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国債が急落 サブプライム響き外国人投資家が売り 2008年05月08日06時05分
http://www.asahi.com/business/update/0508/TKY200805070213.html
国の借金である日本国債の市場価格が急落している。安定的な金融資産の代名詞だったが、サブプライム問題による金融不安で資金繰りに窮した外国人投資家らが国債売りに走っている。国内の投資家にも取引を控える動きが出て、今後の国債発行に支障をきたす恐れも出ている。
10年物国債金利の推移
東京債券市場で、国債のなかでも取引が多い10年物国債の金利は3月末に1.275%だったが、4月25日には昨年11月以来の高金利となる1.645%に跳ね上がった。5月7日も1.650%と高い水準だ。金利上昇は国債価格の下落を示し、「ほとんど暴落と言える」(投資銀行の担当者)との見方もある。
急落のきっかけは、米証券大手ベアー・スターンズの3月中旬の経営破綻(はたん)だ。同社傘下の投資ファンドがサブプライムで損失を被り、欧米金融機関が投資ファンド向けの資金を一斉に引き揚げて、「資金繰りに困ったファンドが手持ちの日本国債を現金に換えるために大量売却した」(外資系証券)という。国債価格の乱高下で多くの国内投資家が損失を被ったとされる。
一時持ち直した国債価格は、4月後半の株価上昇で資金を国債から株式に移す投資家が増え、再び下落基調となった。本来なら割安感から買い注文を入れる投資家が現れるはずだが、多くの投資家は損失を被っており、取引を手控えた。国債の買い手はつかず、価格は下落の一途だ。
国債がサブプライム問題で意外なもろさを見せたのは、市場で外国人投資家の存在感が増していることも背景にある。国債所有者の大半は国内の銀行・証券や生損保だが、外国人も約7%。03年度末に比べ倍増した。年間売買高に占める比率は約26%に達し、国内勢より取引が活発だ。
国債のなかでも市場金利によって利率が変わる「変動利付国債」や、消費者物価の変動に合わせて元本が増減する「物価連動国債」は主な買い手の外国人が資金を引き揚げて人気が急落。財務省幹部は「(ベアー社破綻があった)3月中旬に物価連動国債の入札があったら、(買い手がつかずに)パニックになったかもしれない」と打ち明ける。
国債売りは、住宅ローン金利にも影響している。住宅金融支援機構が民間金融機関と連携した長期固定住宅ローン「フラット35」の5月の適用金利は、返済期間21年以上で2.950〜3.550%と4カ月ぶりに上昇。金利水準は昨年10月以来の高さだ。
国債低迷が長引けば、すでに700兆円近くが発行された国債の今後の借り換えや新規発行が難しくなりかねない。大和証券SMBCの末澤豪謙チーフストラテジストは「外国人の国債保有が増え、国債市場も世界の金融市場の影響が避けられなくなった。今後は国内の個人投資家を増やし、市場の厚みを増す必要がある」と話している。(橋本幸雄、松村愛)
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