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http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=azYyHFGDZVBI&refer=jp_japan
【米国はサブプライム後に布石、原油安・ドル底入れも-三菱東京UFJ銀】---(ブルームバーグ)
3月25日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ警戒と米景気悪化による世界経済の減速を受け、商品市況は沈静化しドル相場が持ち直す兆しが見えてきた。
米国はすでに、サブプライム危機後の投資環境整備に着手している――。三菱東京UFJ銀行市場業務部の高島修チーフアナリストは25日のインタビューで、米信用不安を前提とした相場観が転換する「条件がそろってきた」との見方を示した。
米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題に端を発した信用不安を鎮静化するため、FRBは矢継ぎ早に対策を打った。
11日に住宅ローン担保証券(RMBS)も担保に米国債を貸与する資金繰り緩和策、14日には米証券大手ベアー・スターンズへの緊急資金支援を発表。
東京時間17日朝には、米銀大手JPモルガン・チェースによるベアー・スターンズ買収を取りまとめるとともに、公定歩合の緊急引き下げとプライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)も貸し出し対象とする措置を決めた。
FRBは流動性供給策を強化する一方で、利下げ幅を切り詰め、インフレ警戒姿勢を復活させた。
18日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の引き下げ幅を、金利先物市場の予想を下回る0.75ポイントにとどめた。
声明文では、「インフレ期待の高まり」と「不透明」を強調。前回1月会合では「インフレは落ち着くと予想」していた。ドルはひとまず持ち直し、商品相場は急落した。
なお正常化に程遠いが
高島氏は、米欧の流動性枯渇や信用不安は「まだ、正常化したとは言えない」と語った。ロンドン銀行間貸出金利(LIBOR)のドル3カ月物と同年限の米財務省証券との格差である「TEDスプレッド」は縮小に向かっているが、短期の米財務省証券利回りは「なお著しく低い」と指摘した。
ただ、FOMCを受けた商品相場の急落については、高島氏は「大きな相場観が転換する条件がそろってきた」と解釈した。これまでは、サブプライム危機を背景にFRBが金融緩和を重ね、ドルが下落。商品相場と資源国・欧州通貨が上昇してきた。
新しい相場環境の下では、信用市場の沈静化を踏まえてFRBがインフレ警戒姿勢を復活させる一方、米景気の悪化が世界経済に波及してエネルギー効率が低い新興国の商品需要が減少。ドルは回復に向かい、商品相場と資源国・欧州通貨は下落するという。
ドルは1ユーロ=1.4ドル程度まで上昇し、オーストラリアドルなど資源国通貨に対しても持ち直す。
ただ、円に対してだけは長期的な下落基調が続き、1ドル=90円まで円高・ドル安が進むと予想。
ドルは最近、過去最低の1ユーロ=1.5903ドル、24年ぶりの1豪ドル=0.9498ドル、12年7カ月ぶりの1ドル= 95円76銭まで下落した。FRBが算出する対主要通貨のドル実効相場は19日以降、持ち直している。
高島氏は、こうした相場観の転換は「年後半」と予測していたが、FOMCと商品相場の急落を受け、思ったより早く実現する可能性も出てきたと見ている。
サブプライム後に布石
ポールソン米財務長官とアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ、シンガポールの政府系ファンド(SWF)は20日、SWFの情報開示強化や商業目的への限定、米保護主義の抑制などで合意した。
高島氏は、今回の合意は「米国がサブプライム危機後をにらんだ対米投資環境の整備に着手した」表れと受け止めた。
証券化商品市場は年間8000億ドル規模の米経常赤字を埋め合わせる主な経路の1つだったが、サブプライム危機で崩壊。対米投資は今後、株式市場が中心にならざるを得ず、長期的な観点からの投資が可能なSWFの存在感が一段と高まると見ているからだ。
キミット米財務副長官は先月、SWFの運用資産が5年以内に12兆5000億ドルに達する可能性を示した。
投資環境の整備は「ドルにとって、悪い話ではない」と、高島氏は語った。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野澤茂樹 Shigeki Nozawa