不可能である。世界市場から無理な調達をしなければならず、燃料・資材は急騰するであろうが、その復興需要は世界的なものになる可能性すらある。
資源の高値時代は構造的長期化する可能性も否定できない。為替市場でも高金利通貨より資源国通貨である豪州、カナダ、ロシア、ブラジルなどの通貨が注目されるだろう。特に中国の地震の復興には資源国である豪州ドルは要注目だ。親中派の中国語も喋れるラット首相率いるオーストラリアは特に中国の資金が集中して豪州の高成長も期待できる。
日本の株価も意外に堅調だ。Jパワーの問題で、外人が投資を控えると読んだ私の考えは間違っているようだ。外国人の日本株売り越しは杞憂で終わるかもしれない。
外人は買い越し続けている。Jパワーも欲しいから、日本政府の買収中止勧告を納得できないでいる。TCIは文句を言い、抵抗しているのだ。「何で気づかなかったのだろう?」今年に入って3月までに4兆円売り越し、3月にかけて再び「ジャパンパッシング」論が言われて外国人が日本株を売りこすと騒ぎ立てていたのがうそのように、4月8000億円買い越しに転じ現状も買い越し中である。昨年外国人投資家は年前半で10兆円買い越し、年後半5兆円売り越しているため、予断をゆるさないとは思うが、流れは変化している。
土地バブルの崩壊で本能的に取り組まなかったサブプライムローン問題関連の商品にかかわらなかったことも外国人買いの要因でもある。
2003年底を打った日本株を安く買った欧米系の機関投資家ヘッジファンドは一連の下落でたまらず、含み益が大きい日本株を3月半ばまで売り越したのに対して、3月後半以降の買いは新興国・中東産油国を中心とする政府系ファンド勢の長期投資が中心となっているとの噂だ。
外国人投資家は主に、日本のビックネームで且つ高配当・高収益・高利回りの優良株の押し目をかっさらって行った。NTT、ソニー、富士通の急騰は個人信用の買いではなく、腰の入った現物買いを中心にでなくては、ボリュームといい、買いの主体は、政府系ファンドの可能性が高い。
円高ドル安が進行し、優良輸出企業の2009年3月の想定為替レートはおよそ、1ドル=100円前後に設定されている。2009年3月期の大幅減益要因ではあるが、ところが、意外に来年3月には1ドル=110円程度の円安・ドル高になると2009年3月期に大幅な増益に転ずる企業が続出する可能性がある。今回は2009年3月期がそうなるとみて日本株を買っている。もし、1ドル=110円程度の円安・ドル高となれば日本企業はとんでもない増益となる。
世界は景気減速+インフレ=スタグフレーションから、景気回復→インフレという姿に変わる可能性がある。年後半米国の住宅価格の下落の底打ちがあれば、米国では、年後半から遅くても来春には利上→米国景気拡大→ドル高→株高となる。
日本も、中国地震→米国の景気回復→中国への輸出拡大→景気復調→株高という脳天気なシナリオも無くはない。チャートでも15000円が見えてはきた。
但し、消費税の増税論議が最大の不安要素で、消費税の税率アップで、すべては水の泡になってしまうことも、しっかり頭に入れておく必要があります。
【Ddogのプログレッシブな日々】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/8921100.html