★阿修羅♪ > 国家破産56 > 482.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
インフレ率が低下するとは思えない現在の中国(KlugView)
2008/05/12 (月) 17:33
中国国家統計局が発表した4月の消費者物価指数は、前の年に比べ8.5%の上昇となりました。伸び率は、11年9ヶ月ぶりの伸びとなった今年2月の伸び(8.7%)から鈍化しましたが、依然として高水準です。4月のCPIを品目別にみると、食品が22.1%も上昇し、CPI全体を押し上げています。
しかしCPIを押し上げている食品価格が、5月になって下落していることもあり、中国のCPIは、今後伸び率が低下するとの見方もあるようです。たしかに、食品を除くCPIの伸び率は、4月でも1.8%に過ぎませんので、食品価格が下落すれば、CPI全体の伸びも落ちるように思えます。
ただ、個人的には、食品価格が仮に下落したとしても、それによって中国のCPIの伸びが低下するとは思えません。食品価格以外にもCPIを押し上げる要因は、数多く存在するからです。
CPIの伸びが低下しそうに思えない理由の1つは、CPIに先んじて動く傾向にある生産者物価指数(PPI)の伸びが高いことです。4月の中国のPPIは、前の年に比べ8.1%の上昇と、3年半ぶりの高い水準です。仮に食品価格が下落しても、生産者段階の物価であるPPIの伸びが高いままであるなら、CPIだけが下がるのは、あまり自然とは思えません。
物価との連動性が高いといわれる貨幣の流通量(マネーサプライ)の伸びも高止まりしていることも気になります。3月の中国のマネーサプライ(M2)は、前の年に比べ16.3%拡大しており、4月は3月よりも伸びが加速する見通しです。人民元レートの上昇に歯止めをかけようと、中国当局が為替介入を続けている以上、マネーサプライの伸びが大きく低下することは考えにくく、結果として物価の伸びが低下することも期待できません。
そもそも、食品価格が本当に下落する、と言い切れません。商品市況をみると、小麦やコーンなどの穀物価格は世界的に上昇しており、すでに農産物輸入国となった中国も、この影響から逃れることはできません。人民元の上昇ペースが緩やかなこともあり、元建てでみた輸入穀物価格の上昇幅が小さくなる可能性は低いでしょう。
中国政府は、今年のインフレ率の目標としてCPIの伸び率を4.8%と設定していますが、1月から4月にかけてのCPIの伸び率が8%を超えていることもあり、目標の達成は非常に難しい状況です。このためか、市場関係者の多くは、中国政府・当局が、インフレ目標の達成のために、金融をより強力に引き締めるだろうとの見方を強めています。しかし、ここまでCPIの伸びが高まった以上、中国政府は、インフレ目標を修正し、金融引き締めを強化しない可能性もあります。インフレが続くとしても、必ずしも金融引き締めが続くわけではないことにも注意を払う必要があるのかもしれません。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
4月の中国の消費者物価指数の伸びはどれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
前の年に比べ(前年同月比)8.5%の上昇
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/05/12/002755.php