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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu167.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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FRB、ECBはバランスシートが許す限り、ヘッジファンドへ資金を供給し、
金融機関のバランスシートから不良債権を切り離す作戦を続行する。
2008年5月11日 日曜日
◆先送りされる欧米の不良債権とその裏で仕組まれている新たな投資ブーム 橋前勇悟
http://www.teamrenzan.com/archives/readers/hashimae/sakiokuri.html
米国発の信用収縮が消費減退を招き、実体経済は深刻な状況下にあります。しかし、株式市場は厳しい世相とは無関係かのように上昇を続けています(今年3月下旬から安定的に上昇中)
実態はそれほど悪くないのでしょうか? 実体経済はこれから回復に向かうと言うのでしょうか?
いや──実体経済はこれから更に厳しさを増してゆくと思います。
また、前回のコラムでも触れたように米国の金融機関は、不良債権を「レベル3債券」と言う種類に分類する事で時価評価を回避していると考えられます。実体隠しを政府ぐるみで公認している節があります。
不良債権の規模を隠蔽する(言い方は悪いのですが)方法には、別の方法もあります。評価損著しい債券と国債を交換すると言う方法です。具体的には、金融機関が抱えている不良債権と中央銀行が保有する国債を額面に近い価格で交換すると言うものです。最近では、「ターム物証券貸与ファシリティー(TSLF)」と言う仕組みで受け入れる債券の種類・規模を拡大しています。
こうした不良債権隠しのアプローチに対して、欧州の一部──具体的にはドイツ側からは批判の声が上がっています。
ちなみに、一連の不良債権隠しに必要な資金を賄っているのが中央銀行のバランスシートです。踏み込んで言えば、中央銀行が金融機関が抱える不良債権を引き取って抱えると言う形になります。ゆえに、中央銀行のバランスシート規模が引き取り可能限度額となります。
中央銀行のバランスシートの概算規模ですが、FRBは約7000億ドル、ECBは約8300億ユーロ、イングランド銀行は約500億ポンド、日銀は約150兆円──多少の前後はあるかもしれませんが、このような規模であると推測されます。
バランスシートに抱える国債を弾薬として、不良債権を打ち落とす訳ですが、イングランド銀行は既に500億ポンドの国債と不良債権を交換しております。早くも弾薬を使い果たした格好になっていると考えられます。
そのためでしょうか、直近のドル資金供給のプログラムにイングランド銀行は参加しない方針を表明しています。バランスシートに余裕が残っていない以上、身動きが取れないのですから、必然と言えましょう。
FRBとECBは、ドル資金供給の勢いを強めています。FRBがドル資金供給をする(≒不良債権の買取資金の供給)のは分かります。しかし、ECBまで一緒になってかなりの規模のドル資金供給をするのはなぜでしょうか?
実は、欧州金融機関は大量の「ドル建て資産」を保有しているのです。そのため、ユーロ・ドルでドル安が進むと、欧州金融機関の抱える評価損が膨れ上がってしまうのです。現在、ユーロにはドル離れした資産が流れ込んでいますので、評価損増加に拍車が掛かっています。ECB側が、「過度な為替相場の変動は望まない」と何度も繰り返しているのは、こうした背景(欧州金融機関が大量のドル資産を抱えている)を踏まえたものと考えられるのです。
欧州金融機関としては、「過度なドル安を食い止めつつ、不良債権と化したドル資産をバランスシートから切り離す」事が重要になってきます(日本の土地バブルの様に、住宅・不動産価格の下落が長期に渡ると考えられる=債券の価値下落が止まらないので、不良債権化したドル資産は早めに切り離すのが賢明)。
ECBがFRBと歩調を合わせてドル資金供給をする事も、理にかなった行動と言えましょう。
中央銀行や大手金融機関ですら、信用収縮で四苦八苦しているのですから、当然貸し渋りが横行し、ヘッジファンドは次々と倒産に追い込まれる──日本の土地バブルの事例を振り返ると、そう考えるのが自然かもしれません。ところが、実際にはヘッジファンドへの資金流入が止まる様子はなさそうです。
散々な成績にも関わらず資金供給を引き続き受けられるヘッジファンド──どうやら、中央銀行や金融機関の別働隊として活躍を期待されているようなのです。
具体的には、「金融機関の増資引き受け」「不良債権の買取」の2点を期待されている模様です。
「金融機関の増資引き受け」ですが、国際的な金融活動をする銀行には8%の自己資本規制が課せられています。評価損失が大きくなるほど、自己資本を増強せねばなりません。
昨年末にはアブダビやシンガポール、中国の政府系ファンドが出資に応じてくれたのですが、最近はシビアなスタンスになっています(出資したものの、大損をしたのですから当然です)。
増資の引き受け先を他に見つけなければ、自己資本比率を維持できなくなってしまいます。そこで白羽の矢を立てられたのが、ヘッジファンドやプライベート・エクイティです。
FRB・ECBから供給された資金は、主要金融機関を経由して、ヘッジファンドやプライベート・エクイティに貸し出されます。軍資金を受け取ったヘッジファンドやプライベート・エクイティは、金融機関の増資を引き受けます。これにより、金融機関は無事に資本調達する事ができる訳です。
更に、ヘッジファンドやプライベート・エクイティは、金融機関が保有する不良債権の買取もします。例えばシティグループの場合、買い手側に低金利で資金を貸し出しをしてまで、不良債権を引き取ってもらっているのです。
危険な貸し出しをしてまでも、不良債権をバランスシートから切り離す必要があったのでしょう。今後、シティグループのようなケースが増えるかもしれません。と言うのもヘッジファンド側はキャッシュポジションを増やしており(=株や債券を換金し、資金量を確保している)、その目的がディストレスト資産(≒不良債権)の買い集めにあるらしいのです。今回のシティグループのケースの様に、評価損著しい不良債権を買い取るチャンスを虎視眈々と狙っていると考えられます。
実は、ヘッジファンドがディストレスト資産・債券を狙う動きは、昨年のサブプライム問題表面化時(2007年7月下旬以降)から活発になっていました。
上記ニュースで「来年の8月ごろから多くの売りが現れるだろう」と述べられていますが、これは金融機関が溜め込んだ不良債権が2008年8月頃から放出され始める事を指しているものと考えられます。今年の第3四半期決算発表時期には、銀行のバランスシート上に多額の評価損が(今まで以上の規模)計上される可能性があります。
今後訪れるであろう「ディストレスト資産ブーム」ですが、信用収縮を解決する希望の星として注目を集めています。不良債権の引き取り手が現れる事で、今まで値が付かなかった紙くず債券に値が付くようになるわけです。保有資産が無価値になると言う最悪の事態を回避すべく、不良債権を売却する動きは確実に高まってゆく事でしょう。
ヘッジファンド業界では、今までの「高レバレッジ型ファンド」が退場させられ、入れ替わる形で「ディストレスト資産運用型ファンド」が台頭するものと考えられます。
「高レバレッジ型ファンド」は、アメリカの住宅不動産バブルに便乗して、相当高い倍率を掛けて(高レバレッジ)運用していた為、追証をかけられたり解約請求が相次ぐなどして衰退しつつあります。
その一方で、評価損失が著しい債券を買い集めて、高く売り抜けようとする「ディストレスト資産運用型ファンド」が資金を集め、動きを活発化させているのです。
時価評価会計を中止したとしても、こうしたヘッジファンド業界の動きを見ることで、金融機関が保有している債券の価値がどれほど落ちているのか、うかがい知る事ができます。
ディストレスト資産ブーム到来を見越してか、中東勢もそろりそろりと動き出した模様です。バーレーンの政府系ファンドが、欧米の金融機関から不良債権を買い集めるべく、準備を進めているとのニュースが報じられました。
金融市場におけるブームが「高レバレッジ型」から「ディストレスト投資型」へ変化しつつありますが、これはどういった意味をもつのでしょうか?
「高レバレッジ型」は、まさにバブル市場を体現する運用スタイルと言えるでしょう。上昇し続ける事を大前提として、効率の運用倍率を掛けるので利益も何十倍になります。その一方で損失も何十倍です。住宅不動産市場が下落傾向に転じてからは目も当てられない状況となりました。
「ディストレスト投資型」では、不良債権を格安で買い集め、加工して再販すると言う運用スタイルになります。その加工ですが、社債を買い占めるなどして主導権を握り、再建計画を実施──バランスシートが改善された時点で売り抜ける、と言うやり方になるのではないでしょうか(今まであった欧米流再建ビジネスを踏まえると)。
恐らく、ひたすら人員削減を繰り返して人件費を削除し、コストを徹底的に削除してバランスシートを改善させるのでしょう(手っ取り早いですから)
ただし、その帰結としてリストラされた社員が社会に溢れかえりますので、失業率は極めて深刻な水準に突入するかもしれません。短期的にバランスシートを改善する事が出来ても、経済活動は著しく縮退し(膨大な失業者で溢れる為)、より深刻な悪循環に突入する可能性があります。
首尾よく「ディストレスト投資」ブームに火が付いたとしても、その後に残るのは疲弊しきった経済──まるで焼畑農業で周辺全ての森を焼き尽くした後の如き状況になるやもしれません。
FRB、ECBはバランスシートが許す限り、ヘッジファンドへ資金を供給し、金融機関のバランスシートから不良債権を切り離す作戦を続行するでしょう。
FRB、ECBのバランスシートを合わせると、200兆円弱の規模があると推測されます。この規模までは不良資産を吸収できると予想しても良いかもしれません(ただし、バランスシートを使い果たすと、中央銀行自体が身動き取れなくなりますが......)
FRBやECBでも「これ以上の不良債権回収は無理!」と言う段階が近づくと、金融機関同士が合併吸収を繰り返し、ウルトラバンクが誕生する可能性があります。「あまりにも規模と影響が大きすぎて潰せない」銀行に変身してしまう訳です。もし、欧米の金融機関の間で合併吸収の話が本格化して来たら、中央銀行による不良債権処理の限界が見えてきたと言えるかもしれません(実際のところ、ベアスターンズがJPモルガンに吸収され、カントリーワイドはバンカメに吸収されました。今後、救済合併の動きには注意を払っておくべきでしょう)
FRB、ECBも手段を使い果たし(資金供給が不可能になる)、ウルトラバンクが誕生して潰すに潰せない状況になると、いよいよ「公的資金注入」の段階に入るかもしれません。
まとめると、以下のようなプロセスをたどるのではないかと考えられます。
(1)時価会計の停止で時間稼ぎ
(2)中央銀行で不良債権を引き取る
(3)ヘッジファンドに資金を供給し、銀行の不良債権を引き取らせる
(4)ディストレスト投資ブームに火をつけ、一気に不良債権を銀行のバランスシートから切り離す
(5)不良債権に改修・改善を施し、高値で売りさばく
欧米の金融機関が時価会計を適用したバランスシートを発表すれば、一夜にして金融システムが崩壊する「ハードランディング」になりかねません。そこで、「ハードランディング」を回避すべく損失表面化を先送り。 時間を稼ぐために時価会計を中止したり、不良債権を中央銀行で引き取るなどの対症療法に奔走。その間にも、「ディストレスト投資型」のヘッジファンドを資金援助し、「ディストレスト投資」ブームに火をつけるべく下準備を進める──といった流れではないでしょうか。
ただし、ディストレスト投資ブームと言っても焼き畑農業の様に一過性のものでしかありません。そのブームの後では、企業の再建・リストラの嵐が吹き荒れ(人員削減などのリストラを通して、買い占めた企業などのバランスシートを一時的に改善し、資産価格を高めると考えられる)、その結果として途轍もない規模の失業者が社会に溢れ、消費はもはや見る影も無いほどに縮小している事でしょう。 そこから先、新たな需要や消費を生み出さない限り、金融テクニック的なアプローチでは問題を解決出来なくなる事でしょう。
もし仮に、米国が新たな中東戦争と言う大事業に打って出るとすれば、ディストレスト投資ブームの後──可能性として、2?3年後かもしれません。少なくともその頃には、打てる手を尽くし、その結果は明らかになっている事でしょう(=これまでの世界経済を支えていた需要・消費は消滅したと言う結果の事)。
(私のコメント)
北京オリンピックの聖火リレーから胡錦濤の来日が重なって、しばらく国際金融問題から遠ざかっていましたが、ポールソン財務長官などはヤマは過ぎたと発言している。本当にそうなのだろうか? 日本の90年代も大蔵大臣は何度も同じような事を言っていた。景気が回復すれば銀行の不良債権問題は片付くと思っていたから、問題は先送りされてきた。
しかし60年に一度といわれるようなバブルの崩壊の後は20年くらいは景気が低迷するのは覚悟すべきだったのだろう。それとは別に大蔵省と日銀の頑迷さが、日本の長期にわたるデフレを定着させてしまった。
「株式日記」では公的資金で銀行の不良債権を買えとか、日銀が土地や株を買えと主張してきた。しかし欧米の財務省や中央銀行はそれに近い政策を行なっている。日銀は馬鹿正直だから数兆円ほどインデックスの形で株を買ったらしいが、FRBはヘッジファンドを通して金融機関の不良債権を買っているようだ。
ニューヨーク株式が金融危機にもかかわらず堅調なのは、中央銀行から資金供給されたヘッジファンドが株を買っているのではないかと思う。日銀のように直接株をインデックス買いをするよりも、株の専門家がそろったヘッジファンドにやらせたほうがはるかに効率的だ。しかし日本にはアメリカのようなヘッジファンドがないからそれが出来ない。
アメリカや日本などの株式市場は巨大だから、中央銀行が介入したところで株を上げていくことは難しい。しかし上げたり下げたりを繰り返すような均衡状態を作る事は、株式のプロならば出来るのではないだろうか。アメリカの株式は2000年のITバブルの崩壊後や9・11テロの後や今回など救国ファンドが出動して株の暴落を防いでいるのではないだろうか?
アメリカの財務省やFRBは時価会計を停止させたり、資金供給して不良債権と国債との交換で金融機関の破綻を防いでいますが、このような機動的なことは大蔵省や日銀はしてこなかった。むしろ銀行の数が多すぎると速水日銀総裁は言って銀行を潰す政策を行なった。このために銀行は過剰防衛的になり貸し渋りや貸しはがしが横行した。
いくら日銀が銀行に資金供給したところで、銀行は自己防衛の為に国債しか買わない。アメリカのようにリスクテイカーであるヘッジファンドに資金供給すれば、彼らは果敢に株を買うし、不良債権を買い取って新たなる商売をするだろう。日本にはそのようなヘッジファンドが無いのが痛い。
日本にも村上ファンドがありましたが、インサイダーでしょっ引かれて塀の中に入ってしまった。日本人は金を右から左に動かして稼ぐ事は向いていないのだろう。アメリカでもヘッジファンドは毎日のように潰れている。金持ちはリスクを覚悟でファンドに金を預けるがダメとなれば諦める。元本が保証されたファンドなどなら銀行に預けておいたほうがいい。
アメリカにはベンチャーキャピタルがあるが日本にはない。リスクの高い投資は銀行には出来ないから、専門の投資銀行がベンチャービジネスに投資するのですが、これも元本が保証されない。ファンドマネージャーは金持ちから金を預かって運用するが、自分の金ではないから大胆な投資が出来る。失敗しても金持ちはリスク覚悟なのだからトラブルにはならない。ダメなファンドマネージャーは首になるだけだ。
日本では元本保証でないと金は集まらないが、貸すほうも担保がないと貸さない。一昨日の増田俊男氏のことを書きましたが、アメリカには増田氏みたいなのがいっぱいいる。日本人は滅茶苦茶堅実だが、アメリカ人はギャンブルが大好きだ。そのような国民性の違いが経済にも現れてくる。どちらがいいとも言えないが、リスクの高い事に対するチャレンジ精神は日本人にはない。
アメリカ政府は時価会計なども棚上げして金融破綻を防いでいますが、日本やドイツなどには時価会計やBISを押し付けていながら、自分が危なくなると時価会計を守らない。ダブルスタンダードはいつものアメリカのやり口ですが、日本のエコノミストはアメリカを非難しない。日本のエコノミストで時価会計に反対したのはわずかしかいない。
90年代の大蔵省や日銀が、現在の欧米の政府や中央銀行のような大胆な救済策をとっていればもっと早くバブル崩壊から抜け出せただろう。日本の役人は頑迷固陋で前例がないと何も出来ない。1000兆円の国債の残高だって、日本のエコノミストは大変だと騒いでいるが、財務省がそう言わせているだけであり、1000兆円の国債も政府発行紙幣で一瞬で消せるものだ。だから欧米でも無制限の資金供給をしているが、現代の借金は紙切れで消せる。このような事は教科書には書いてないから財務省の役人には分からないのだ。
日銀もバカだから円高に拘ってデフレ経済にしてしまいましたが、バーナンキを見習ってヘリコプターからなぜ金をばら撒かないのだろうか。年金や健康保険が大変だと騒いでいますが、デフレ経済だから大変なのであり、FRBのようにヘッジファンドに金をばら撒いて株を高くさせれば年金の赤字は無くなり、税収は増える。税収が増えれば消費税も上げずにすむ。しかし政府日銀は頑迷固陋だから何も出来ない。
しかし、欧米の金融問題は柔軟な政策で切り抜けられるかもしれないが、企業のリストラと体質改善は避ける事ができない。ヘッジファンドも買った不良債権を高値で売り抜けなければなりませんが、日本の郵貯や簡保に買わせるのだろう。株式も上げるのは簡単だが売り抜けるのが難しい。これも郵貯や簡保に買わせて始末するつもりだ。こうして日本人が汗水流して貯めた金を、アメリカのファンドに騙されて使われてしまう。
要するに現在は株も不良債権もヘッジファンドにプールされている状態であり、いずれ市場に出回ってくるだろう。シティも41兆円の資産を売却するそうですが、いったんはヘッジファンドが買うはずだ。その資金はFRBが出すのだろう。そしてヘッジファンドは中東や中国などの政府ファンドに売りつける。買わなければ世界最大の軍事力を持つアメリカ軍が戦争を仕掛けてくる。
日本は世界最大の債権国の一つなのですが、アメリカのような軍事力を持たなければ貸し金の回収も出来ないし、不良債権や株の押し売りも出来ない。日本の株式が低迷しているのは金を持っている国家を脅せないからだ。アメリカがダブルスタンダードで平気なのも軍事大国だからだ。