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(回答先: 大蔵省 ・・・ 一県一行主議を標榜 【大阪毎日新聞】 投稿者 hou 日時 2008 年 4 月 22 日 22:59:57)
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00771655&TYPE=HTML_FILE&POS=1
新聞記事文庫 金融及金融機関一般(12-070)
満州日日新聞 1936.8.27(昭和11)
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金融統制の前途
中央統制下に金融分野を劃定
監督権も大蔵省に集中
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金融機関中、最も大きな地位を占める普通銀行に対する政府の統制は、預金者保護の見地から従来も経営内容に立入って監督、検査の権限を与えられ着々進められて来た。
昭和二年の金融恐慌によって弱体振りを暴露した銀行はどしどし合同管理を命じた結果、昨年末で銀行個々については最早合同や解散をせねばならぬようなものは殆ど無いという迄になった。然るに二・二六事件後の新状勢は単に銀行を預金者保護とか個々の経営内容の良否という点から監督してゆくだけに限定することを許されなくなり、銀行に国策遂行を援助させるためには政府において積極的に指導、統制を加えねばならなくなった。ここに生れ出たのが今金融界に一つの波紋を画いている地方銀行の一県一行主義である。
一県一行主義とは一地方毎に一二の中心銀行を置き、その地方の金融を円滑ならしめ、同時に銀行間の無用の競争を避け、低金利資金の融通、中小商工業金融の促進を図る政策をいうのであって、既に兵庫県で神戸岡崎始め七行の合同談が成立し次で青森に手を染めているが、今後順次同一地方に多数行が並立している府県に対し合同を慫慂することとなっているから九月に入ると急速に問題が表面化して来るであろう。
この大蔵省の一県一行主義に対し全国商工会議所の中には中小商工金融を阻害するものとして猛烈に反対しているものもある。
即ち
一地方に主要行一、二行とすれば銀行側は競争相手がなくなるから利益があり、経費の要せぬ大口貸付にのみ集中して小額金融は全然無視する結果となり中小商工業者は金融難に陥るというのがその反対論の骨子である。
之に対し大蔵省では現在の地方銀行は中小金融を行うには余りに小資本であり、相互の競争のために社会政策的な金融である小額金融に力を注ぐ余力がない、故に地方小銀行は合同させ従来の小銀行本店を合同後は支店として残存し、その地方の実情に即した商工業者に対する金融を組織的に行うのが一県一行主義の精神であって、この結果地方金融を涸渇させるより却て増進するものとしている。
大蔵省ではこの一県一行主義による合同の促進と平行して地方銀行の統制を強化し、又地方銀行としても大銀行に対抗するために九月ごろには全国地方銀行協会を設立し、六大銀行の如く政府と密接な連絡をとるはずである。大蔵省はこの方針に基いて合同した地方銀行に対しては地方金融の機能を十分に発揮させるために大銀行の地方支店で地方銀行と競り合っているものは漸次撤退させる方針であるから中央の統制下における地方金融分野の整然たる劃定が近く見られるに至るであろう。
次に馬場蔵相は勧銀総裁時代からの持論として農工銀行は勧銀に合併し農業金融は勧銀の手に統一すべきことを主張していたので蔵相就任早々、勧農合併方針を議会で声明した。農工銀行側は蔵相のこの態度に狼狽し、勧銀の貸付利子の大幅引下に対し対抗上これと同率までの引下を断行したが、資力の少い各地農工が勧銀の積極的な活動に抗すべくもなく、過般農工銀行同盟会の盟主たる東京農工が遂に合併を余儀なくされたので今後は他農工も続々勧銀に合併されるであろう。
大蔵省の見解によれば
農工銀行は自己の資金で不動産金融を十分行い得ないし、勧銀が農村の相当小口貸付にまで手を拡げて来た以上、農銀という特殊機関存立の意義がない
としており、宮城農工を始め本年内にも数行の合併が見られる予定である、かくの如く馬場蔵相は各種金融について、その主たる担当機関を定め、即ち不動産金融は勧銀へ、小額農村金融は信用組合へ中小商工組合金融は商工中央金庫へ等々、部門別に機関を設け、融資分野を劃定し、統制ある金融とならしめんとしているのである
更に注目すべきは金融統制の一手段として金融機関監督権の大蔵省集中である、現在大蔵省は銀行信託会社預金部、市街地信用組合無尽会社、質屋等の監督権は持っているが保険や取引所は商工省、郵便貯金は逓信省との共営、信用組合は農林省、簡易生命保険は逓信省の管轄であり、従ってこれ等の有する資金の融通は大蔵省の方針とは別個に行い得るわけであるこれでは統一ある金融指導が出来ないというので、これ等機関の内金融上の業務については遠からず大蔵省の監督を要することになるであろう