★阿修羅♪ > 国家破産56 > 139.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-31286420080412
【大手金融機関の共同監視の会合を設置、バーゼルU強化も提言=FSF】---(ロイター)
2008年 04月 12日 09:51 JST
[東京 12日 ロイター] 日米欧などの金融監督当局で構成する金融安定化フォーラム(FSF)は11日、ワシントンで開催された7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に、サブプライムローン(信用力の低い借り手向け住宅融資)で混乱する金融市場の再発防止策を盛り込んだ最終報告書を提出した。
1)新自己資本比率規制(バーゼルU)の強化、
2)証券化商品の公正な価格評価、
3)格付け機関での証券化商品と社債の格付け区別、
4)各国金融監督当局での主要銀行の共同監視、
5)各国中央銀行での国境を超えた担保使用
――などを提言している。
FSFの最終報告書は、世界的な金融市場の混乱の再発防止を狙い、中長期的に各国の金融監督当局や国際機関、金融機関が取り組むべき課題を列挙。
G7の要請に基づいてFSFが2月の東京G7に提出した中間報告に続いてとりまとめた。
最終報告書は第1に、金融機関の自己資本の健全化策として、各国がバーゼルUの実施を予定通りに進めるべきと強調。
さらにバーゼル銀行監督委員会が2008年中に債務担保証券(CDO)など複雑な証券化商品やオフバランス取引のリスクウエートを引き上げる提案を公表するとした。
このほか、各国の保険監督当局は、証券化商品のモノライン保険への規制と自己資本の枠組みを強化すべきと指摘。金融機関の流動性リスクの管理・監督のため、バーゼル委員会が7月までにガイドラインを公表する、としている。
第2に、金融市場の流動性不足によって証券化商品の価格評価が困難になる例がでたことから、国際会計基準審議会(IASB)は市場の取引が低迷した際の金融商品の価格評価について、2008年中に専門家の諮問機関を設立。
さらにIASBは、投資ビークルなどオフバランス機関についての会計と開示を改善する。各国の金融機関が2008年の中間決算で、FSFの情報開示項目に従うよう要請した。
第3に、信用格付け機関に対しては、社債格付けと証券化商品の格付けの区別を求めたほか、証券化商品の格付けでデータが不足する場合は格付けすべきでないとした。
また、投資家には格付けへの過度の依存を是正すべきと訴えた。さらに、各国の当局に対し、監督上の枠組みで信用格付けを利用している場合は、投資家の格付け依存を招いていないかを検証すべきとした。
このほか、各国の金融監督当局の連携強化のため、世界の大手主要銀行を共同監視する会合を2008年末までに設置。さらに各国の中央銀行は外貨の流動性に対応するため、1)各国間で常時発動可能なスワップ枠の設定、2)国境・通貨を越えた担保の使用――を検討すべきとした。
-------------------------------------------------------------------------------
(コメント)
少々専門的な話になりますが、米金融機関が融資を増やさず、証券化投資(投機)に走った原因の一つとして金融機関に対する自己資本規制であるバーゼルU規制が上げられています。
バーゼルU規制においては金融機関の「融資」や「債券等による投資」について格付けによりリスクの大きさを把握し、それにより必要な自己資本を金融機関に維持させると言う仕組みになっています。(リスク資産に対して一定の資本を持たせる事で経営の健全性を維持させる事が狙いとなっています)
例えば「AAA格付の資産」では簿価に対して20%のリスクがあると認定し、BBBは100%のリスクがあると認定し、そのリスクに対して自己資本として国内ならば最低4%を確保する事を求めています。
ですからAAA格付けの1億円の融資(証券)に対して1億×20%×4%=80万円の資本を維持する必要があり、BBBならば1億×100%×4%=400万円の資本を維持(確保)する仕組みとなっています。(法律で決められています。)
実はこれが、結果的にサプ・プライム証券への大量投資と言う結果を招く事に繋がっています。
普通に中小事業者向けの融資を行なえば「格付けなし」でリスクカウントは100%となります。しかし多数の融資をまとめ、証券化をおこない「AAA」と言う格付けが付いた瞬間にその証券のリスクカウントは20%となります。また債券の市場価格も簿価より高くなり売却益も得られます。
また証券化する事で同じ自己資本でも5倍の規模で資産運用ができる事となり収益を得るための資産規模の拡大ができます。
これでは、まじめに日本の中小金融機関のように個人や中小企業にまじめに融資して長期で育てて行くよりも証券化して手っ取り早く儲ける方が良いと言う事になります。
オンボロの貸出のままで資産として抱えるよりも「証券化」して「AAA」に偽装させて「売払った」方が儲かる。
また融資した後のアドバイスや管理などの「無駄?なコスト」がいらなくなります。
それから売払った後に「倒産」しても自分の腹はほとんど痛みません。
しかも証券化した資産は「AAA」なのでリスクカウント(アセット)が20%しかないので、同じ資産規模なら自己資本比率は高い数値になります。
これは「自己資本比率のかさ上げ」による「優良経営イメージの構築」、「手数料収入の増加」、「融資先管理などのコスト削減」などに直結します。
ドーピング、インチキと知っていてもやらない方が「バカ」と言う結果になります。
つまりバーゼルUによる自己資本規制は結果的には「証券化」による「信用バブル」の拡大に寄与したと言う事です。
このような背景を知った上で報道の内容を見てくれれば、問題の本質がおぼろげながらも見えて来ると思います。