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〔ロイター・コラム〕流動性危機は第2ラウンド突入も
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投稿者 ミスター第二分類 日時 2008 年 5 月 01 日 23:52:57: syFUAx3Wc1pTw
 

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-31610620080501

〔ロイター・コラム〕流動性危機は第2ラウンド突入も

2008年 05月 1日 17:22 JST

 [ロンドン 1日 ロイター] 銀行にとって流動性のひっ迫は和らいだかもしれないが、貸し出しは依然として著しく圧迫されており、消費者や企業、ひいては経済全般に打撃を与えている。クレジット市場をめぐる厳しい環境は銀行の資産を傷つけ、流動性危機の第2ラウンドが始まる恐れもある。

 もっとも、投資家の間でこのところ楽観ムードが広がっていることにも、それなりの理由はある。

 当局は銀行システムに大量の流動性を供給するなど、少なくとも積極的かつ創造的な行動をとってきた。その結果、銀行はコストは非常に高くつくものの、債券を売却して新たな資本を調達できるようになった。

 レバレッジドローン市場にも明るさが見え始め、銀行はローン価格の回復を受け、市場が機能不全に陥った昨年から塩漬けになっていた数十億ドルに上る資産の処理が可能となった。とはいっても、まだ起き上がって仕事に戻れるほど症状が回復していない患者のような状態であることに変わりはない。

 監督当局は銀行に対して資本再編やレバレッジの縮小を求めており、銀行は予測可能な将来に貸し出しを積極的に拡大できる環境にはない。

 仮に監督当局の圧力がなかったとしても、資本が毀損(きそん)された銀行は資本増強を必要としている。経済がリセッション(景気後退)に陥ろうとしている中、企業や消費者向けのローンが焦げ付き始め、償却が必要となれば、銀行は一段と苦境に追い込まれかねない。

 ドレスナー・クラインオートのクレジット・ストラテジスト、ウィレム・セルズ氏は「消費者や企業向けローンで損失が出るだろう。それは銀行の収益に打撃を与え、貸し出し意欲を冷え込ませる」と指摘する。

 米連邦準備理事会(FRB)のデータによると、米国の商業および工業ローンに対する貸倒引当金の比率は昨年第4・四半期に0.82%と、依然低水準にあるとはいえ、6カ月前に比べ倍の水準に達した。

 商業ローンが循環的なピークに戻れば、その比率はここから倍に、2001年の水準に並ぶとすれば3倍に膨らむことになる。

 これは貸し出しの自主規制につながる要因だ。経済環境の悪化に伴いローン損失が増加すれば、銀行は貸し出しを削減し、それがさらに景気の悪化やデフォルト率の上昇を招きかねない。

 新たな困難は、インターバンク市場への資金放出のためらいという古くからある問題も引き起こす恐れがある。

 セルズ氏は「銀行が困難に直面すれば実体経済にも影響が及び、新たな流動性危機を招きかねない」と指摘している。

 <流動性危機か、それともソルベンシーの危機か>

 ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)のケビン・ゲイナー氏は、危機がサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)や、あるいはオフバランスで行った証券化の問題に限定されれば、危機を回避する対策が講じられる「解決段階」に入っている可能性があるとみている。

 同氏は顧客向けリポートの中で、中央銀行による流動性の供給により、市場が正常に戻るのは時間の問題だと指摘しながらも、「もし『ソルベンシー』の問題だとすれば、そのタイミングは銀行が大量の資本調達を始めた時期になるだろう」との見方を示した。

 銀行はすでに資本調達に乗り出しているが、そのプロセスは、サブプライムやオフバランス勘定の誕生・失敗・崩壊プロセスよりも遅れている。

 RBSが国際通貨基金(IMF)の推定値に基づいて試算したところによると、銀行システムは3330億ドルの資本を新規調達する必要があり、そのうち2000億ドルはすでに調達済みだ。

 それは悪い数字ではないが、そう言えるのは、現在のレバレッジ水準が維持され、資産の伸びがゼロの場合に限られる。前者の条件が満たされるのは困難で、後者が現実になれば経済を脅かす要因となる。

 RBSはさらに、銀行がレバレッジを10%引き下げ、資産を10%増やした場合に、危機を回避するためにどの程度の資本調達が必要になるかを試算した結果、5920億ドルという数字が明らかになった。

 もちろん、銀行には他の選択肢もある。配当の引き下げや収益拡大だ。だが、多くのリスクをとらなければそれを達成するのは難しい。しかも、消費者の貯蓄率が上昇しそうなことを考えれば、今年下半期に状況が著しく好転するとは考えにくい。

 (ロイター日本語ニュース ロイター・コラムニスト ジェームズ・サフト、翻訳:長谷部 正敬)

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