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インフレで見極めるべき人民元上昇の効果(klugView)
2008/04/08(火)17:53
4月8日の外国為替市場では、人民元が一時1ドル7.0011元まで上昇し、2005年7月の切り上げ後の最高値を更新しました。1ドル6.0元台への突入は回避されたものの、市場ではドル安基調が続いているだけに、近いうちに人民元が1ドル6.0元台になるとの見方が大勢となっています。
人民元の対ドルレートは、2005年7月の人民元切り上げ以降も上昇基調を続けてきました。しかし人民元の上昇ペースは、月平均で0.5%程度と、非常に緩やかなものでした。人民元の上昇は、輸出採算性の悪化を促す可能性が高いと中国当局が判断し、元売り・ドル買いの為替介入をしていたためといわれています。
しかし昨年11月以降、人民元の上昇率は、月平均で1.2%程度まで加速しています。サブプライムローン問題でドル売りが進展したほか、中国当局が元売り・ドル買いの為替介入の規模を縮小させたためと思われます。
中国当局が為替介入を控える理由は、中国国内で進展しているインフレに対応するためです。中国当局が元売り・ドル買いの為替介入をすればするほど、売却した人民元が中国国内に流入するためインフレが進みやすくなります。中国では、2月の消費者物価の伸びが、前年同月比で8.7%増と約12年ぶりの上げ幅を記録しているだけに、中国当局としても、インフレを抑制するために為替介入を控える必要性が高まってきたといえます。
一般的にインフレは、すぐさま解決するものではなく、中国の場合も、インフレを抑制するまでに、おそらく半年から1年程度の時間を要すると思われます。仮にこの考えが現実となれば、中国当局は、今後も為替介入を控えることになり、人民元の上昇もしばらくは続くことになります。
ただ、仮に人民元の上昇が続いたとしても、すぐさま中国の輸出が減速するとは思えません。すでに中国製品は、世界各国の経済活動に組み込まれています。仮に人民元が月平均で1〜2%程度の上昇で推移するのであれば、中国製品を輸入する国々は、他国製品に切り替えるよりも、流通の効率性を上げるなどして、人民元上昇コストを吸収するほうが効率的です。
むしろ心配すべきは、人民元上昇による中国の輸出減速ではなく、中国のインフレ加速です。本来であれば、中国のインフレを本格的に抑制したいのであれば、中国当局は、人民元に対する為替介入を控えるだけでなく、利上げといった金融引き締め策を強化すべきです。しかし中国当局は、金融引き締めによる成長率の鈍化を懸念しているようで、まずは為替介入の操作だけでインフレに対処しようとしているようです。
しかし、中国当局の思惑に反し、インフレ抑制が失敗するようだと、中国国内の設備投資や個人消費といった内需の伸びが大きく低下する可能性が高まります。以前と違い中国の経済規模は、すでに世界有数となっているだけに、輸出だけで高い成長率を維持するのは難しくなっています。人民元上昇の効果は、輸出ではなくインフレの状況で判断すべきと思われます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
中国の2月の消費者物価の伸びはどれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
前年同月比で8.7%増
(約12年ぶりの上げ幅)
http://www.gci-klug.jp/klugview/08/04/08/post_1806.php