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公示地価は全国平均で2年連続プラス、07年後半から上昇に陰り
2008年 03月 24日 17:07 JST
[東京 24日 ロイター] 国土交通省が24日に発表した2008年1月1日時点の公示地価は、全国平均(全用途)で前年比プラス1.7%となり、2年連続で上昇した。上昇幅も昨年の同0.4%から拡大しており、マンションやオフィス需要、不動産投資などを背景とした地価の持ち直し傾向が継続している。
ただ、2007年後半から上昇基調が鈍化した地点が多くみられ、実需に基づく価格調整が進んでいることも浮き彫りになった。
<サブプライムローンの影響で外資系の土地取得が鈍化>
地域別にみると、3大都市圏で都心部の上昇傾向が周辺地域にも広がりを見せ、2年連続のプラスとなった。地方圏では、下落傾向が継続しているものの、4年連続で下落幅を縮小させた。地価が下落した地点の半数以上で下落幅が縮小しており、地方でも地価持ち直しの動きが広がっている。用途別では、全国の住宅地、商業地ともに2年連続でプラスとなった。
ただ、毎年7月に実施している都道府県地価調査との共通地点で、半年ごとの地価動向を分析すると、07年の前半(1―6月)に比べ後半(7―12月)では上昇基調に鈍化が見られた。前半は、都心部の価格上昇が郊外にも波及するなどして、地価全体を押し上げた。
しかし、後半は全国の85.6%の地点で上昇幅が縮小。これまで上昇率が高かった地点だけでなく、郊外部でも過半数の地点で、前半に比べ後半に上昇ペースが鈍化した。国土交通省では「急速な地価の上昇スピードに実需がついていけず、需給バランスの調整が行われた結果ではないか」と分析している。
建築基準法改正に伴う住宅着工遅れが地価に与えた影響について、国交省は「着工件数と土地の取得動向は必ずしも連動していない。明確にはわからないが、ほとんど影響はないとみている」(地価調査課)との見解だ。サブプライムローン(信用度の低い個人向け住宅融資)問題に端を発した米金融市場の混乱が日本の地価動向に影響を及ぼした可能性について、同省は「(外資系金融機関などの)資金調達が困難になり、土地取得が鈍っている側面もある」(調査課)との認識を示している。
<利便性よい郊外の住宅地で上昇目立つ>
住宅地の全国平均は前年比プラス1.3%と2年連続で上昇し、上昇幅(昨年は0.1%)も拡大した。ただ、地価の水準は、ピーク時の1991年の約50%で、バブル前の1986―87年ごろと同程度となっている。
3大都市圏の住宅地は、前年比プラス4.3%となり、2年連続の上昇となった。東京圏は平均で5.5%と2年連続の上昇。武蔵野市や立川市など西北部を中心に、駅周辺の利便性を背景とした住環境に優れた地域でマンション需要が増大し、都心の地価上昇傾向が郊外にも広がりを見せた。大阪圏と名古屋圏でも同様に、地価の上昇傾向が郊外へと波及する現象が見られた。
ただ、東京都心部では中央区、港区、渋谷区周辺など昨年の上昇幅が20%以上だった地点の多くが、今年は10%程度に上昇幅を縮めるなど、上昇基調に鈍化傾向も見られた。つくばエクスプレスの開業によって地価上昇が著しかった茨城県守谷市周辺も、上昇率が鈍化した。
地方圏の住宅地は、昨年の前年比マイナス2.7%から、同マイナス1.8%となり、4年連続で下落幅が縮小した。札幌市は3年連続、福岡市は2年連続の上昇。仙台市は17年ぶりに平均でプラスに転じ、中でも青葉区は上昇率が20%を超える地点もあった。
北海道倶知安町や沖縄県石垣市、同恩納村は、観光需要の増大を背景に平均で上昇となっ
た。ただ、中心都市以外では、人口減少などの影響で、郊外部を中心に需給が緩んでおり、依然として下落している地点が多い。
住宅地で全国トップの上昇率を記録したのは、東京都港区南青山4丁目付近の服飾、美容院、ブランド店舗が集積して利便性が高い高級住宅地。上昇率は前年比36.8%となった。2位も南青山4丁目内の地点、3位は近隣の渋谷区神宮前4丁目付近だった。上昇率の上位10位は昨年、東京が独占したが、今年は仙台市青葉区内の地点が4位と10位に入るなど、地価上昇の動きが地方に広がっていることを印象付けた。住宅地の最高価格地点は、高級賃貸住宅などの需要が高い東京都千代田区五番町12番6で、昨年から16.2%上昇し、1平方メートル当たり337万円と12年連続のトップとなった。
<銀座でも実需反映し、地価動向に明暗>
商業地の全国平均も前年比プラス3.8%と2年連続で上昇し、上昇幅(昨年は2.3%)を拡大させた。ただ、地価の水準は、ピーク時の1991年の約30%と低水準にとどまっている。
3大都市圏の商業地は、前年比プラス10.4%と、3年連続で上昇した。東京圏や東京都区部、名古屋圏は平均で上昇幅を拡大させたが、大阪圏や大阪市、京都市、名古屋市などは、年後半の上昇スピード鈍化を受け、上昇幅が縮小した。
各地点の実需に基づく個別性を反映した価格形成も進んでいる。例えば銀座周辺では、公示地価トップの山野楽器銀座本店(東京都中央区銀座4丁目)が1平方メートル当たり3900万円なのに対し、中央通りと昭和通りを挟んだ銀座大塚ビルは同260万円と、大きな差がついている。国土交通省は「かつてのバブル経済のときのように、どこでも地価が上がるという状況でなく、個別の事情が公示価格に影響している」としている。
地方圏の商業地は、昨年の前年比マイナス2.8%からマイナス1.4%となり、4年連続で下落幅を縮小した。札幌は3年連続、仙台、広島、福岡は、2年連続で上昇した。特に札幌と仙台、福岡といった賑わいがある一部地域では、不動産投資やオフィス需要を背景に収益性が向上し、2年連続で上昇率が30%を超える地点があった。
このほか、市街地活性化などで静岡市と浜松市、大津市、岡山市、松山市が平均で2年連続の上昇。金沢市、熊本市、鹿児島市が上昇に転じた。ただ、地方では大半の地点で、中核的大規模施設の撤退や郊外型商業施設の進出による既存商業地の衰退などの影響で、下落傾向が続いている。
商業地で全国トップの上昇率を記録したのは、仙台市青葉区中央1丁目の複合型商業施設「ヒューモスファイヴ」で、前年比40.1%の上昇。仙台市の周辺では自動車産業や電機産業の集積が進んでいるほか、これまでの価格下落で値ごろ感が出て、投資ファンドなどが活発に投資したという。2位は東京都港区六本木7丁目の「TKGビル」でプラス39.1%。3位は自動車産業の集積が進む北九州地区の中心都市である福岡市博多区博多駅前1丁目の「第一・八龍ビル」でプラス39.0%だった。
全国最高値地点の山野楽器銀座本店の上昇率は、昨年の33.0%から27.5%に縮小している。
08年地価公示は、1970年の第1回公示以来、39回目。全国の標準地2万9100地点を不動産鑑定士2764人が鑑定し、土地鑑定委員会が審査した。
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http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-30965920080324