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http://markets.nikkei.co.jp/features/03.aspx?site=MARKET&genre=x3&id=MMMAx3000019032008
【日本経済、条件整えば下期回復へ】---(日経ネット)
―ゴールドマン・サックス証券の山川哲史・チーフエコノミスト(08/03/19)
ゴールドマン・サックス証券 経済調査部 汎アジア経済調査統括部長 チーフエコノミスト
今年の株価を占う上でのリスク要因を聞く。シリーズ最終回の第5回目は、ゴールドマン・サックス証券経済調査部のチーフエコノミスト、山川哲史氏に日本経済の見通しについて聞いた。
――日本経済はどのような状況に置かれているのでしょうか
端的に言うと景気後退局面です。景気後退は生産トレンドで判断されることが多く、昨年10月にピークアウトし、11月に減少局面に入りました。場合によっては4―6月まで減少が続くと思います。世間では米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響が指摘されていますが、日本が昨秋から景気後退に陥ったのはもっと別のところに理由があると考えています。
ひとつは2005―07年前半まで日本の外需を大きく支えてきた中国向け輸出が、鉄鋼製品、半導体などのIT(情報技術)部品を中心に、数量ベースで直近3カ月では10%減少しています。ただ、建設機械や自動車といった中国の内需はまだ堅調ですし、アジア向け輸出は絶好調ですから、部分的な調整にとどまっています。中国の対米輸出は鉄鋼製品、携帯電話、半導体が減速しており、その余波で日本から中国への輸出が減少する流れです。幸い、減速範囲はそれほど広がらないとみています。
2つ目の理由は、原油価格や原材料の高騰で変動費が増大し、分損益分岐点の高い中小企業の収益を直撃したことです。それを相殺する格好で、中小企業の賃金のマイナス幅が拡大しています。
3つ目は昨年の建築基準法の改正や消費者金融に対する貸し出し金利規制が、意図しない官製不況を引き起こしたことです。不動産投資向けノンリコースローン(非そ及型融資)の与信審査の強化も、不動産向けの貸出の減速につながりました。06―07年にかけての規制強化が、実体経済に予想以上に悪影響をもたらしました。
サブプライムの問題はこれから顕在化してくると思いますが、日本はそれを体験する前に自らの理由で景気が下振れしたと言えるでしょう。
――中国の景気が減速すると日本への影響も大きそうです
弊社が中国当局と共同で開発した中国経済の先行指標、CEMAC―GS先行指数は足元で相当減速しています。これは、固定資産投資の過熱を抑制しようと中国政府が昨年10月以降に貸し出し総量規制を行ったためです。インフレに対して、物価統制や窓口指導といった人為的な手段で抑えていますが、それが高じると中国経済が失速感に転じるリスクが高まるでしょう。
――サブプライムローン問題が加わり、日本経済はさらに悪化に向かいますか
米国のGDP(国内総生産)成長率は、サブプライムローン問題によって08年上半期に最もマイナスの影響を受けると試算しています。前年同期比で2ポイント下回ると見ています。影響も様々で、住宅投資の減少が最も大きく、住宅部門の雇用者数減少による個人消費の停滞もあります。
米国向け輸出では、1四半期くらいのタイムラグを置いて4―6月、あるいは7―9月に影響が明確に現れるでしょう。ただ、アジア向け輸出とは異なり、米国向けはここ1年半ですでに大きく減少してますから、どの程度追加的な影響が出るのかという話になります。足元から6、7月あたりがピークで、クレジットマーケットの状態にもよりますが、下半期から年末にかけて小さくなるとみています。
一方、日本の建築基準法改正の影響ですが、07年後半の最悪期を脱して4―6月以降は住宅投資がプラスに転じるでしょう。OECD景気先行指数は、足元で回復しており、今年の4―6月が底といえそうです。
ただ、回復するには2つの条件があります。ひとつは、米国のクレジットクライシスがさらに増幅すると、米国は信用収縮を含めたバランスシート調整の過程に入ります。財政政策でいったん成長率が上がったとしても、その効果がとぎれると再び成長率が落ちるという魔のサイクルに入る可能性があります。07年に言い続けてきたデカップリング(非連動)のシナリオは成立しにくく、むしろストレートに米国の景気後退を反映して日本の景況感も落ちるでしょう。また、中国を通じて日本の輸出にも波及すると考えたほうが自然です。
もうひとつが中国のインフレ圧力です。人民元の切り上げで抑えるのが全うな手段と思いますが、諸般の事情で人為的な物価統制や窓口指導で押さえ込むことがあれば、人民元の貸し出しが08年に減少し、予想外の失速が起きる可能性があります。この2つがリスクとして顕現化すると、4―6月、遅くても7―9月に生産がボトムアウトして回復に転じるというシナリオは描きにくくなります。
――もし2つの条件がそろわなかったら
日本の内需が極端に弱い中で大きな外的ショックが起きると、経済構図の弱さを露呈してしまいます。2つが現実になると、来年もかなり厳しい局面が続くとみています。
――成長率の見通しは
今年のGDP成長率は暦年ベースで前年比1ポイント減の1.1%を予想しています。09年は1.7%と日本の潜在成長率と近い水準まで回復します。企業収益は相当下振れしており、設備投資も抑制されています。02年以降の設備投資拡大の循環をけん引したのは、更新投資も含めた製造業の機械投資でした。これがほぼ一巡し、残されたのは非製造業の商業用ビルなどの構造物投資やシステム関連投資です。ところが、構造物投資は建築基準法改正の影響で低迷しており、製造業から非製造業へのバトンタッチがうまくいっていないのが現状です。
――個人消費回復のメドは
幸いにして雇用は拡大しています。雇用者数は1%増加しており、今年も1.5%前後の増加ペースがつづくでしょう。賃金水準は足元では若干回復しているものの、大企業が前年同期比0.5%、中小企業で同マイナス1.0%ですから、加重平均で0―0.5%とほぼフラットの状況です。雇用改善の手がかりではありますが、それだけで消費加速のシナリオが描けるかというと非常に難しい状況です。
――為替はどうなりますか
半年から1年の期間で述べると、07年のデカップリングのシナリオではなく、今は米国が景気後退に陥る中で景気連動というシナリオにかわっています。為替で言えることはドルが独歩安になりにくいということです。デカップリングであれば、米国の減速に対して新興国を中心とした景気は遮断され、新興国に需要を委ねている中国や日本も大きく落ち込まずにドルが売られやすいというのが典型的なシナリオでした。今のように米国景気が後退し全体もパラレルに悪化すると、景況感格差からドルが売られるという展開にはなりにくい状況です。
もうひとつは、金利差の縮小です。米国の金融緩和によって日米金利差が縮小し、ドル安円高になるという議論があります。年内にはフェデラルファンド(FF)金利が2%、一部には0.75%まで下がるという予想もあります。つまり、そこまでの金利差縮小が織り込み済みでこの為替水準ですから、金利差はあまりサプライズにはならないでしょう。
総合して考えると、ドルはそれほど落ちず、ここ3―6カ月の予想で1ドル=102円、年末に110円と予想しています。足元では100円を割り込んでいますが、80円まではいかず、年後半には円安になると考えています。
――円高ドル安は企業業績にも影響を与えます
企業の平均想定レート105円を割り込んだ水準ですから、収益面ではマイナスです。しかし、ヘッジや海外での再投資もありますから、従来に比べて為替感応度は低下しています。マクロ景気や為替動向、原油価格の条件を織り込んだモデルで試算した09年3月期の東証1部上場企業の経常利益予想は前年同期比マイナス4.5%、金融を除いて同マイナス5.0%と予想しています。
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(コメント)
ずいぶんといろいろな事を買いていますが、総合すると米国経済の失速が長期化し中国バブルが破裂すると日本経済も落ち込みと言う結論になります。
タイトルは楽観的ですが・・・・内容は厳しい。
ただ、キーポイントは2つの条件で、今のところ中国はバブル退治を段階的に制御した形で行っている事から大破裂は無くなったと見ています。
全体では名目で10%の成長は可能なようです。
米国はどう見てもダメなので、経済そのものは中国輸出の堅調により大幅な減速は回避されるシナリオがメインとなる事でしょう。
ただ、株式に関しては中国市場より日本市場の方が有望と思われます。