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http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-30966920080324
[ドバイ 23日 ロイター] サウジアラビアのインフレ率が2月、27年ぶりの高水準となる8.7%に達した。米ドル・ペッグ制を採用している同国をはじめとするアラブ湾岸諸国は、米国の利下げに追随して政策金利を引き下げており、インフレの高まりが深刻化している。
サウジアラビアは前週、米連邦準備理事会(FRB)が実施した0.75%ポイントの利下げに追随し、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンとともに政策金利を引き下げた。インフレ率が13.74%となっているカタールも23日、あとに続いた。
カタールはまた、これと同時に銀行の融資抑制を強化した。融資抑制の強化は昨年12月以降3度目で、湾岸諸国の政府が、自国通貨の上昇回避とインフレ抑制の間で板挟みとなっていることが示唆されている。
サウジアラビアも、インフレ高進の影響を軽減するため、融資抑制や補助金制度、賃上げなどの措置を講じている。これを受けて、市場では通貨リヤルの対米ドルでの上昇が容認されるとの見方が広がっている。
1307GMT(日本時間午後10時07分)時点で、フォワード取引の投資家は、リヤルが対米ドルで、年間2.08%上昇し1米ドル=3.672リヤルをつけると予想している。
米ドル・ペッグ制は、米ドルの世界的な下落により、サウジアラビアの輸入物価を引き上げ、インフレの高進を招いているが、同時にサウジアラビア通貨庁(中央銀行)に、リセッション(景気後退)回避に向けたFRBの利下げに追随することを余儀なくしている。
FRBは昨年9月以降、政策金利を3%ポイント引き下げている。湾岸諸国の中央銀行は、インフレ抑制のため利上げが必要な時期にこうしたFRBの動きに追随してきた。
<家賃>
サウジの統計局データによると、2月のインフレ率は家賃が18%と最も高い伸びを示し、食品価格が13%と次に続いた。
投資銀行EFGヘルメスのエコノミスト、モニカ・マリク氏は、クウェートが5月に行ったように自国通貨の上昇容認や米ドル・ペッグ制から通貨バスケット制への移行などを実施するよう、サウジや近隣諸国への圧力が高まっていることがデータで示されていると指摘する。
クウェートは昨年5月20日、米ドル・ペッグ制を廃止、金融政策のかじ取りに幅を持たせ、FRBの利下げも直近のものを含め数回無視している。
さらに5月19日以降、通貨ディナールの対米ドル相場について8.2%の上昇を容認している。その間、米ドルは、対ユーロで14.2%下落している。
カタールとUAEは、近隣諸国に通貨統合に向けた準備を促しているが、サウジは、1986年以降1米ドル=3.75リヤル水準で固定されているリヤルの米ドル・ペッグ制を変更する可能性を繰り返し排除している。
通貨の切り上げは米ドル建て石油収入のリヤル換算レートを低下させることにもなる。
ただ、サウジアラビアでは、カタールやUAEなど国民がより裕福で人口規模が小さく、大半を国外居住者が占めている国と比べ、インフレは、より深刻な政治問題となっている。
(Dayan Candappa記者;翻訳 佐藤久仁子;編集 石田仁志)