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国際戦略コラム NO.2918 ???
発行部数 4300部 ???
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/ ???
2008.04.29 ???
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金融危機回避の結果
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米国の株価が高くなってきました。この理由を検討しよう。Fより
どうもおかしいと思いませんか??
金融混乱が拡大すると見ていたが、銀行の損失が想定の範囲に収まっている。FRBバーナンキ議長が時価会計を中止しようとG7経済閣僚会議で呼びかけたが、それが合意できたという報道が無かった。しかし、現実の状況を見ると、時価会計の停止が事実上行われている。
その仕組みを英国の中央銀行イングランド銀行が示した。銀行が保有する住宅ローン担保証券500億ポンド(10兆円強)を最長3年間、信用度の高い英国債と交換し、銀行の資金繰りを支援するというのだ。
この交換価格は、住宅ローン担保証券の簿価である。と言うことは値下がりが著しい担保証券価格ではなく簿価相当の国債価格で会計できるので、国債は値下がりしていないので時価会計にはならない。
これと同じ仕組みを欧米諸国の中央銀行が行っている。
銀行の時価会計を一時停止したが、それでも大幅な損失が出ている。この原因は、住宅ローンの焦げ付きなど担保証券以外の損失が、多数あるためで、もし、この損失に担保債権の時価会計で損失を出したら、ほとんどの銀行は大幅な損失になるはずであった。
この処置は金融市場の混乱と信用収縮を止めただけで、まだ根本の問題である担保証券の損失を穴埋めできている状態ではない。
しかし、担保証券の損失カバーをしないと、日本がバブル崩壊後回復までに15年と言う長期を要したようなことになる。それを知っていてもバーナンキ議長はそうせざるを得ないほど、銀行の状態が悪いのである。
そして、英国も同様な状態であるし、その他EU諸国も同様なのである。しかし、その仕組みを知らない投資家は金融混乱は収まったと株を買い始めている。欧米諸国は長期の停滞が確実になったのにである。
英米金融機関の貸し渋りは当分続くことになり、欧米諸国の景気は長期間、停滞することになる。欧米は金融産業が停滞するので、次の儲ける産業として鉱業、農業を選択している。ヘッジ・ファンドをけし掛けて、農産物価格や鉱物資源価格を大幅に上昇させている。
東、東南アジアを中心として作る工業製品の儲けを小さくする方向で結託している。
普通、欧米の景気が後退すると資源価格は下落するはずが、大幅上昇をしている。このことの意味を新興国需要増大と説明しているが欧米景気がおかしくなると東アジアの景気も落ちることになる。よって、世界的な需要が落ちるのに、その部分の論理を無視した上昇になっている。ここに、欧米の戦略性を感じる。
国内企業融資を主にしているドイツ金融業はあまり儲けていないので、被害は英米の金融業に比べて小さいが、次の産業として省エネルギー産業を仕掛けている。このため、ドイツは経済的に強い。
これと同じ状況にあるのが日本である。この2ケ国が世界を引っ張っていくことになるはずである。
このような欧米戦略を読んで、日本の戦略を考えることである。
金融混乱で、世界的な地殻変動が起きている。
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(私のコメント)
米国債を使った事実上の「飛ばし」について書こうと思っていたが、先に「国際戦略コラム」で書かれてしまった。
しかし米国債を使った「飛ばし」の「副作用」や最近の市場の「上げ」要因については書かれてないので、「副作用」と「上げ」の要因について一部の市場筋で言われている噂を書いておきます・・・・。
本文で言及されているとおり、サプ・プライム等の「証券化商品」と国債を交換すると確かに「時価会計」をクリアする事ができます。しかし交換する事によって失うものがあります。それは「金利収入」です。
国債はサプ・プライム等の「証券化商品」よりも「信用」が高いが為に証券化商品よりもはるかに少ない金利収入しかもたらさない。
従って「飛ばし」を行って保有し続けるだけでは「飛ばした損失」を埋め合わせるだけの収入を確保する事ができない。つまり日本の金融機関のように、ひたすら少ない収入で我慢し、新たな損失の発生が無い事に耐えるか、市場で一旦売却して資金を確保した後に新たな融資や投資に「突っ込む」かの選択を強いられる事となる。
売却が選択された場合には資金がどのように運用されるかが大きな問題であり、3年程度の短い期間では株式か商品市場が当面の受け皿となっているのではないかと一部のマーケット筋では言われている。逃げ足の速い資金である事から注意が必要ではないかと見せられている。
日本のバブル崩壊後の回復が遅れたもうひとつの原因は金融機関の経営者の「リスク回避」にあり、米国の経営者が長期に「消極的な再建策」を取るとは考えにくい。(この点は日本の反面教師になっている。)
このような事から欧米金融機関の証券化商品と交換された(長期)国債は市場で売却される事が予想されるが、それは長期金利の上昇圧力となって作用する。結果的には以前よりもはるかに長短金利差は拡大し、金融機関が経営再建しやすい環境が築かれる事となるが、米国債の過剰流通は米国そのものの資金調達力に影響を及ぼす事となり、ドルの相場への影響が予想される事を指摘しておく。