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【白川日銀副総裁(総裁代行)の一問一答】----(ロイター)
http://www.asyura2.com/08/hasan55/msg/803.html
投稿者 ミスター第二分類 日時 2008 年 3 月 22 日 17:18:20: syFUAx3Wc1pTw
 

http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-30949120080321

【白川日銀副総裁(総裁代行)の一問一答】----(ロイター)
2008年 03月 22日 08:27 JST

[東京 21日 ロイター]
 白川方明副総裁(総裁代行)は21日、就任会見を行い、総裁不在という異例の事態の中でしっかりと任務を遂行していくとの決意を述べた。会見での主なやりとりは、以下の通り。

 ──副総裁就任にあたっての抱負。また、総裁不在が業務運営上どのような影響が出てくるのか。

 「現在、日本経済は国際金融市場の動揺や世界経済の減速、エネルギー・原料価格高騰による中小企業の収益環境の悪化や生活関連物資の値上がりなど、内外とも多くのリスク要因・不確定要因を抱えている。金融政策運営にあたっては、経済・物価の見通しと、上下両方向のリスク要因を謙虚な姿勢で幅広い角度から分析することが求められている。そうした丁寧な情勢分析の上に立ち、必要な政策を機動的に実施することを通じて、長い目で見た物価と経済の安定に貢献していきたい」

 「金融政策は金融市場や金融機関の行動を通じて効果を発揮するものであり、その透明性は政策のアカウンタビリティ(説明責任)の面でもそうだし、政策の有効性を確保する上でも重要な前提となってくる。適切な政策を積み重ね、これをしっかり説明していくことで、国民の信頼を得られるよう努力するつもりだ。そうした信認こそが、日銀の独立性を確保する大切な基盤となる」

 「金融システム面だが、まずは現在進行中のサブプライムローン問題に端を発した国際金融市場の動揺に対して、適切に対処することが最優先課題だと考えている。それと同時に、今回の経験も踏まえて、マクロの金融政策や金融システムをめぐる政策、制度のあり方についてどのような教訓を引き出すべきか、しっかり検討する必要がある。そうした検討を踏まえた上で、リスク点検の体制を強化していく、その場合に個別金融機関のリスク管理の重要性だけではなくて、金融市場の中のどこにリスクが蓄積され、それが金融システムの安定のどのような影響を与えていくか、ミクロ・マクロからの点検をしっかりやっていきたい。私自身も金融機関や市場参加者と密接な意見交換を行っていき、現在、起きていることについて感覚のズレが生じることのないようにしてきたい」

 「日銀の機能はこのほか、銀行券の円滑な決済や決済システムの安定的な運行など、日々の業務で支えられている。日本銀行は当然のことながら銀行であり、その基礎は業務にあるというのは若いころからの強い信念だ。業務や組織運営面では職員の1人1人中央銀行員としての誇りを持ち、専門的な能力を最大限発揮できるような組織を作っていくために努力をしていきたい。組織形態や仕事の進め方など、あらゆる面で常に新しい目で柔軟に見直し、組織の効率化、活性化を進めていきたい」

 「総裁が欠けるという異例な事態だが、経済や金融には1日の休みもなく、日銀の業務が滞ることはいかなる意味でも許されない。総裁が任命されるまでの間、日銀の運営を預かる者として、しっかり職責を果たしていきたい。先ほど、2番目の質問で総裁不在という事態がどのような影響があるかということだったが、日銀全体の組織として日銀の機能がいささかも影響を受けることがないようにやっていく、そういう組織だと思っているし、微力ながらしっかり代行の仕事を果たしていきたい」

 ──今後の適切な金融調節のあり方について。

 「まずお断りしなければならないのは、私自身は今まで大学に1年8カ月大学におり、やや長期的な観点から日本の経済あるいは中央銀行のあり方について、興味を持って勉強してきた。ただ、足元の金融政策、経済政策について、詳細にこれまで研究してきたわけではない。日銀で働くことの一番大きな魅力・強みは、経済・金融に関して、ミクロ・マクロさまざまな情報が入ってくる、その様々な情報をいろいろな角度から分析をしていくというのが中央銀行の一つの魅力だと思っている。私自身は具体的な魅力にまだこの時点で直接接しているわけではない。、その意味で、その質問に対する答えは少し一般的な答えにならざるを得ない」

 「先ほどの抱負でも少し申し上げたが、私が日銀の中で金融政策を事務方として担当する、そういう仕事をやってきたときのいくつかの教訓がある。1つはこれは昔から言われていることだが、金融政策の効果が波及するまでには非常に長い時間がかかる。したがって、足元の経済の情勢、これはこれで非常に大事だが、しかし少し長い目で見て物価の安定がどのように維持されるのか、維持されないのか。したがって、持続的な経済成長が維持されるのか、されないのか。その点検の姿勢が非常に大事だ。具体的な方法論は何かということで世界の中央銀行が頭を悩ませているわけだが、いつも意識していることの一つはそういうことだ」

 「2つめは、これも抽象論になるが、経済が変化するときには非常に変化すると。これは上にも下にも変化をするときには非常に大きな変化をする。それだけに、金融政策運営にあたっては、予断を持ってはいけない。いろいろな情報を集めて、その意味を考えて、その上で最終的には、もちろん不確実性に満ち満ちているわけだが、最後は判断しなければいけない。その時に、繰り返しになるが、予断を持つことなく判断をしていきたい」

 「3つ目は、もう少し具体的な話になってくるが、日本のバブル以降の経験を振り返ってみると、あるいは最近の米国のサブプライムローン問題というか、クレジットローンの崩壊という問題をみてみると、あらためてこの20年近く、資産価格と実体経済の複雑な相互依存関係がいろいろな形で経済の変動を引き起こしているという感じがする。そうしたことも意識してやっていく。ただ、このことは私自身が意識している一般的な原則で、当面の金融政策について何かそれを示唆しようとしているわけではない。これから、そうした基本的な考え方を踏まえて、その上で様々な情報を集めて、4月の決定会合に臨みたい」

 ──政府は景気が踊り場に入ったとの判断を示しているが、足もとの景気の認識についてどうみているか。また国会の所信表明で潜在成長率と比較すると現在の短期金利は低いとおっしゃったが、利下げについてどのようにお考えか。

 「現時点での景気認識としては、見通しの判断は3月の決定会合で示した基本的見解と大きな違いはない。日本経済は足もと、住宅投資の落ち込みや原油高などの影響から減速しているが基調としては緩やかに拡大をしている。ただ、先行きは当面は減速するという姿がどのくらい続くかわからないが、その後は緩やかな拡大が続くというのが標準的ケース。しかし、標準的なケースを強調することも大事だが、今は非常に不確実性が高い」

 「実質短期金利というのは少し長い目で見た場合として申し上げた。実質短期金利はおおまかに申し上げるとだいたいゼロだ。潜在成長率が1%台半ばから後半。その意味では金融政策は非常に大きな緩和方向の力を発揮すると思う。ただ金融政策が経済に対して及ぼすルートは、短期金利から始まって中長期の金利、それも国債金利で計る金利だけではなく、実際に企業が計る金利、つまりクレジットスプレッドを加味した金利などを総合的に判断したフィナンシャルコンディションなど、何らかの金融政策の持っている金融緩和の力というものを具体的に判断していく」

 ──米国金融当局は大手証券ベアースタンズに流動性供給を行ったことへの評価について聞きたい。米国の金融政策についてドルの信認に悪影響が出ることについて、どう見ているか。

 「1つの大きな教訓としては、流動性の問題が原因となってソルベンシーが悪化することは防がなければならないということ。そうなると大変大きな影響がある。ベアースターンズに対して流動性を供給したことは日本の経験に照らして適切だったと思う。と同時、流動性の供給というのは必要な政策ではあるが、これだけで問題が解決するわけではない。そのことも中央銀行は意識しながら、最終的な金融市場の最後の貸し手だと意識しながら行動していくということ。この点においてはFRB(米連邦準備理事会)も日銀も同じ」

 「為替レートについては、今のサブプライム問題に端を発した金融市場の動揺、ドルの為替レートも減価しているのは事実。こうした動きにはずみがつくと、金融市場にとっても米国経済にとっても悪影響が及ぶし、その辺も意識しながら米国は対応をとろうとしていると思う」

 「経済全体の動き、米国経済の動き、金融市場、為替市場、など総合的に考慮しながらFRBは対応をとろうとしていると私には思える」

 ──米国経済減速の影響が世界経済に及ぼす影響についてどうみているか。デカップリング論についてどうお考えか。

 「経済はすべてリンクしているので、完全無欠なデカップリングが成り立つわけではない。経済は世界経済も日本経済もそうだが、需要項目をみると、日本は6割が個人消費。世界経済でもその割合に応じてその影響が異なってくる。米国が圧倒的に大きなウエートを占めていた時の経済と、今のように中国やインドのウエートが高まった経済を比べると、昔に比べると中国やインドのそれ自体の景気の拡大の影響が、従来より大きなウエートを占めている。しかし、完全なデカップリングは成り立たないと思う。したがってデカップリングについて事実かどうか、なかなか答えが難しいと思う」

  ──今の政策金利が0.5%である現状で、利下げの効果について期待できると考えているか。

 「金融政策をみる場合、短期金利だけに注目して議論をしがちだが、米国金利をみると昨年9月からFFレートが3%下がったが、一方で信用スプレッドは大きく拡大した。そういう意味で、放っておくと実質的な金融タイト化が進んでいく、それを何とか防ごうとする、それがどちらが強いかということ。米国では短期金利だけでみると、ものすごく金融緩和の力を発揮しているか、実現されているかというと必ずしも判然としない。したがって金融緩和の力を評価する時に、短期金利の力だけで評価しては必ずしも適切ではない」

 「金融緩和全体、あるいは信用スプレッドを加味した民間の金利がどうなるか、その辺のアベイラビリティがどうなるか、それを総合的に判断しなければならない。短期金利だけで機械的に評価するのは適切でない。同時に、短期金利がどういうレベルにあるかも含めて1つのベンチマークとしてはみてるが、実質短期金利と成長率の関係だけから足元の政策をみるアプローチを私は取っているわけではない」

 (ロイター日本語ニュース 中川泉記者)

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